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SEUNGKWAN side
僕は今、大学2年生で青春を謳歌している__
はずだった。
だが残念ながら、少しもそんなキャンパスライフは全く送っていない。
大学が終われば、すぐにバスへ乗りそれから 地下鉄へ乗り換える。
そこから猛ダッシュで練習室へ行き、ダンスレッスンを始める。
そう。僕は、大学へ通いながら歌手になる夢を叶えるべくアイドルの練習生をしている。
おかげで大学は留年ギリギリの単位でいる。
しかもデビューできる見込みは全然立っていない。
毎日厳しい先輩に怒られ、マネージャーにも怒られ、レッスンの先生にも怒られる。
毎日毎日、怒られてばっかり。
憂鬱な日々だけどいつかデビューできて、ステージできらきら輝いている僕。
あ〜あ、素敵だろうな。
一体どんな景色なんだろう。
ステージから客席をいっぱいに埋め尽くすペンライトはどんな風に見えるんだろうか。
大きな会場に自分の声だけがこだまする、どんなに気持ちがいいんだろう。
皆が僕を知っていて僕らを見に来る。
僕がマイクを向ければたくさんの返事が返ってくる。
どれだけ頑張ったらそのひと握りの人間まで漕ぎ着けるのだろうか。
??「おい、スングァン。集中しろ。」
??「やる気ないなら出ていけ。」
SG「あっ…すみません…!」
SG「集中します…」
この先輩は厳しい。
かなり厳しい。
僕は歌の素質を認められ事務所に入れたのはいいものの、ダンスはめっきりできない。
だから怒られる。仕方がない。
この先輩はダンスがすごく上手でバックダンサー経験があってパフォーマンスリーダー的存在。
この先輩は越えなきゃ。
じゃないとデビューできない。
もっと…もっと___
SG「ハンさ〜ん!!!!」
HN「……?」
HN「あぁ…!」
SG「お久しぶりです!! 」
このかっこいい人は執事さん。
って言っても僕の執事さんじゃなくてお医者さんの坊っちゃまの。
僕が練習がつめつめすぎて道端でよろけた時に助けてもらったのだ。
ふわっと香った香りが亡くなった友人に似ていた。
その友人は僕に歌手の道を進めてくれた。
その友人を忘れたくなくて僕は懐いていた。
はずだったんだけど、いい人すぎてすっかり心の底から懐いてしまった。
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ある日またハンさんを見かけた。
2ヶ月ほど会ってなかったからとても嬉しくなって長く話してしまう。
ハンさんはもうそろそろ…なんて言うけどもうちょっと話していたくて止めてしまう。
カトクだけ…とカトクを送る。
数分後、一緒に行きますか?と言われるので僕は喜んで着いていく。
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・
大きい家だなぁ…
ハンさんに着いていき、インターホンを鳴らすと…
イケメンなお兄さんが出てくる。
ぞろぞろ出てきたお兄さん達は皆イケメン。
こんなにイケメンが揃うことがある?
と思ったのもつかの間、子供みたいな感じだけどクールな顔の人に「は?」と言われる。
え、怖い。なんで皆そんな顔で見つめるの…?
ハン…と名前を呼ぶ子兎のような顔の人。
おっ、この人が坊っちゃまか。
ハンさんが自己紹介するのに続き、僕も自己紹介する。
それでも皆何も言わない。
せっかくイケメンなのに…愛想がないのが残念。
アイドル向いてそうなのになぁ。
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重い。
空気が凄く重い。
初めての評価の時に振りを忘れ、フリーダンスで何とか乗り切った時より重い空気。
じろじろイケメンなお兄さん達に見られるし。
沈黙が嫌いな僕は思わず口を開く。
SG「えっと……僕、やっぱり邪魔でした…?」
そういうと先程「は?」と言った人があんまりみてやるなよ、と言ってくれる。
少し微笑んだ気がする。
笑ったら可愛い。なんだ、不器用なだけなんだ。この人。
それから皆が気まずそうに目を合わせる。
一息ついたクールな可愛い人から普段なにしてんの?と聞かれる。
僕は大学生と就職的なの…と誤魔化した。
すると聞いたくせにふ〜ん、と言われる。
え、もうちょっと反応しない?何学んでるの?とかどんな仕事に就きたいの?とか。
まぁ聞かれたところで困るんだけどさ。
そこからきゅるきゅるふわふわの顔した中性的な人がアイドル向いてそうだよねと。
思わず心臓が跳ねる。
こんなイケメンたちの前でアイドルです、なんて恥ずかしくて言えない。
中性的な人が言ったあと、珈琲を飲んでいたまつ毛バサバサの人がむせる。
僕は少し心配しているが、周りはニヤニヤしている。
なんだ、この人たち。
変なの。
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・
ハンさんが帰ってしまった。
出してもらった珈琲ももう3杯目で申し訳なくなる。
そこで鋭い目つきの人がスングァナ、と呼んだと思えば覚えてないの!?と言われる。
え、え?なんのこと?
知ってる人?だから気まずそうなの?皆。
可愛い人もだんまりで知らない人です、という顔をしている。
やばい…思い出さないから怒ってる。
誰だ…誰だ?
もしかして…
昔公園に友人と行けば自販機でジュースを奢ってくれる先輩がいた。
バトミントンが好きな僕はよく相手をしてもらっていた。
そのお兄さん達か…?
一か八かで聞いてみる。
すると、可愛い人がふっと鼻で笑う。
それから中性的な人がバトミントンが好きだったよね、と甘い喋り方で問いかける。
やっぱり!と思ったのも束の間、嘘だと言われる。
それから駄菓子屋で__とかあの時助けてあげた__とか、かわれ続けた。
痺れを切らした僕は鋭い目つきの人へ強めに聞く。
すると、怒ったみたいで口をとんがらせてちょっとした言い合いになる。
それからつい口から出た。
ホシヒョン。
え、?だれ?と思った瞬間。
僕はくらっとする。
無数のペンライト。
僕を包む感性。
抱きしめてくれる__
まつ毛バサバサの人……?
じゃなくてクプスヒョン?
思い出したよ!!!と行った時には皆が笑っていた。
それから泣いたホシヒョンに追いかけられ、みんなから抱きしめてもらう。
あぁ、夢はとっくのとうに叶ってたんだ。
幸せだな、僕は。
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