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「ねえ、変なにおいが2階にまで来てるんだけど…って、これ何…?」
「あ、楓ちゃん、おかえり。ケーキと、マフィンと、クッキーだよ!」
「どこからどう見てもただの黒焦げなんですけど。」
「花月チャン、料理できないからね……。」
「だから言っただろ、こいつをキッチンにいれたら大変なことになるって。」
「おかしいわね…分量通りに作って、全部隣でレクチャーしていたのに…。」
「で、これどうするんです…?」
「まだこれから生クリームとフルーツで飾りつけします。」
「花月…家事出来ないの…?」
「多分…。」
「あ、鍋で溶かしていたチョコレートが焦げてる!オーブンの予熱なんて分からないよ……」
「ああ、もう見てられない。私が作る。」
「ダメだよ、だってこれは楓ちゃんのために……」
「私の…ため……?」
「あーあ、言っちゃった。せっかく、聖が時間稼ぎに行ってくれていたのに。まあ、こんだけ焦げ臭ければ、バレるとは思っていたけど。」
「これ全部…私のために作ったの…?」
「楓ちゃんが喜んでくれること…何かしたくて…。今日はハロウィンだから、お菓子がいいかなって。」
「……私が全部作り直すから、花月はこっちで座ってて。」
「あ、でも、お手伝いくらいなら…」
「いいから座ってて。」
「あ、はい……。」
「思わぬ方向に進んだね、花月。」
「うん…そうだといいな。少しでも何かきっかけがあれば、楓ちゃんも過ごしやすくなるかなって思っただけなんだけどね……。」
「あいつ、お前みたいになりたいって。」
「楓ちゃんが…私みたいに…?」
「よかったな、妹ができて。」
「うん…。それなら尚更、もっともっと支えてあげたいね。」
「あらあ、楓チャン、泡立てるの上手ねえ。お家では料理してたの?」
「いや、今時料理くらいできるのが普通だと思いますけど。」
「まあ、お前にならキッチンの利用を許可してやる。火事も起こさなそうだしな。」
お菓子で笑ってもらおうと思っていた作戦は思わぬ結果を招いたけれど、少しだけ楓ちゃんが見えてよかった。これなら少し安心かな…?
「花月、何でそんなにニコニコしてるの…?」
「楓ちゃんは可愛いなって。」
「恥ずかしいこと言わないでよ、バカ…。」