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天才は 、、、ここに居た …… ! ! ! !
☆執☆着☆心☆自分が動けない状態になっても刺客を送り込む日帝さんの日本に対する依存度高過ぎる。 アメリカも日帝に対する拒否反応エグ過ぎて日本見捨ててるし、日本を取り巻く環境がどれだけ日本にとって不都合なのか手に取るように分かりますね、、、 一体にてとにほの間に何があったんだ、、、ここまでするのは相当な事態が起こったはず、、、そうでもないかも、、、? どっちでも尊い、、、!
もう、あなた様は私を何回萌えさせたら気が済むのでしょうか、毎度のごとくありがとうございます✨✨✨✨(水を得た魚の絵文字) 無慈悲で皆が自分中心に考えているのが"国"って感じがして最高です。👍👍
天原彗 様より、日本逃走if
※「所謂試し行動」必読
“大日本帝国が事故に遭ったので、入院の手続きが必要”
先程、そんな内容の電話が日本の携帯にかかってきた。
状態はそこまで悪いわけではないようだが、後が怖いので早退し、仕方なく病院へ向かう。
あのDV野郎が事故で怪我をするなんて、いっそのこと轢いてくれた人に礼をしたいくらい嬉しかった。
忙しいから仕方なく残業していたのに、門限破りだとか言って殴ってくるようなやつを誰が心配なんぞするものか。
今向かっているのは、病院側に迷惑がかかってしまうからだ。
決して父の為ではない。
そのはずなのに、日本は少しそわそわしていた。
受付に聞いた病室へ入ると、想像していたよりかなり元気そうな父の姿が目に入る。
「父上、事故に遭われたと聞きましたが、お元気そうで何よりです」
「あぁ、日本か。来てくれて嬉しいぞ」
近寄りもせずにニコリと微笑みを返し、手続きをしてきますと言って病室の扉を閉めた。
スン、と真顔に移り変わり、さっさと医者の元へ。
手続きを終えて入院の支度を運んでから、日本は自分の荷物をまとめ始めた。
「ようやく逃げられる…!事故に遭ってくれて助かりましたね、追われる心配がないだなんて嬉しすぎます!」
殺風景な部屋には小物がなく、あるのは机や本棚だけ。
置いてあったペンケースや栞が挟まれた本、仕事用のパソコン、財布、携帯などなど、必要なものと僅かな娯楽。
自分の荷物はそれで十分。
勝手な引越しはできるわけがないし、元々荷物も少ない。
少し勿体無い代物もあったが、そろそろケジメをつける時だ。
帰りに買っていた大きめのバッグを肩に掛け、忌々しい我が家を離れる。
社の寮は確実にバレるから避けるとして、どこへ行こうか。
とにかく遠くへ、誰も自分の存在を知らない…または、知っていても意味がない場所。
外国なら、どうだろう。
アジア圏ではすぐにバレて連れ戻されそうだから、ヨーロッパ…いや、ユーラシア大陸にはあいつの知り合いが多い、アメリカあたりがいいかもしれない。
あの人にとって、アメリカには嫌な思い出しかないだろう。
そうとなれば、自分がすべきことはただ一つ。
『…Hi Japan!どうかしたか?』
電話越しに響くうるさい声。
携帯を耳から離し、静かになったところで話をした。
「こんにちは、アメリカさん。実は僕、アメリカで一人暮らしをしようと思っているんです」
『Oh!really?それマジかよ!いいじゃねえか、俺のとこ良い奴らばっかだしな!ちょっぴり物騒だけど、可愛いもんさ。いつ来るんだ?迎えに行くぜ!』
相変わらず話の飛躍と余談が多い彼だが、今は都合が良い。
電話の向こうで、太陽にも勝るとも劣らない笑顔を浮かべている様子が浮かぶ。
「そうですね…僕としては、今からが一番都合が良いんです。どうですか?」
『おいおい、ちゃんと別れの挨拶はして来たのか?あのファッキンな野郎によ!』
「あはは…まぁ、そこら辺は大丈夫なので、あなたは気にしないでください」
大日本帝国はアメリカが嫌いだが、アメリカも大日本帝国のことが大嫌いだ。
以前はビジネスパートナー的な感じで仲良くしていたものの、ふとした時に限界を迎え、盛大な喧嘩となったらしい。
そこからは徹底的にお互いを嫌い合い、日本も最初は嫌われていたものだ。
仕事をこなし、無茶振りに応え、とにかく顔色を伺って動き続け、どうにか気に入られた。
日本も彼のことが苦手だが、頼れることに違いない。
『んー…つか、お前家あんの?急にアメリカに来るってことはさ、もしかしてないんじゃねえの?』
「あー…まあ、そうですね。とりあえずアメリカへ渡りたいだけだったので…」
『じゃあさ、俺の家来る?家事やってくれるなら金いらねえけど』
「本当ですか?それはありがたい!」
まさかの形で家も決まり、いよいよ運気が回ってきた。
これまでの人生、父親のせいで散々なものだったのだ。
家事くらい余裕でこなせる自信もある。
あの気難しい大日本帝国を納得させられるくらいには、料理も掃除も洗濯も頑張ってきたし、アメリカは明るく優しいから、重すぎるプレッシャーもないはず。
そんなこんなでアメリカとの同居も決まり、日本はバッグを持ち直して空港へ向かった。
衝動的に出てきたにしては、中々良い方向へ向いていると思う。
アメリカ行きの飛行機に乗り込み、空港にいる間に降ってきた雨を眺めた。
自分の父は今頃、病院でこの雨を見ているのだろうか。
足を折り、僕に逃げられ、退院した暁には怖いくらい怒りに燃えるのだろう。
段々体が、飛行機が斜めになる。
地面が離れていく。
自由な空から見た地上は、ごちゃごちゃしていて窮屈だった。
はたと目が覚める。
今までの疲れが溜まっていたのか、寝てしまっていたらしい。
「くあぁ…もう夜ですか…」
出発したのはお昼過ぎ。
「…あ、会社に辞表出すの忘れてたな…」
ぼんやりと会社のことを思い出し、自分がどれだけ舞い上がって勢いに身を任せていたのかがわかる。
「…後で連絡しますかね〜」
ひとまず今は、普通の睡眠を取ろう。
「ん…もうすぐですかね…ふあぁ…」
またしばらく眠り、目が覚めると着陸予定の時間に近かった。
改めて忘れ物などがないか確認し、手荷物を持って飛行機が着陸するのを待つ。
揺れる機内に少し驚きながら、ようやく着いたアメリカへ降り立った。
なんとなく空気が違う。
空港で荷物を受け取り、アメリカと決めていた待ち合わせ場所で待機する。
携帯をアメリカの時間に合わせていると、遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「Hi Japan!Welcome to my America!」
背後からキラキラと後光が差しそうなくらい明るく、こちらが疲れるくらい元気なアメリカ。
ギューっと息苦しさを感じるほど抱きしめられ、ふわりと良い匂いが香る。
「これからよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします」
アメリカと共に 空港の外へ出ると、カラッと晴れ渡った青空から見える太陽が眩しい。
雨の降る故郷のことは忘れて、これからは楽しく過ごそう。
ようやく、鳥籠を出ることができた気がする。
一方その頃、入院中の日帝は日本が来ないことに不満を覚えていた。
一度くらい見舞ってくれても良いのではないか?と。
実に幼い思考であるが、彼は息子に依存しているのだ。
いくら本を読んでも、窓の外を眺めても、寝ようとしても、全く身が入らない。
本の内容は覚えていないし、空は天気もよく見ていないし、どうしても目が覚める。
もう定時を過ぎているのに、連絡一つない。
段々苛立ちが増し、強く掴んだシーツにシワができていく。
必ず自分の元に来てくれる。
今の日帝を構成していたのは、この確固たる、しかし根拠のない自信だけ。
不安に駆られるのはいつぶりだろう?今すぐこの病室を飛び出したい衝動が抑えきれない。
「………」
明日もまた来なければ、こちらも相応の対処をさせてもらおう。
どのように小鳥を追い詰めようか、日帝は不安を薙ぎ払うためにもそのことを考える。
あぁ、楽しみだ。
アメリカに移住してから数週間、随分とこちらの生活にも慣れてきた。
英語は元より日常会話程度ならわかっていたが、アメリカから色々な表現を教えてもらったことでかなり達者になり、今は生活が楽しい。
友人も何人かできて、アメリカの許可を得て遊びに行くこともある。
少し家具や家が大きく家事は大変だったが、こんなに楽しいのだから気にならない。
その頃には父親のことなどすっかり忘れて、今日も2人分の食事を作る。
日本では考えられなかった量の卵を溶き、牛乳なんかと混ぜてから大きなフライパンで焼き上げていく。
事前に用意していた大量のチキンライスを皿に乗せ、アメリカの分のオムライスができた。
アメリカは日本よりとてもよく食べるため、作る時はフライパンが重くて仕方がない。
だけれど、 それも日常の一部だ。
重いフライパンを使ってボリューミーな食事を作り、アメリカから美味しいと言われるのが好きだから頑張れる。
自分の分は控えめに作り上げ、リビングで待っていたアメリカに声をかけた。
「今日の会議もお疲れ様でした。特大オムライス、できましたよ」
「Thanks!うおぉ、すっげぇ美味そう!流石日本!食べるのが楽しみだぜ!」
「えへへ、ありがとうございます」
机に置かれたオムライス二つ。
席も食器も二つずつ。
日本にいた頃と人数は変わらないのに、相手が変わるだけでこんなにも楽しくなんだなんて。
「「いただきます!」」
一口。
以前は味が大丈夫か顔色を伺いながらの食事だったが、アメリカの満面の笑みを見ればその必要がないことを悟る。
「So delicious!前も言ったと思うけど、こんなに美味いオムライス食べたことねえぜ!お前のオムライスは何度食べても世界一を更新するな!」
「そんなに褒めても、おかわりしか出てきませんよ?でもありがとうございます」
「え?!おかわりあんの!?」
「卵はありますから、作れますよ」
「Yeahhhh!!」
アメリカはテンションが高く、着いていくのは大変だ。
けれど良い人というのはわかるから、親のような気持ちで見守っている。
この幸せはずっと続く。
日本はそう信じて疑わない。
見くびっていたのだ、自身に対する執着の酷さと、必死さを。
翌朝、今日はアメリカがお休みでまだ眠っているため、比較的静かに掃除をしていた。
いつも使う部屋は毎日、あまり使わない部屋は日替わり。
なるべくアメリカの部屋から遠いところから掃除をしていると、 チャイムが鳴った。
「アメリカさん、何か頼んでいましたっけ」
掃除道具を置いて玄関に向かい、 迂闊に開けては危ないので、まずはドアスコープを覗く。
「…ッッ?!」
そこにいたのは、白い軍服に身を包んだ背の高い人物。
大日本帝国の盟友、イタリア王国だった。
「おかしいなぁ、日本ちゃんはここにいるはずだけど…ねぇー!いるよねぇ!開けてくれなーい?!」
「ッ……」
思わず声を出してしまいそうだったところを、口を押さえて我慢する。
イタリア王国は自分を探しにきたのだ。
おそらく…否、絶対にあいつの指示で。
ドンドンと扉を叩かれ、バレないように声を抑え続けた。
「早く開けてくれなーい!?僕も暇じゃないんだよねぇ!」
叩く力は段々と強くなってきており、イタリア王国は声を張り上げ続ける。
早く帰れ、早く諦めろ、と心の中で念じていたが、
「うるせぇなぁ…誰だよ…」
ついにはアメリカが起きてきてしまった。
「あ?なんで蹲ってんの、日本」
「早く開けろ!いるのはわかってるんだよ!!」
「うるせぇ!!朝っぱらから騒いでんじゃねえぞこの野郎!!F**k!!」
「!あ、開けないでっ!」
叩き起こされたアメリカは1発殴ってやろうと扉を開ける。
日本は慌てて止めようとすると、時すでに遅し。
「って、あ?イタ王?」
「Ciao、アメリカ。そして日本ちゃん。やっぱいるんじゃん♪」
「ひっ…!」
開かれたドアからイタリア王国の腕が伸び、日本の細い手首を掴む。
「おいおい、目の前で誘拐は見過ごせねえぞ」
「悪いけど誘拐じゃないから。この子の親御さんからね?家出した息子を連れ戻して欲しいって依頼を受けてるのさ」
イタリア王国に肩を抱かれ、いよいよ逃げられない。
「い、いや…!アメリカさん、助けて…!」
必死の思い出アメリカに助けを求めるが、アメリカは手を伸べる気がないらしい。
「Ah…haha、じゃあ仕方ねえな」
「ぇ…?」
「悪いけど、大人しく帰ってくれ。荷物は後で送ってやるから」
「え?え?な、え、どうしてですか?なんで…」
「俺、てっきりお前が日帝と縁を切ったからこっちに来たのかと思ってたんだよ。でもそうじゃねえのなら、あいつと関わりがあるわけだ。日本との生活は楽しかったよ、でもあのファッキンな野郎と繋がりがあるのなら話は別さ」
「もう、僕のお友達をそんな風に言わないで欲しいな。まあそういうことで、日本ちゃん、ちゃんとお家に帰ろーね?」
「じゃあな、元気に暮らせよ。生きてあいつと縁が切れたなら、その時はまた一緒に暮らそう」
「そんな…い、いや…」
イタリア王国にずるずる引きずられる中、アメリカはニコニコと手を振っていた。
空港に着き、飛行機に乗り、イタリア王国に強く手を握られたまま帰国する。
放心しながら飛行機を降りると、にこやかに微笑んだ父がいた。