地雷さんは回れ右お願いします!
前回の続きからです!
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あべちゃん「証拠何もないんですね」
あべちゃん「やっぱりただのナンパじゃないですか?」
声のした方に目を向けると彼がムッとした表情でこちらを見ていた
あべちゃん「俺就活中であまり時間が無いんですよ?」
ふっか「ああ、それでスーツを着てたんだ」
あべちゃん「なので、もう用がないなら行きますね」
彼は自分の支払い分をテーブルに置いて席を立とうとする
ふっか「え、ちょ、ちょっと」
ふっか「(今呼び止めないと二度と彼には出会えないかもしれない)」
ふっか「時間を取ってしまってほんとに申し訳ない」
ふっか「その、、俺の勘違い、だったんだと思う、」
ふっか「、、ごめん」
俺の態度に、彼は少しバツの悪そうな表情を見せた
あべちゃん「いえ、僕の方こそ初対面で色々失礼なことを言ってしまいました」
あべちゃん「それじゃあ、あの、僕ほんとに時間が無いので、」
ふっか「そうだよね、ごめん」
正直なところまだ彼を返したくはなかった
聞きたい事確認したいことは山ほどあるし、何よりまた彼と会える保証なんて何処にもないからだ
それでも今これ以上の追求は彼を不快にさせるだけな気がした
ふっか「就活頑張ってね、わら」
あべちゃん「ありがとうございます」
あべちゃん「それじゃあ、さよなら」
帰り際彼が微笑んでくれた
その表情はほんの少しだけなべに似ている気がした
ふっか「(今日も疲れたな)」
夜20時過ぎ
仕事が終わり帰り道を1人で歩く
ふっか「(正直今日は仕事が全く手につかなかった)」
上司はおろか、後輩にさえ上の空だと注意される始末だった
それもそのはずだ、4年間待ち続けた恋人と瓜二つの男性に突然出会ってしまったのだから
ふっか「(やっぱりあれはなべだったんじゃないか❓)」
信号が青に変わるのを待ちながら、今朝の出来事を思い起こす
ふっか「連絡先ぐらい聞いとけば良かったな、わら」
街の明かりをぼんやりと眺めながら、後悔を口にする俺の耳に
???「うわっ!」
彼の声が聞こえた気がした
驚いて横を見るとそこには
あべちゃん「また貴方ですか」
あべちゃん「やっぱりストーカーなんじゃないんですか?」
就活終わりであろう彼の姿があった
ふっか「(まさかまた会えるなんてわら)」
ふっか「やあ偶然だねわら」
あべちゃん「ほんとに偶然ですか?」
あべちゃん「まさか待ち伏せしてたんじゃ、」
彼に疑われ俺は慌てて被りを振る
ふっか「いやいや❗️偶然だから❗️わら」
ふっか「ここ俺も帰り道なの❗️わら」
ふっか「それにこんなに寒い中待ち伏せなんてしないよ❗️わら」
あべちゃん「確かにそれもそう、ですねすみません。」
気のせいだろうか
今朝に比べるとあまり元気がないような気がする
ふっか「もしかして就活上手くいってないの❓」
あべちゃん「えっ?」
ふっか「就活中だって聞いた気がしたから、わら」
ふっか「元気がなさそうだったから、面接とかで上手く話せなかったのかなって」
ふっか「ごめん、余計なお世話だよな、わら」
あべちゃん「いえ、平気です」
あべちゃん「それに図星ですから」
どうやら俺の予感は的中したらしい
俺は今朝の反省を踏まえ彼と出来る限り普通に接する事にした
極力なべの話題は出さないように
阿部さんという1人の就活生と会話をしようと心に決めた
ふっか「これもまた余計なお世話だと思うんだけどさ、俺で良かったら相談乗るよ、わら」
ふっか「これでも一応社会人だしねわら」
あべちゃん「えっ?」
彼が驚いた表情で俺の顔を覗き込む
ふっか「(会ったばかりの相手にこんな提案をされたらそれこそナンパだと疑われるかもしれないな〜、わら)」
あべちゃん「その正直な話、就活を初めてから手応えのようなものが全く無くて、」
あべちゃん「けれど周りに相談出来そうな年上の人も居なくて、」
あべちゃん「だからとても助かります」
彼の言葉に俺はホッと胸を撫で下ろす
どうやら俺の提案は彼には好印象だったようだ
それに、と彼が付け足す
あべちゃん「事情は良く分かりませんが、貴方が一生懸命な事は伝わりましたから」
あべちゃん「悪い人では無いんだろうなって」
あべちゃん「あっ、そういえばお名前」
ふっか「あ、ほんとだ❗️わら」
彼の事をなべ本人だと決め込んで話していたせいか自分の話をする事をすっかり忘れていた
ふっか「俺は深澤辰哉」
あべちゃん「深澤さんですね」
ふっか「うん」
ふっか「(出会って間もないから仕方がないとはいえ、なべと同じ顔と声で、苗字で呼ばれるのはちょっと応えるな、)」
ふっか「(なべは俺の事を最初から名前で呼んでたし、わら)」
、、、、
、、、あれ?
なべってどんな声してたっけ?
なべの姿が目の前の阿部さんと重なっていきなべの存在が不透明になっていく
あべちゃん「深澤さん?」
ふっか「ああ、うん、ごめん」
ふっか「(考え事をしてる場合じゃないな、わら)」
目の前の彼はなべ本人じゃないのかもしれない
それでもなべと何かしら関わりのある人物な気がする阿部さんと接点が作れるこのチャンスを逃す訳にはいかない
俺は思い切って彼に提案してみる事にした
ふっか「もし嫌じゃなかったら連絡先交換しない❓わら」
あべちゃん「、、、」
あべちゃん「ふふっ」
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