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元貴を怒らせてしまい

若井を心配させてしまい

チームにも迷惑をかけてしまった

僕は後どれだけこのチームに居られるだろう

必要とされなくなるその日まで

せめてこれ以上迷惑かけないようにしないと・・・




本日僕は一日オフ。と言ってもこの前のスタジオのことがあるので、家でひたすら練習していた。

「はぁ・・・。うまくいかない・・・・。」

このままじゃダメだ。元貴をこれ以上がっかりさせたくない。若井に心配かけたくない。けれど、そう思えばそう思うほど、焦って指がうまく動かなかった。

「このままじゃダメなのにっ。」

思わず鍵盤を叩けば、不協和音が響き渡った。

「はぁ・・・・はぁ・・・。」

落ち着いて深呼吸をする。大丈夫。まだ時間はある。

ふと、キーボードの上に置いていた若井から貰ったピックがない。

今の衝撃で落ちてしまったのだろうか?

周りを探すが見つからない。

「どこ行ったの・・・?」

なんだか息が苦しい・・・。

目の前が暗くなる。え?まだ昼だよね?

「あ・・・。」

少し離れたところにピックが落ちていた。

「よかった・・・。」

ほっとした瞬間、TVの電源が消えるようにプツリと意識が途絶えた。





気づいた時、真っ白な部屋にいた。

「涼ちゃん!気が付いた?!」

「若井・・・?」

「大丈夫ですか?藤澤さん。」

ベッドで横になる僕の側に、若井とマネージャーがいた。

「僕は一体・・・?」

「涼ちゃん、病院に運ばれたんだよ!」

「病院・・・?え?僕、家で練習しててそれで・・・あれ?」

落としたピックを見つけてからの記憶がない。

「今日涼ちゃんオフだから食事行こうって朝ラインしたけど、昼過ぎても全然既読つかないから何かあったんじゃないかって心配になって、合い鍵持ってるマネージャーに確認に行ってもらったんだよ。そしたら涼ちゃん倒れてて・・・。」

救急車で運ばれて、現在に至るらしかった。

「元貴もさっきまでいたんだよ。ただ、仕事があって帰っちゃったけど。」

「忙しい時に悪い事しちゃった。」

「涼ちゃん、この前から寝れてないし、食事もちゃんとしてないでしょ?」

「あー・・・そうかも?」

「藤澤さん、倒れた原因はストレスと軽い栄養失調らしいです。」

「僕が栄養失調?うっそー・・・。」

「倒れた際の怪我などはないようで、MRIも撮りましたがとりあえず異変はないそうです。」

僕が気を失ってる間に結構大変なことになっていたみたい。

「この点滴が終われば帰っていいそうですが、どうしますか?明日からのスケジュールは。」

「あ、それは大丈夫。ちゃんと食べて寝るよう気を付けるから。」

「分かりました。チーフ(マネージャー)にはそう伝えます。」

点滴が終わり、マネージャー運転で帰る。

「今日はありがとうございました。」

「いえ、では明日また迎えに来ますね。」

「よろしくお願いします。」

マネージャーが帰っていった。

「若井は帰らなくていいの?」

「今日泊まっていい?ちゃんと食べて寝るか見張るから。」

「あはは、そんなに信用ない?」

「信用ないんじゃない。心配なんだよ。」

「ごめんね、迷惑かけて。」

「・・・涼ちゃん、手出して。」

「手?」

掌を差し出すと、あるものが置かれた。

「あ、これ・・・。」

若井から貰ったピックだった。

「病院に運び込まれる時ずっと握りしめてたらしいよ。」

「キーボードの上に置いてたら練習中に落としちゃってさ、床に落ちてるの見つけた瞬間気失ったんだよね。多分過呼吸だと思うんだけど。」

「ねぇ、涼ちゃん。」

「なに?」

「チケット使って。」

「え?」

「二人で逃げ出そう。」

「・・・。」

「実際は大したことなかったけどさ、マジで病院で点滴打ってる意識ない涼ちゃん見た時、心臓泊まるかと思ったんだよ!」

「ごめん・・・。」

「涼ちゃんは十分頑張ってるよ・・・。」

「ありがとう、でもそれじゃ足りないんだ。大丈夫、もうこんなヘマはしないから。」

「・・・・。」

苦しそうに顔をゆがめる若井。

ごめん、そんな顔をさせたいわけじゃないのに。




若井の言葉に思わず「うん」と言ってしまいそうになった

けど、まだ逃げたくないと思ってしまう自分がいる

僕のエゴかもしれないけど

満足のいく音を残して行きたいんだ


離れていてもいつか思い出してもらえるように






数日後、どこから漏れたのか僕が緊急搬送されたことがネットニュースになっていた。

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