テラーノベル
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「杏ちゃん!」「おい、杏」
「杏〜!」
「杏。」
白石は深い関係にある人に良く「杏」と呼ばれている。俺は決して浅い関係ではないが、チームの中でも唯一「白石」と呼んでいる。名字呼びは彰人、絵名さん、咲希さん、司先輩以外の全員だが、白石は、白石だけは、名前呼びをしたいと思うときがある。
「んねぇ、冬弥、ここのパートなんだけど…」
「ああ、なんだ?…っ白石。」
こういう風にいつもためらってしまう。
「杏」と気軽に呼べる人が羨ましい。
「…“杏”……」
「え?」
しまった…!つい口に出てしまっていた。
「は?お前今なんて?」
「“杏”って、言わなかった?」
「ととととと冬弥!?」
「すまない…!嫌だったよな。」
「いやいやいや、嫌なわけないでしょ!珍しいからびっくりしただけだよ!あーほんと心臓に悪い…///」
白石は恥ずかしそうに顔を下に向け、赤く染めた。
「すまない、“杏”」
「あ、出た、冬弥の調子乗り…」
「ふふっ」
いつか、この呼び方が自然になればいいな。
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