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最高です!!最後の欧州組のポルさんの後方彼氏ヅラづぁいすき!広めましょうポル日を
最後の欧州諸国のお話大好き〜🫶 フランスの言った斜陽経済国家って言葉、、斜陽って傾き沈む太陽っていう意味があるし、的確すぎて笑う やっぱ対日同盟してるイギリスが有利だよなぁ…って思ってたけど、カステラとかパンとか出てきて「おやぁ?これはもしや?」ってなってにやにやしてた せやなぁ…ポルトガルさんは日本の声を作って残り続ける刻印を残しておりますからねぇ…。 これはポルトガルさん完全勝利やな
蘇さんの育児言葉可愛い〜笑 愛情持って育ててたのが目に見えてわかる、なにかとお子さんたち蘇さんのこと好きじゃないみたいな雰囲気出してるけど、蘇さんが使ってた言葉を未だに使う蘇一家、好きです((( そして栄養補給の日本受け、海×日ありがとうございました 無事成仏です☺
雑多つめつめ、後半はほぼギャグです。旧国もいますのでご注意を。
【もう少しだけ】海日
「アイスですって。懐かしいですねぇ。」
「そうだな。昔、それで家路を陸に追いかけ回された。」
あの頃はレストランくらいしかアイスの食べれる所がなかったんでしたっけ、と出店を眺めながら感慨深そうに日本が言う。
あれから毎年夏はこっそりレストランに通うようになったんだっけか。
それで日本ともかなり打ち解けて……なんてことを思っていると、袖を引っ張って歩みを止められた。
「海叔父さん、アイス食べましょう。」
「これから冷房の効いた部屋に帰るんだぞ?陸じゃないがお腹を壊すといけないから、やめておきなさい。」
やんわりと食い意地の邪魔をすると、日本は唇を尖らせた。
「いやです。言ったじゃないですか。『僕が大人になったら叔父上にアイス買ってあげます』って。」
「あぁ。懐かしいな。覚えてたのか。」
忘れるわけありませんよなどと頷かれては、断る術も理由もない。
あの頃のように抱きしめたくなる衝動を抑え、それならばと首を縦に振った。
***
「はいどうぞ!海叔父さん!」
どこか自慢げにアイスを差し出す顔が幼い頃から変わっていなくて、思わず笑ってしまう。
それでもあの頃コーンが滑り落ちていきそうなほど小さかった手は大きくなっていて、やはりこの子も大人になったのだと痛感する。
「ありがとう、日本。」
「えへへ。実は去年の秋頃思い出しまして。来年の夏は絶対やろうと。」
「それは嬉しいな。陸に自慢してやろう。」
「ケンカはほどほどにしてくださいね……。」
そんなことを話しながら、アイスを片手に家路を辿る。
往生際悪く照りつける夕日のせいで立っているだけで暑いのだから、手元の冷涼感のありがたみは言うまでもない。
「そういえば日本。珍しい味を食べてるんだな。」
「はい。ちょっと挑戦してみました。ピスタチオです!」
「あぁ。イタリアの豆か。最近よく聞くなぁ。」
「海叔父さんもひとくちいかがですか?」
そう言って、日本が少し踵を持ち上げた時だった。
べちゃ。
地面に何か水気のあるものが落ちた音。
恐る恐る視線を下げると、スモークグリーンの塊が道にへばりついていた。
「に、日本………。」
「…僕のアイス………。」
がーん、と効果音のしそうな表情で日本が空になったアイスコーンをみつめている。
何故今になって子供のようなミスを。
そう思うと悪戯心が湧き上がってきた。
「まぁ、コーンだけでも美味しいんじゃないか?」
潤んだ瞳がこちらを捉える。
揶揄うようにアイスを掲げて見せると、日本は悔しそうに唇を噛み締めた。
「やっぱりバニラだな。アイスは。」
「ひどいです海叔父さん!」
海叔父さんにあげようとして落としたのに、と日本が悲痛な声で訴える。
「ふふん。もう大人なんだろう?自分の行動には責任を持ちなさい。」
「ゔ〜〜〜………。」
折を見て、小銭を渡してやろうとした時だった。
ぐ、と右手を掴まれ、油断していたせいで日本のもとに引き寄せられる。
薄桃色の唇が開いたと思えば、ぱく、と雪玉の一角を削られた。
「ん、美味しいです。海叔父さんの。」
赤い舌先が俺の指先に垂れたアイスをペロリと舐め取る。
開いたまま閉じられない口に、なぜかぶわりと上がり出す体温。
掴まれたままの手を妙に意識してしまって、思わず顔を背けた。
「…日本、戻ろう。新しいのを買ってやる。」
「えっ!?いいですよ別に。ちょっと味見したくなっただけですから。」
よければもうひとくち、と言う日本の上目遣いと赤ら顔が見えないように帽子を乗っけ、手を取ってやや強引に来た道を戻る。
「えっ、ほんと大丈夫ですよ?僕別にそんなに食べたいってわけじゃ……」
「いい。奢ってやる。奢ってやるから……。」
「僕そんなに食い意地張ってると思われてるんですか!?」
「違う!」
柄にもなく声を荒げてしまった。
日本が拗ねたように尖らす唇にも、反抗するようにぎゅうぎゅうと込められる手の力にも。
もう先ほどまでの幼さを見出せなくなっていて。
あ、もしかして新手の子供扱いですか!?と怒り始めた日本に、文句を言いたいのはこっちの方だといえない言葉が積もっていく。
いつまでもあどけない可愛らしさしか見ていない俺が悪かった。
悪かったから、本当に頼む。
「……もう少し、子供でいてくれ。」
【育児病】ソ日
「おかえり日本。ちゃんとガラガラぺっ、したか?」
「……ガラガラ………?」
帰宅して一発目に言われた言葉に、思わずドアを開けている姿勢のまま固まる。
ソ連さんはソファに腰掛けたままこちらを見ると、最近風邪が流行ってるらしいからな、と続けた。
「お前体力ないんだから手洗いだけで済ますなよ。ちゃんとガラガラしてこい。」
「……はい、してきます……ガラガラ……。」
静かにドアを閉め、そのままうずくまる。
何だ『ガラガラぺっ』って!!
いや、意味は何となく理解した。
文脈的におそらくうがいのことだろう。
普段の彼は口数が少ないわけではないけれど、余計な修飾語もつけないし、時には伝わるからと主語まで省くような人なのだ。
それが。ガラガラぺっ。
「かわいい〜〜〜〜〜〜………。」
確かに風邪を引いたら迷惑だ、と必死に緩む頬を抑えながらうがいを済ます。
「ソ連さん、ちゃんとしてきました。」
「ん。おかえり、日本。」
一度気付いてしまったが最後。
その日から僕は、そう言って微笑む彼とは無縁そうな言葉の数々に翻弄されることになった。
***
「日本、冷蔵庫開けっ放しだったぞ。寒いさんが入ってくるからやめろ。」
「さ、寒いさん。」
「日本、慣れてても包丁使う時はにゃんってしろ。指切ったらどうする。」
「にゃん……。」
「日本、頭びゅんびゅんしろ。タオルだけだと風邪ひくぞ。」
「ド、ドライヤーのことですか?」
日常の中で不意に落とされる、幼子に言い聞かせるためのような言葉たち。
恐らく彼の育児生活で染み付いてしまったのであろう。
スマホのメモに書き留めた言葉は、ゆうに100を超えている。
このままソ連さん辞典ができちゃったりして。
そんなことを思いながら、僕は今日も彼が『お日様ぱたぱた』をしてくれたばかりの布団で眠りにつくのだった。
(おまけ)
「日本、それずしずしするだろ。俺が持つ。」
「ありがとうございます、ロシアさん。……ずしずし?」
「あぁ。重そうだなと思って。」
「フィンランドさんどうしたんですか?そんなに資料いっぱい……。」
「ちょっとプレゼン近くてさ。……デスクついたら角っこぎゅむぎゅむした方がいいかも。」
「角っこぎゅむぎゅむ……。」
「うん。端が揃ってないとぐちゃぐちゃになっちゃうからさ。」
こうして日本は、無駄に多いソ連の子供たち、もといソ連の言葉で育った国々の語彙にも悩まされることとなるのだった。
【勝利と乾杯】欧州組
会議後の晩餐会……とは建前の、ただ飲み会。
ドイツにイタリア、フランスとイギリス、スペイン。そしてスペインに拉致られてしまった可哀想な俺。
内輪ノリを楽しむためだけに集まった連中は、今日も今日とてアホらしい騒ぎを繰り広げていた。
「だ〜か〜らっ!日本はioといる時が1番楽しそうなんね!!」
「黙れピザ!日本は俺とサッカーの話するのが好きなの!」
ちゃぽん、と上質なワインレッドの揺れる音が響く。
スペインが強くテーブルを叩いたせいでパン籠が揺れた。
「流石小学生。日本さんは私とゆっくりするのがお好きなんですよ。」
「あのさ。しれっと『私と』って入れんのやめた方がいいよ?自我強すぎて日本に嫌われてそう。」
イギリスの皮肉に、フランスが嬉々として揚げ足を取る。
「ブリカスだからしょうがないんね!」
「ウェーイ太陽の沈んだ国!」
「お前もだろうが。」
「あのブリカスが遂に自分の沈没認めたぞ!」
イタリアの発言を皮切りに、ぐるぐると会話は混線していく。
優雅に揺れるシャンデリアの下だというのに、出来上がったのは地獄のループ。
もう1時間近くはこの調子だ。
バカどもめ、と息を吐きながら、淡々と机に並ぶコルクを増やしていく。
「また日本自慢かよ。」
そう呟くと、声がひとつ落ちてきた。
「あいつらも意外と一途だからな。」
騒ぎにノリ辛いらしいドイツが、空になったスペインの席に座る。
同志の登場に、自分の好物を乗っけた皿を進めてやった。
「ほら坊ちゃん。このカルパッチョ美味しいぞ〜。」
「あのおかしなテンションさえなければ俺も混ざれるのに。」
ひょい、とエビが1匹つままれる。
「お前も語りたいのかよ!」
あまりにも平坦なバリトンボイスのせいで反応が遅れてしまった。
何だこいつ。内心ノリノリじゃねぇか。
ホワイトボードを引っ張り出してプレゼンでも始めそうな雰囲気に、同志の消失を悟る。
「まぁ、俺が1番一緒にいるからな。」
「そうか。俺のエビ返せ。」
若くていいねぇ、なんてやさぐれた言葉を吐きながらグラスを傾けていると、いきなりイスごと吹っ飛ばされた。
「はいっ、ありえねー!!!!!!」
「痛っっっっ!?何すんだ白旗!!」
お返しとばかりに叫んでも、壊れたラッパ……もといフランスの声量に勝てるわけもなく。
一緒に張っ倒されたイスを撫でながら、ことの顛末を見守る。
「何?一緒に残業してるからとかそういう話してるわけ?」
「あぁ。」
おいドイツ。何だそのはにかみ。
お前全然そっち側じゃねぇか。
「ioもそれなら負けないんね!いっつもお昼一緒に食べてるんね!」
「いや、俺も含めて3人でだろ。よってトータルは俺の勝ちだ。」
どこまでも平然とした表情で言い切るドイツに、イタリアが悔しそうに舌打ちをする。
「ドイツ!お前今『トータル』って言ったな!?」
「そうだよスペイン!あいつ『トータル』って言った!」
薄気味悪い笑みを浮かべ、肩を組みながらそう囃し立てるフランスとスペイン。
「僕は1858年!」
「俺は1549年!」
「お前が天界にいる間に出会ってまーす!!」
2人はそう大人げないことを言い放つと、揃いも揃って高笑いを始めた。
非常にうるさいことこの上ない。
「まぁ、密度が低ければ歳月なんて幾らあっても同じですがね。」
さっさと酔い潰れてくれねぇかな、と辟易していると、イギリスの一言でノイズが止まった。
丁度いいとイスの復旧に努める。
「おふたりともそんなに長い交流期間をお持ちなのに、持っていらっしゃらないものがおありですよね?」
カス代表の地位、2枚以上の舌、と罵声に近しい賛辞が飛び交う。
イギリスはその全てを余裕の笑みで受け流すと、うっとりとした様子で口を開いた。
「対日同盟。」
公共の電波には乗せられないような言葉を吐きながら、2人が仲良くフロアを叩く。
「全部ioもドイツも生まれてない時代の話じゃん!」
それに地団駄を踏むイタリアも加わるものだから、サウンドバックにされる床が可哀想になってきた。
振動のせいで誰かのグラスが倒れ、白いクロスを染めていく。
「まぁ、日本が歩んできた道だからな。仕方がない。」
「ドイツ……あなたも悔しがってくれていいんですけどね。」
「俺は最大限未来を見据えたいから。」
俺が香り高いワインの無念の最期を見届ける頃、フランスがドイツに賛同するように立ち上がった。
「そうだ!過去に囚われんな!斜陽経済国家!」
それに同調してスペインとイタリアが泣きながら抱き合っている。
「そうだ!歴史書とドーバー海峡に沈んじまえ!海洋国家!」
「そうだ!スコットランド独立しちゃえなんね!離脱国家!」
「真っ先に過去持ち出してきたの私じゃありませんよね?」
イギリスのどこまでも涼しげな表情が癪に触るらしく、黙れカス、などという低レベルな言葉が上質な絨毯の上を跳ねる。
「じゃあお前自慢できる最近の出来事あるわけ!?」
「えぇ。私がこの間お茶の時出したビスケットが、世界で1番美味しいと。」
「褒められてんのお前じゃねぇよ!企業努力だよ!」
高笑いを復活させながらスペインがツッコむ。
「俺はカステラ焼いて貰ったぜ!デパ地下野郎!!」
「なっ…手料理………。」
今日初めて表情を崩したイギリスに、フランスが畳み掛けるように言葉を重ねる。
「僕の焼いたパン頬張る日本、とってもかわいかったなぁ〜……。『このパンとっても美味しいです!』って……。」
「全部消え物なんね!ioのあげたヴェネチアングラスのコップ、ちゃんと使ってくれてるんよ!だからioの勝ち!」
そう満足そうに言い切ったイタリアに、ドイツが珍しくムキになったように言葉を被せる。
「俺は『ボタンほつれてますよ』って直して貰った。もう俺のこと好きだろ。」
酔ってんな。こいつら。
呆れ半分面白半分の視線を投げていると、目が合ったスペインに名前を呼ばれた。
「おいポル!黙ってんなら中立ってことだろ!?誰の勝ちだ!」
自分で当然だと言わんばかりの眼光にため息を吐く。
こんなエゴイストばかりに思われては日本も大変だろう。
「俺だな。ポルトガルに1億点。」
軽く返すと、また一斉に声が弾けた。
「はぁ!?あなたずっとひとり飲みしてただけでしょう!?」
「コミュ障!!クソ陰キャ!!」
誰も気にしない。誰も意識していない。
それでも彼に残るもの。
幾らこいつらが泣こうが喚こうが。俺の太陽が沈もうが。
ずっとずっと変わらないであろうもの。
「勉強が足りねぇよ。お前ら。」
緩む口元を抑えもせずにコルクを引き抜いて、乾杯、とわざとらしく音頭を取る。
ざまぁみろ。
俺の一人勝ちだ。
補足:国たちが自慢している内容は、全てポルトガル語由来の日本語が使われています。相手の言葉に染まるっていいなぁ、と。