『 ロウくんは、誰も好きになっちゃダメだからね 』
その言葉は、俺の中の全てだった
この約束がある限り、これを忠実に守ってさえいれば、彼女は俺を必要としてくれる
傍にいることを許してくれるのなら、自分はどんな存在だって構わない
それがたとえ、恋心を一生殺し続けることになるとしても
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中学生の頃には、自分の顔や声に価値があるということを、薄々自覚していた気がする
異性から好かれやすい顔立ちで、声変わりも早かった
勉強や運動も嫌いではなかったし、なんでもそれなりに器用にこなす様は魅力的に映るらしく、告白される機会も少なくはなかった
それを鼻にかけるようなことはしなかったが、こちらがどんなに気を使っていても、
やはり思わぬ所で人の地雷を踏み抜くことは往々にしてあるのだと学ぶ
mob 「お前、ちょっとモテるからって調子乗ってんだろ」
目の前の鬼のような形相をしたクラスメイトを前に、小柳は考えた
どうやら昨日の女子生徒の告白を断ったのがまずかったらしい
その女子生徒に泣き付かれでもしたのかもしれないが、何にせよ責められる筋合いはない
mob 「おい、聞いてんのか?黙ってないでなんとか言えよ」
よくしゃべるな。
小柳が目の前の少年を無言で見つめていると、その様子に腹を立てた少年に胸ぐらを掴まれた
それでも一切表情を崩さない小柳に、少年は苛立ちを隠すこともなく強い力で突き飛ばした
ドンッと体育館の壁に勢いよく背中を打ちつけ、痛みに一瞬顔を歪める
次に顔を上げた時、拳が振りかざされていた
やばい、と思った時には遅く、既に視界目前に迫る拳
瞬間、ゴッという鈍い音と共に、目の前が暗くなった
しかし、いつまでたっても身構えた衝撃はなく、痛みもない
訝しく思った時、すぐそばでうめき声が上がった
『いったぁ…』
その声にぎょっとして目を開けると、小柳を庇うように1人の少女が背を向けていた
『これですっきりした?殴られてあげたから、きみも私の暇つぶし相手になってよ』
先程手を上げた男子は、思わぬ事態に困惑の表情を浮かべている
そんなことはお構いなしに、今度はその少女が少年の胸ぐらを掴むと、勢いのまま引き寄せた
その光景に、小柳は目を見張った。
次の瞬間、少女は少年にキスをした
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ɴᴇxᴛ » ♡1000 & 💬3
コメント
4件
キス⁉️え、まじぃ⁉️ 私の口角どこにあるか知りませーん❓❓❓
最高すぎんか?? なんで少女は少年にキスをしたんでしょうか??だめだ最高すぎて頭が回らん……!!!
ちょ、えぇ、ワァ((語彙力 なんかもう好き💪🏻💖