【 海 】
「海行きたいですね……」
静かな生徒会室で、ぽつりと蒼井が呟いた。
「海……これまた突然だね。どうしたの?」
「たまに行きたくなるんですよ…。運動は好きですし、いい気分転換になるじゃないですか」
つまりは、蒼井はこの書類だらけの毎日に飽きてきたのだろう。海か……行ったことないかも。
「蒼井は海と山だったら海が好きなの?」
「はい。海は疲れたら帰れますけど、山は帰れないんで。まあ、少し髪とか体がベタベタするのは不快ですけどね。」
「そこなんだね。」
「ま、山も嫌いじゃないです。リフレッシュ目的で行くなら海がいいってだけなので。」
「ふーん。仕事、疲れちゃった?」
「そりゃ、毎日毎日こんな馬鹿みたいな量の書類どうにかしてたら疲れもしますよ……。」
だろうな。僕だって少し疲れてきたのに、蒼井が疲れてない訳ないもん。……海、か。ちょっと行ってみたいな。
「そっかー…。じゃあさ、一緒に海行こうよ」
「そーですね〜……。……はい?」
「よーし、決まりね。じゃあ……」
「待ってください、なんでそうなるんです!?」
「蒼井もいいよっていったでしょ?」
「いや今のは……!!」
「会長命令ね。けって〜い」
僕の発言でわたわたしたり、顔を青ざめさせている蒼井が可愛い。疲れてるからそろそろ話聞かないだろうなあとは思ったけど、正解だったな。
「詳しいことは後で連絡するから。ね。」
「……はぁああああ……」
蒼井が深くため息をついていた。面白いな。
────────────────
【 数日後 】
「あ、蒼井来た。おそ〜い。」
僕の足元には膨らまし終わったビーチボールや、海でぷかぷか浮かぶ様の、ボートみたいな形の浮き輪が。輪っかじゃないけど。
「こっちは着替えてたんですよ…。ったく、海行くのに着替えも水着も持ってこないとか、馬鹿じゃないですか?」
「初心者だもん」
「初心者だとしても海には水があることぐらいみんな分かりますよ。」
「ははは。あ、蒼井。蒼井が持ってきてくれたやつ膨らまし終わったよ。見て見て。」
「ああ、ありがとうございます。」
褒め方が適当。もうちょっとぐらい心込めてくれてもいいと思うな〜。まあ、蒼井にそんなこと言ったらきっと言ってもくれなくなるんだろうし、贅沢言わない。
「じゃ、遊ぼ!」
「あ、ちょっと待ってください。」
「どうしたの?忘れ物?」
「や、日焼け止め塗ろうと思って。更衣室である程度は塗ってきたんですけど、背中とかは出来てないので。」
「へー、大変だね。」
日焼け止めとか塗るの、蒼井らしいな。僕は全く塗ってないけど……
「……アンタ、当たり前のように塗らない気でいますけど、アンタもちゃんと付けてくださいね。」
「えっ?」
「『えっ?』じゃないですよ。アンタ肌白いんですから、日に焼けたら目立つしヒリヒリしますよ。意外と面倒なんですから。」
そうなんだ。日に焼けたことってあんまりないから知らなかった。
「ほら、会長も塗りますよ。…と、その前に。」
「ん?」
「会長、背中にこれ塗ってくれません?」
「………………へっ」
僕の口から出たとは考え難いほど素っ頓狂な声が出てしまった。背中に。触るのか。 それは正直、健全な男子高校生としてはマズイ部分があるような。
いや、勿論断じて蒼井をそんな目ばかりで見ている訳ではない。断じて。でも、でもさあ……。
「あれ、蒼井背中に手届かないの?笑」
「なっ、届きますよ!!でも、塗れたかどうか確信が持てなくて嫌なんです!」
「え〜、本当に?」
「本当です!!まったく、馬鹿なこと言ってないで早くしてくださいよ!」
煽ったぐらいじゃ回避出来ない……。仕方ない、腹を括らなければ……。無心、無心、心頭滅却……
「ん、っ、ふふ、」
(あ〜〜、今日の晩御飯なんだろ、カレーとかかな〜)
「くふ、ふふふ…………っひゃあ、!?」
「…、!?あ、蒼井、?! 」
「……さ、触り方がくすぐったいです。あと、脇腹触らないでください、」
「えっ、ああ、ごめん……」
(あぁぁぁぁぁああああ……)
無心すぎるのも良くない。ちゃんと見て……いや、見すぎるのも変なのか?でも、分かりやすく目逸らしててもそれはそれでキモイんじゃ……
……さっきの、「ひゃあっ」って……可愛かったな……。いや、駄目駄目。こういうのが一番だめ。いいか源輝、煩悩を捨てよう。僕はただ仲の良い後輩に日焼け止めを塗るだけ、それ以上は絶対ない。
「…………っ、くふ」
ちょくちょく、蒼井の体がぴくりと動いたり、声が漏れて笑ってしまったりしているのが愛らしい。……じゃない。違うんだ。可愛いとか思ったら負け。煩悩を捨てる、煩悩を捨てる。うん。
「……はい、出来たよ。」
「あ、ありがとうございます。助かりました。じゃ、会長のは僕がやってあげます。どうせ慣れてないんでしょうし、出しすぎたりしたら困りますし。腕出してください。」
「…………うん。」
危機は去ったと思ったんだけど、どうやらそうでも無さそうだ。
蒼井は僕の腕や顔に丁寧に手際よく日焼け止めを塗っていく。指、細いな。それに、やっぱりいつも日焼け止めちゃんと塗ってるのか、肌が白い。改めて見ると、やっぱり蒼井って可愛い顔してるなあ。しっかり者みたいな顔してるけど、実際は結構抜けてたり油断しやすかったりとかするところ、すごく可愛い。
「……ありがとう、じゃあ、遊ぼっか。」
「はい、何やりたいですか?」
蒼井には今後、出来れば他の人に身体に接触させるようなことは控えて欲しい。僕の世間体のためにも、理性のためにも、そう心から思った。
全然没でしぬ
コメント
6件
私も日焼け止め塗ってもらいたい(殴( ‘д‘⊂=͟͞☆)) いいな、、、会長私だって茜くんの喘ぎ声聞きたいよ!
見るの遅れた申し訳ない(泣)ぅ゙う……ッ有難う……ッッ(泣)流石にニヤケすぎて城之内…(泣)おもむろに海行きたいとか言う茜くん好き🫶ちゃんと日焼け止めをぬる茜くん概念好きすぎる女子力うちよりも高いやん、海初心者の輝兄も好こ好この好こ(#^.^#)ドギマギしちゃってる輝兄良い…気を紛らわそうとして夕飯考えんの好き(泣)茜くんの笑い方可愛い好き(泣)何処が没…尊敬……(泣)
えええ!!どこが没さん なんですか!?私こんなのかけたら自慢しちゃうとおもいますよ!!とっても素敵でした!