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歴史ツアー当日。秋晴れの空は雲一つなく、すっきりとした天気が広がっている。
…けど。
「今日めっちゃ楽しみですね♡遊宵せんせぇ」
「遊宵せんせぇのためにオシャレして来たんです♡」
「バスで遊宵せんせぇの横に座りたーい♡」
学校のエントランスに停まるバスの近くで女子生徒に囲まれているあの物理教師は何なんだ。
そこで、西田に聞いた情報がフラッシュバックする。
『遊宵先生を知らないの?ふっ、さっすが成瀬だわwあの先生は一言で言うと”この学校の女生徒なら一度は通る男”だよ。見たまんまの女たらしってコト。毎日の如く物理準備室に女連れ込んで、よからぬコトしてるって噂が有るくらい。とにかく気を付けなね。一歩間違えたら、他の生徒のお怒りを買っちゃうかも〜』
って、なんじゃそりゃ!!!!!!!やべー奴じゃんっっっ!!!!!!思いっきりやべー奴じゃんっっっっっ!!!!!!!!!!!!!
あの物理教師のトンデモ情報に驚き呆れていると後ろから声がした。
「おはよ、成瀬」
「おはようございます、七宮先生。…遊宵先生っていつもあんなカンジなんですか?」
「一応、俺より年上だから滅多なことは言えないんだが…まぁ、あれがデフォルトだな」
にしてもモテ過ぎな気がする。致死量のフェロモンでもダダ漏れてんのかな。
「…あのさ、成瀬。その…今日の服、似合ってんな」
「え?」
「お前の私服、初めて見たわ。思ってたよりずっと…可愛いな」
「っうぇ」
やべ。変な声でた。なっ、なんで。…あ、そうか。この『成瀬』のビジュアルに対して『可愛い』は、友達に『おはよう』って言うみたいなもんか。うんうん。それは私も同意。毎日鏡見て可愛い過ぎてひっくり返りそうになるもん。
ちなみに、私はグレーのニットにワイドジーンズというカジュアル系の服装である。もちろん、女子ウケを狙った。目立たずに歴史ツアーを満喫する!というのが私の目標なのだ。
「褒めても何にも出でこないですよ?何なら、七宮先生だって今日の服カッコいいじゃないですか」
これは本当である。黒のタートルネックにレザーブラウンのアウターを着ているが、七宮先生のクールで大人っぽい雰囲気に合っている。
そう褒め返すと七宮先生は一瞬だけ表情を固まらせて、直ぐに視線を逸らすのだった。