テラーノベル
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「ケーキも手作りにしようと思うの」
「へぇ〜楽しみだ」
「うふふ、楽しみにしていてね。いってらっしゃい」
いつものように海を見送る。
前回、夕方になって海から急な接待があって遅くなると連絡がきた。
料理は帰ったら食べるからと言う通りに、深夜になって帰宅した海と帰ってくるのをずっと待っていた私は冷めた料理をレンジで温めて二人で食べた。
接待だから食べることも出来ずお腹が空いていると言っていたが、弥生とホテルで運動してきたのだからお腹が空いただけなのかもしれない。
掃除を終わらせて、果物をたっぷりと使ったケーキを作り冷蔵庫で冷やした。
海が食べることは無いのだけど。
夕食の下準備をしていると海からラインが入った。
『ごめん、急な接待が入って避けられそうもない。遅くなるけど料理は食べるから』
やっぱり、弥生のおねだりに応えたのね。
わかっていたことだし、お義父さまと一緒に食事をしよう。
「今日は海が遅くなるって言っていたのでお義父さまと一緒に食べたいと思って持ってきたんですがいいですか?」
「海智が?そうか、一人で食べるより二人で食べる方が楽しいからね。わたしからもお願いするよ」
カートからメインの煮込みハンバーグ、唐揚げ、サラダとチラシの鞠寿司を並べ、最後にフルーツたっぷりのケーキを置いた。
「美味しそうだ」
「ケーキも手作りなんです」
「ほぉ、なんだか思い出すな」
聞いてもいいのかどうかわからないかったので、その思い出を聞くことは憚られた。
お義父さまがハンバーグを一口食べると優しい表情になった。
「このハンバーグ美味しいね」
「実は、海のお母様が煮込みハンバーグを良く作ってくれたって言っていて、それを再現してみたんです」
「うん、よく似てるよ。懐かしい気持ちになる」
「そうなんですね、よかった」
噛み締めるように食べる姿をみて奥様を本当に愛してたんだと感じた。
「奥様は・・・」
迂闊に聞いてはいけない気がして、言葉を飲み込んだがお義父さまは微笑むとゆっくりと話を始めた。
「慶子はいつも穏やかに笑っている人だった。どんなに仕事に疲れていてもそばにいてくれるだけで癒されたんだ。だが、海智を身籠ったときに子宮筋腫が見つかって、安静にしながら何とか産むことができたんだが、それから10年経って子宮肉腫になっていて気がついた時はもう遅かったんだ」
「そうだったんですね」
子供を残していく無念さはどれほどだっただろう。
でも、それほど奥様を愛していたのにどうして弥生のような女と再婚したんだろ。
食事が終わり、デザートとしてケーキを食べるために緑茶を淹れた。
「有名なケーキ屋で買ってきたと言ってもわからないほど凄いね」
「そこまでじゃ無いですよ」
お義父さまは一口頬張ると「うん、甘さを控えていて食べやすいし、ぶどうやイチゴが引き立って美味しいよ」
私も我ながら上手く行って美味しいと思っていたので、たくさん褒めてもらえたのが純粋に嬉しかった。
いい雰囲気だし、この流れで聞いてみよう。
「弥生さんとの馴れ初めは?」
「慶子が他界して海智とどう接していいのかわからなかった。別に不良になったとかじゃないが、むしろ優等生で何も言わないところが不安でもあったんだ。普通、思春期だと色々悩みがあってもおかしく無いのに、何もないの一点張りだったから」
優等生だったんだ。
「そんな時、わたしの秘書になった弥生が海智の学校との連絡をしてくれるようになって、さらに弥生も肉腫の為子宮を摘出したと聞いて、そのことで結婚の話が流れてしまったという話を聞いたから同情もあったのかもしれない」
「それで、海智が17歳の時に再婚したんだ。ちょうど開智は受験もあり弥生が力になってくれたようだった。私の弥生に対する感情は妻というより妹に近いのかもしれない。だから、弥生が家事を一切しなくても何も感じなかったのかもしれないな」
最初から弥生のターゲットは海だったってこと?
「だから、奈緒さんが海智のお嫁さんになってくれて嬉しかったんですよ」
しばらく話をしてから自宅に戻った。
お義父さまの話を聞いて弥生に対して同情よりもより醜悪な感じを受けた。
そんな女をどこかで抱いている海に関しても嫌悪感を感じる。
海用のハンバーグや唐揚げ鞠寿司を三角コーナーに捨て、三角コーナーに入りきらないケーキはそのままゴミ箱に入れた。
シャンパンの栓を抜くとシンクに中身を流してテーブルの上には
Kai・Naoと刻印したボールペンを置いた。
高級ボールペンに学生のようなノリの刻印、こんな恥ずかしいの私だったら使わないわ。
シャワーを浴びてから全ての電気を落とすとベッドに入った。
好物を作ってくれとか言いながら、外で女を抱いてくる男に何も残す気はない。
それよりも、お義父さまとたくさん話ができて良い1日だった。
#大人の恋
鷹槻れん

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#ハッピーエンド
美凪ましろ
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コメント
1件
第13話読み終えたよ!義父さんとの会話で弥生のターゲットが最初から海だったってわかるシーン、ゾッとしたわ…。最後にせっかく作った料理を全部ゴミ箱に捨てる主人公の決意、めっちゃ胸に来た。この静かな怒り、好きだわ。次が気になる🔥