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#主人公最強
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妖精の住む森〜西〜
南でエメルが戦闘を始めた頃西でもまた戦闘が行われていた。
「アンチ魔法を唱える術者を見つけましたがなるほど護衛がやはりついてるようですね。」
「フ-ッ……フ-ッ!」
「しかしこれはどうにも戦いにくい相手です。」
そう言い放つ大妖精の前にはみすぼらしい衣類に身を包み手足には錠が課せられており、ボロボロな見た目の獣人三名と謎の男が立っていた。
「なるほどねぇ。本当にあのオッサンが言った通りこれ身につけてればこの娘達言うこと聞いてくれるんだ。」
(私を襲ってくるのは奴隷として捕まってしまった獣人の方三名…。その三名は共に意識を取られてるみたいね。血走った瞳をして歯を食いしばってるけど何とか自我を取り戻そうと彼女達もまた頑張ってるみたい。なんともまぁやりにくい相手だけどかと言って手を抜けば私もやられてしまう。本体ではないにしろ私がここでやられれば前線は崩壊するでしょう。
理想は彼女らを殺さずに奥の男を倒す事ですが事はそう上手く行きません。操ってるであろう彼は自分に攻撃が来そうな時は守らせてるのですからね。とはいえ私もエメルやラルドのように剣や弓を長く扱ってきた訳では無いのでそこまで巧みには操れませんから傷一つ付けずに対処なんて事は無理でしょうね。
心苦しいですが彼女達には少し痛い思いと怖い思いをして頂くことになるでしょう。)
「いやー。夢にまで見た女の子の獣人を僕が使役できる機会があるなんてね。しかもここを守ればお金も手に入るしそのままこの娘達も頂ける。役得過ぎるなぁ?」
「あら?いい趣味してるのねあなた?」
「妖精族の戦士?そんなのいるの知らなかったから初めて見るなぁ。君もいいね!四肢をもいで抵抗できない状況にして僕のペットにしてあげる!だから大人しくこの娘達にやられちゃいなよ!」
「嬉しいお誘いだけど私からはお断りさせて頂こうしら?それよりもあなたが操ってるこの娘達と一緒にお茶した方が楽しそうだしね?」
「僕の下に着けばこの娘達とお話もできるし何より僕という人間様に飼われるんだよ?それってとっても光栄な事じゃないかな?
人間のしかも男は生物の頂点に立つ存在で人のメスや人型のメスはみんな人間の男の下に着いて従って生きるべきだよね。男を立てるのが女の役目で捌け口になるのもそれに含まれる。違うかな?」
「妖精族は長寿だからその辺の感覚はなんとも言えないですけど私はラブアンドピースが好きですので。みんなで紅茶を飲み、他愛のない話で笑いあってた方が性にあってますかね。」
「僕の理想郷に共感してくれない君を逆に気に入ったなぁ。さっきの通り四肢をもいで分からせが必要みたいだね!さぁ三人とも、目の前に立つ女を動けなくなるまで叩きのめしてあげてね!」
彼がそう命令すると紫の嫌な波動が放たれ、彼女らに付けられている錠が光り命令を遂行しようと始める。
(ここに来るまでは何とか誤魔化しながらでも戦えたけどこの娘達三人を同時にとなるとかなり厳しい戦いになる。魔法が使えない今己の技量で何とかしないといけないけど……。
そうねぇ…。永い時を得てまた私に力を貸してくれる……アクス。
私の記憶の中の彼の戦いぶりを何とか再現する。この娘達の綺麗な顔や若い肌を傷付けるのは少し気が引けるけどちょっとだけ我慢してもらおうかしら。)
「それじゃあ仕方ないわね。この娘達に罪はないけど少し黙っててもらおうかしら。」
「魔法の使えない妖精族は怖くないよ?付け焼き刃のそんな剣技で森と共に自ら狩りに行くほどの屈強な獣人相手に通用は…。」
そう言葉を続けようとしたとき目の前で信じられないことが起きた。先制攻撃を始めた獣人の一人の顔を掴んだと思えば勢いよく地面に叩きつける妖精族の姿が映ったのだ。
「確かに私も剣なんて握ったことはありませんが誰よりも近くで見てたんですよ。しかも私が見てた人は歴代の方の中でもだいぶ荒い方でしてね。それを参考にしてるため加減の仕方も分からない訳です。ですがまぁ、男と女では筋力量も違いますし全力でやっても彼女たちは死にはしないでしょう。剣を使うだけの方ではなかったのでこういったことももちろん取り入れますよ?」
(い、今の一撃で獣人一人が気絶!?そんな馬鹿な事があるわけ……。それに相手は妖精族で魔法によるバフなんて掛けられるわけが無い。じゃあ元が怪力なのか?いやいやいや……。僕の知る限り妖精族で怪力の持ち主なんて歴史上誰も出てないんだ。だからコレは何かの間違いなんだ……。)
「今の一撃で一人は伸びちゃったか。これなら剣を使わなくでも済みそうだけど、彼女らは私を殺す気で来る訳だから私もそれに合った対応をしないとね?」
すかさず二人目が鋭い爪をたてて襲い来るが左の手の甲で弾きその勢いのまま木々を数本なぎ倒しながら吹き飛ばされる。
三人目は正面から迫り手刀で大妖精の首を落としに来るがバク転をしながら攻撃をかわしつつ彼女の顎に蹴りが決まる。そしてすぐに体勢を立て直し横に剣を振るって彼女の腹を切り裂く。
「なるほど…。彼の戦いぶりが戦神と言われる理由も模倣しただけですが分かった気がします。」
「な、なんなんだあんた!?妖精族のくせにどこにそんなに力が…。」
「ネタばらししてもいいですが少しお待ちくださいね。」
剣を鞘にしまい先程切り付けた獣人の元まで行き念を込めて近くの木に頭部を強くうちつけ気を失わせる。
そしてただ吹き飛ばしただけの二人目が一気に距離を詰めてき近付いてきたが直ぐに屈んで腹部に肘を一撃。これにより三者ともにリタイアする事になる。
「あ、あぁ……。な、なんなんだよこれ……。あのオッサン話が違うじゃないか!?…妖精族は…妖精族は魔法だけでそれが封じられたら大したことないって………。」
「あなたの雇い主の意見はあってるよ。ただ私が例外ってだけ。」
「は、はぁ?」
「私はゴーレム、お人形さんよ。」
「ご、ゴーレムがこんな制度の高いものなわけが……。」
「人の世にはマネキンなるものがあるのでしょう?気を削り人型にする。それをさらに加工していき装備の展示に使ったりするもの。他にも近しいものと言えば石材を削って作る美術品、石像。それと変わらないわ。」
「だ、だとしてもそれをゴーレムとして扱う人間は誰もいない!理由は単純で人の動きが複雑故にそんな細々とした動きなんて出来ない。だから大体のゴーレムは巨体で単調な動きだけしかできないようになってるはずなのに……。」
「できない理由は単純で元となる器の耐久性が弱いこと。そしてそれを生きてる人と同じレベルで操るための魔力が枯渇してること。」
「ま、まさか……。」
「そう…。この体はその二点の問題を超えてるの。器となるこの体は様々な合金によって作られており部位ごとに使われる金属も違っているため柔軟性に優れている。
そして魔力の問題だがいくら妖精と言ってもそのレベルのゴーレムは動かせない。なら、魔力での稼働ではなく本人が入ればその問題を解決できるという結論に行き着いた。」
「魂の魔法を…アンタは使ったのか!?あれは禁忌の魔法と言われているのに……。」
「魔法に長けているからこそ扱いを間違えることなく使えるの。分かるかしら?」
「じゃ、じゃあ!?なんで魔法を使ってるのにその体は動けるんだ!?アンチ魔法の元で活動できるなんて…。」
「あなた方が使ってるアンチ魔法は『魔法の発動を封じる』という魔法。この魂の魔法は『発動後効果を維持する魔法』種類が違うのよ。
前者はファイアやアイス等とにかくこのエリア内で使うという行動をした時にそれを封じるもの。しかし私のこの体はアンチ魔法外で受肉しその後中に入ったため発動を封じるという制約を抜けてるの。」
「効果を維持するという方に主導権が移るからか……。 」
「アンチ魔法を使うなら魔法そのものを使えなくするというものを使えたら良かったわね?まぁ、そんな魔法は作れないのだけれど。」
「そ、それじゃあ僕はこの後どうなるんですか?」
「本当だったら死んでもらおうと思ったんだけどあなたの穢れた血がこの森に流れるのも嫌なので捕まえて外のギルドって所に受け渡して彼女達のちょっとした小銭稼ぎになってもらおうかしら。」
そういいゆっくりと近付きその圧に負けて男は腰を抜かしそのまま後退りしていく。
「ぼ、僕は妖精族にまだ何もしてない!無、無罪じゃないか!!?だから逃がしてくれても……」
「奴隷になってしまった獣人、しかも女の子三人を道具として使い挙句の果てに男尊女卑の偏った思想を持つあなたにそんな権利があるわけが無いでしょう…。」
その後男は首を絞め落とされて気を失い、アンチ魔法を唱えていたフードの男も森から退いてもらい四方を取り囲むアンチ魔法の網を取り払うことに成功したのであった。