狐の嫁入り

こんばんは、奏佑です！

恐らく今年最後の投稿になります！

明日は他の連載を動かすつもりなので

楽しみにお待ち頂ければと思います！

※ 御本人様には一切関係御座いません。

ー

いむくんが家に住み始め、

少し経った日のことだった。

黒「 初兎、！ 」

白「 うぉ…っ、！？ 」 ( ﾋﾞｸｯ

「 吃驚した…、どしたん悠くん 」

黒「 …ほとけ、連れてかれた 」

白「 …は、？ 」

落ち着いた声色とは別に、

額には汗が伝っている。

悠くんも相当焦っているのが分かる。

黒「 着物着た奴らばっかやった 」

「 ほとけが大丈夫って言うからなんもせぇへんかったけど、明らかに様子おかしくて…、 」

「 家に帰れないってのとなんか関係あるんちゃうかって思ったんやけど… 」

白「 …悠くん 」

「 俺、一つだけ心当たりあるよ 」

黒「 ほんまか、！？ 」

いむくんに持ち上げられて山を下りた時、

少し遠くに見えた家を異様に避けながら

下っていた。

白「 裏の雑木林の中。 」

「 家があるんや、この家より二回り小さいくらいの 」

「 逃げる時、いむくんそこばっか気にしてた 」

黒「 …逃げる時…、？ 」

白「 …全部、解決したら話すよ 」

黒「 …おう。 」

白「 俺一人で行く。 」

「 いむくんに、 伝えたいことがあるんや 」

黒「 …そか、無理だけはすんなよ 」 ( 撫

白「 ん…じゃあ行ってくるわ 」

黒「 気ぃ付けや、何人かガタイ良い奴もおったから 」

白「 わかった、ありがとう 」

ー

白「 っ…はぁ…ｯ、は…ふ…、 」

急いで坂を駆け上がって家に近付いた。

玄関には見張りが居て、到底俺だけでは

突破出来そうにない。

解決策を見出そうと考えを巡らせていると、ポケットに入れていたスマホが鳴った。

白「 ぉ…、悠くん…、？ 」

「 …もしもし 」

黒 < 初兎ごめん、今大丈夫やったか、？

白「 大丈夫、ちょっと離れとったから 」

「 んで…どうしたん、？ 」

黒 < その家のこと、初兎に言われて調べてみた

< …その家におんのは人間やない

白「 …うん 」

黒 < あと…、

白「 いむくんも、やろ？ 」

黒 < 知っとったんか

白「 詳しくは、知らないけど…人間やないってのは結構前から分かっとったよ 」

本人は無自覚なのだろうが、何度か

いむくんの耳と尻尾を見たことがある。

耳と尻尾の形と色、そして降雨時に

嫁入りをしようとしていたことから、

恐らく彼は狐だろう。

前に九尾と言いかけていたし。

黒 < …そうか

白「 それより、玄関に見張りが立っとる。どうにかしていむくんのとこ行かれへんかな…、？ 」

黒 < んと…裏に、牢屋…かな、何かしら部屋があるんよ。地図上でしか見れてへんから確かなことは分からんけど…

< 家の中は全部和室で、鍵のかかる部屋がなさそうやからそこに居る可能性が高い

白「 分かった、行ってみる 」

黒 < …初兎。

白「 ん、？ 」

黒 < 絶対、ほとけ連れて帰って来いよ。

白「 …当たり前や 」

「 いむくんの好きなシュークリームでも用意して待っといてよ 」

黒 < ふはｯ、w

< 分かった、作って待っとる

< …頑張れよ

白「 …ありがとう 」

そう、礼を言って通話を切った。

ー

裏側へ回ってみると、

悠くんが言っていた通り牢があった。

そこへの見張りは居ない。

柵の前に立つと

相変わらず紅をさしたいむくんが

牢の中に座っているのが見えた。

白「 …いむくん 」

水「 ……….. 」

此方を見向きもせず、ただ一点だけを

見つめている。

白「 いむくん、帰ろう 」

「 悠くんも心配してんで。 」

「 …いむくんの正体なら、もう分かっとるから 」

水 ( ﾋﾟｸｯ

白「 帰ろ、な…？ 」

〖 …誰、？ 〗

突然声がした方を向くと、狐の耳と尻尾が

生えた男の子二人が立っていた。

それぞれ赤色と桃色の髪と瞳をしている。

( ！ 『 …ないくん、この子…、 』

〖 …ほとけっち、知り合い？ 〗

水「 …知らない。 」

『 …そう 』

『 まろが呼んでる。 』

そう言って、赤髪がいむくんを牢から

出した。

水「 …行こう 」

白「 ………いむくん 」 ( 掴

桃『 …ほとけっち、ほんとにこの子… 』

水「 ｯ…知らないって言ってんじゃん！！僕に触るな！ 」

「 目障りなの！早く…早く帰れ…ｯ！ 」

声を荒らげたいむくんの目には、

うっすらと水の膜が張っている。

白「 帰らへんよ。俺は。 」

水「 っ、なんでよ、！！このまま此処に居たら…っ、！ 」

白「 …殺されるかもしれへん？ 」

水「 …っ…、 」

白「 …なぁ。俺があの日、なんで雑木林に来とったか忘れた？ 」

水 ( ﾋﾞｸｯ

白「 俺は、怖くないねんで、？ 」

いむくんの紅を、手で拭った。

白「 …好きだよいむくん 」

( ぎゅうっ 「 お願い…戻ってきて…、 」