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「なぁ、ばちぇら。なんで、みんな、糸師凛のことだけ下の名前で呼ぶんだ?」
練習中、ピッチ外で休息を取っていた潔世一は、同じく休憩中の蜂楽廻に素朴な疑問を口にした。
「仲良しなのか?」
「潔、知らないの? 超有名人の兄ちゃんがいるからだよ。糸師冴っていう」
「あー、そっか。そういや、名字がおんなじだ」
潔の中で、点と点が線で繋がった。
ポン、と手を打った。
「ややこしいから、下の名前で呼ぶわけ。全く、潔は鈍いって言うか、天然だねぇ。ま、潔も凜って呼べば良いよ」
「ふーん。有名人の兄貴がいるってーのも、大変だな」
ちう、と潔はスポーツドリンクのストローを吸った。
ピッチ上では、凜が三枚抜きをして、キーパーの股抜きシュートを華麗に決めている所だった。
その、糸師凛から部屋まで来いとお達しがあった。これまでの三人は皆、潔の部屋を訪ねてきたが、このパターンは初めてだ。
「ここか」
部屋の前までたどり着いて、ドアをノックすると、
『入れ』
と返答があったので、中に入った。
凜は、ベッドの上に片膝を立てて座っていた。
「脱げ」
出し抜けに凜が言った。
凜からは王者の風格が放たれていて、その覇気に当てられた潔は身動きが取れずにいた。
「聞こえなかったのか。服を、脱げ」
これは、命令だ。
逆らえない。
潔はのろのろと着衣を上から脱ぎ捨てた。
生まれたままの姿になるが、恥ずかしくて右手を折って左肘を掴んでいた。
じぃっと、粘着質な視線を凜に投げかけられる。まるで値踏みされているみたいだ。いや、実際にそうなのだろう。凜に視姦されている。
「ふぅん。悪くない」
「……」
潔は身じろぎ一つ出来ない。
「跪け」
凜に命令されて、潔は肩をビクつかせた。
そして、言いつけ通り、その場に跪いた。
凜がゆっくりベッドから降りて、こちらに向かって歩いてくる。
目前で止まる。
見下されているであろう凜を、潔は見上げることすら叶わない。凜の素足だけが見えた。
すると、凜が右脚を上げたかと思うと、半ば床に垂れていた潔のペニスを、踏みつけた。
「ひぐっ!」
思い切りではなかったろうが、それなりに力は入っていた。
衝撃で、膝が床に崩れ落ち、両手を突いてしまった。
「は、はあ……!」
力を抜いた凜の足の指が動き、踵も使って揉みしだかれる。
屈辱的なのに、そうされていると、身体が勘違いして、快感を連れてくる。
足の指がバラバラに動き、明確な意思を持って、蠢く。
感じるのは、痛みではなかった。
「なんだ、先走りが垂れてきたな。足で踏みつけられて、感じているのか」
冷たい凜の声が降ってくるが、潔は中心に熱が集まるのを止められなかった。
「は、はあっ」
「ほら、ほら、どうだ」
足の指が、動く。踵が、スライドする。
「あっ、あっ、ううっ!」
潔のペニスが芯を持ち始める。
「踏みつけられて、感じるなんて、とんだ変態だな」
凜が薄く笑っている。
「あうっ!」
そうされているうち、ついに潔は吐精してしまう。
ビュクッと精液が、床に飛び散った。
「フン。潔世一、おまえ、マゾヒストなのか?」
凜が鼻で笑って、足をどかした。
「ううう……」
潔は情けなくて、やるせなくて、紅くなって俯くしかなかった。
「こっちへ来い」
ベッドに上がった凜が、下の着衣を脱いで座った。大きく股を開く。
「……」
潔もベッドに上がる。
「舐めろ」
「……!」
股ぐらで自己主張している凜のそれは、他の三人の誰よりデカくて太く、グロテスクだった。
赤黒くテカり、使い込まれた感がある。
「しゃぶれ、と言っている」
躊躇している潔に凜が強要する。
これまで、されることはあっても、することはなかった。三人にフェラチオを求められたことはなかったのだ。
足を開いた凜の間にしゃがみ込んで、顔を寄せる。
ゴクリ。
潔は唾を飲んだ。
試しに、竿の根元から亀頭にかけて、ペロッとひと舐めしてみた。
塩辛い。
潔はついに、凜のペニスを咥えた。自分がされて気持ち良かった経験則から、凜に奉仕した。
裏筋や浮いた血管をなぞるようにして舐める。くびれの溝をほじる。たっぷり唾液をまぶした舌で、優しく亀頭を撫で回し、一つ目を尖らせた舌先でくじる。
「ん……、なかなか、いい」
凜が吐息している。
潔は全体を口に含み、頭を激しく上下させて凜のペニスを刺激した。飲み込みきれなかった残りと双珠をまとめて手で擦り、揉み込んで責め立てた。
「ん……、く……」
凜が腰をわななかせて、イッた。
「うぐっ」
潔の口の中に、熱い迸りが叩きつけられる。
「そのまま、飲み込め」
凜に前髪と顎を挟み込むように掴まれて、潔は嚥下する他なかった。
「んぐ」
大量の精液は、濃ゆく、苦かったが、どこか新鮮な植物を手折ったときの露のような味わいでもあった。
凜のペニスは放出した後でも、未だ硬さを失わず、そそり立ったままだった。
「後ろをほぐせ」
次に凜は、潔にオナニーをすることを要求した。
それも、ケツオナニーをだ。
ボトルを投げて寄こす。
見てみれば、ローションのボトルだった。
「……」
拒否権はない。潔は意を決して、ボトルの蓋を開け、中身を指にまぶした。
凜の目の前で、自分自身の穴に指を突き入れる。
したことがなかったので、おずおずと、恐る恐るだった。
つぷん、と潔の穴は、いとも簡単に指を飲み込んだ。
「あっ、ああっ、あ」
ローションのせいで指が滑って、滑る。自分の指を使って、中をほぐす。男を受け入れる為の準備は入念にせねばならない。でないと、後で痛い目を見るのは自分だ。
「はあ、ああ、ああう」
潔は悩ましげに首を傾いで、行為に没頭した。
そうして探り当てた前立腺のシコリを刺激して、前を勃たせた。
「もういい」
凜が潔の手を止めた。
ずるぅっと指を肛孔から引き抜く。
代わりに、凜の硬度を保ったままのペニスが宛がわれる。
「楽しませてくれるんだろう? 残り物には福があるって言うしな」
ドスン。
そんな幻聴がするほどに、挿入は衝撃的だった。
凜のものは大きすぎて、完全に潔の許容量を超えている。淫筒をぎっちりと埋められ、微動されるだけで、凄まじい痛みと快楽をもたらす。
「俺を受け入れて、裂けないのは大したものだ」
「く、は、ああ」
潔は息も絶え絶えで、浅い呼吸を繰り返した。凜が動く度、腰が割れるのではないかと恐怖した。目に涙が滲む。
「ひ、あ、くあっ、アア!」
凜の雄は、潔の奥の奥まで達していた。S字結腸の向こうや、精嚢にまで衝撃が響いた。
ポルチオ。男性には有り得ない性感帯の存在を感じた。
「ふああっ!」
凜の逞しいもので一突きされただけで、潔は吐精していた。
ビュクビュクと精を零す。
「まだ、イッてるからあ」
泣き言を口にする潔など無視して力強く、激しいピストンを繰り出す凜は、潔を翻弄しながら、
「潔」
顔を寄せて、唇を奪った。
凜のくちづけは激しく、潔から、
恥じらいも、
ためらいも、
遠慮も、
羞恥さえも、全てを奪い去っていく。
残るのは、快楽だけだった。
「凜……」
潔は涙で霞んだ視界で、蕩けた表情を凜に向けた。
「潔」
くちづけで引いた唾液を拭った後、凜は起き上がって、繋がったままの潔を抱え上げ、膝の上に座らせた。
自然と、潔は凜に背を預ける恰好になる。
「凜……?」
これじゃあ、小さな子供みたいだ。
それより、己をぎっちり埋めた凜自身の存在の方が気になる。早く、この熱をどうにかしてほしい。
「潔、これが何か分かるか?」
凜は右手に棒状の何かを握っていた。
「分からない」
潔は首を振った。
それは、粒状の楕円が、幾つも連結したような、一本の細い透明な棒だった。
「これは、ここに刺して使う」
凜は背後から、潔のペニスを摘まんで、その先端の一つ目に、棒の先を挿入し始めたではないか。
「?!」
潔は目を疑った。
ゆっくりと、粒々が、尿道に差し込まれていく。
「ひぐっ! ぐううう!」
細く鋭敏な場所を抉られて、その衝撃に潔は気を飛ばしそうになった。
脊髄を直接握られたような、背筋を虫が這い上がるような、二律背反。
むき出しの性感帯を直接、素手で殴られているような暴力的な快楽だった。
それは、尿道オナニーに使う淫具だったのだ。
「どうだ? 尿道をくじられる感覚は」
凜はとうとう潔のペニスに棒の全部を沈めてしまった。
「ひっ、ひあ! これ、これヤだ! ぬ、抜いてぇ!」
一本筋が通ってしまった自分のペニスの有様を見て、潔は青くなった。
「気持ちいいくせに。現に、おまえの後ろは快感で複雑に蠢いている」
「そ、そんな、嘘」
「そら」
凜は面白そうに、淫具をゆっくり抜き差ししたり、ぐるっと回したりして潔を弄んだ。
「ひぃ、ひうっ!」
今、確かに射精したような感覚があった。
だが、淫具に阻まれて、それは叶わない。
「今、イッたな? ドライだ」
いわゆる、空イキをしてしまったらしい。
「く、苦しいから、抜いて!」
潔はジタバタした。
「おっと、あまり動くなよ。中で折れたら、コトだ」
くくっ、と凜が意地悪く笑う。
「!」
もし、折れたら、どうなるのか。
病院に担ぎ込まれるのか?
そこで何て説明するんだ?
男とセックスしてて、尿道オナニーして遊んでたら、行きすぎたって言うのか?
よしんば、話が通ったとして、折れた淫具を取り出す為に、大事な部分を切開して、縫合して、その後使い物になるのか?
そんな想像を巡らせて、絶望した潔は大人しくなった。
凜はその潔を四つん這いにさせると、獣のようにバックから犯した。
激しい律動で潔を苛む凜は、まさしく傍若のカリスマだった。
「ぐっ、ああっ、ひぃぃ!」
身体を激しく揺すられて、前はピンと伸びて震えているのに、幾ら肛孔から責め立てられても、終わりは訪れない。
延々と繰り返される、メビウスの環だった。
「も、もう、嫌だっ!」
キツすぎる快楽から逃れようと、潔は前に這いだして、逃げを打ったが、
「逃がすか」
すぐに細い腰を凜に掴まれて引き戻され、抜けかけた性器を奥まで突き入れられる。
潔の悪足掻きは失敗に終わった。
「はっ、はあ、はううう」
却って凜の律動が激しさを増し、潔の先端からは先走りだけが涎のように垂れて、糸を引いた。
「くっ!」
潔の締め付けの良さに根を上げた凜が、遂に極めた。
腹の中で、雄が弾けて熱い迸りを放つのが、ありありと分かった。
「ご褒美だ」
凜が潔の前に手を伸ばし、淫具を引き抜いた。
「ひぃ、ひいあああああっ!!」
その悦楽たるや、今まで感じたことのない大きさだった。塞き止められて行き場を失っていた精液が吹き出し、夥しい量が出た後、チョロチョロと黄金の液体が続けざまに放出された。失禁したのだ。
「くううう……」
潔は屈辱で、目を伏せた。
「潔。おまえは俺が可愛がってやる。俺の便所になれ。絵心は男子高校生の性欲を甘く見ている。穴がなければ作れば良い。口も肛門もあるのだから」
ずるっと凜が引き抜かれていくのが、後ろの喪失感で分かった。
潔の肛孔は咥えるものがなくなっても閉じきれず、開いたままで、昏い洞窟のようだった。
疲れ果てて、ベッドに仰向けになって、浅い呼吸を繰り返している潔に、
「潔、このツイートを知ってるか」
「?」
潔はだるい頭を動かして、凜の差し出したスマホ画面を見た。
そこには、
『#潔世一はみんなのオモチャです』
という文言が表示されていた。
「これが、拡散されている」
潔はサーーっと血の気が引くのが分かった。
「ここには、男なら掃いて捨てるほどいる。困ることがない。おまえのようなヤツにとっては、天国みたいな場所だ。良かったな。なぁ、潔世一」
「——ッ!!」
潔は、闇の深淵に叩き落とされた。
ここはブルーロック。
飢えた狼が跋扈する、青い監獄。