どうも、へびまるです
ウェスヴァンメンケアシリーズ、
第一弾!
「チェックメイト中毒」
こちらは、ヴァンのメンケアするウェス、というリクエストを頂いて書き始めたものです。
リクエストありがとうございます。
しかしですね、これはメンケアと言えるのでしょうか、と書きながら思ってはいます。
なぜならば、強がりダーマーだからです。
因みに残りは“なんちゃって希死ダーマー”と“ぺしょダーマー”です
↑これは、もう、何言ってんだって思って読んでおいてください。
ネタバレに繋がるかもしれないので何言ってるかわからないくらいがちょうど良いです。
ぺしょダーマーならご期待にもお応えできるかと……
まぁ、兎に角。
どうぞ。
_____
「チェックメイト中毒」
van.side
少し高級そうなチェスの駒たちを挟んだ先のウェスカーを見る。
真剣に考え込む彼の、長いまつ毛が動くのを観る。
とある夜、古いチェスセットを持ち出してきた彼は、家の棚を整理していたのだと言った。
懐かしくて、つい私と遊びたくなったらしい。
本棚の整理中に古いアルバムを開いてしまうのと同じ現象だ。
突然、彼は顔を上げて私に問いかけた。
「ヴァンさん、最近どう?」
「え?なんで急にそんなこと聞くんです?」
「えぇ〜ヴァンさんの気を逸らそうと思って…」
「あぁ、そうですか。最近、ねぇ…」
考え込むうちに、白いポーンがひとつ前へと進んだ。
「次、ヴァンさんですよ。どうぞ」
「はい、うーん……あ、最近、部下がやらかしまして」
またか、と自分でも思うほど何度も彼に言った前置きを、私は苦く笑いながら黒のナイトを摘んで言う。
頬杖をつく彼の指がぴく、と震えた。
「またですかぁ…?」
「はい…」
「あんだけ私が言ってやってんのにぃ?」
「ふふ、すみません」
「いやいやヴァンさんのせいじゃないですよ」
ナイトを元の位置に戻し、私もポーンを動かした。
しばらく無言のまま試合は進んでいく。
「…最初は、クビにしようかとも考えて」
「はい」
「でもなんだか苦しくなるんですよね」
「……」
「ちょうど、こんな風に、」
囮のポーンが白い駒に弾かれ、ボードの上からいなくなる。
その代わりに、ルークで彼のビショップを倒す。
「私にとって、ただの駒だった」
駒でしかなかった。
なんの思い入れもない、
ただ、淡々と目的を達成するための、
駒。
「なのに、」
胸が締め付けられるように感じて。
先に取られた、前に進むしかできないソイツが、彼の指に挟まれて揺れていた。
「まだ可能性があったはずなのに」
自分の駒を動かしながら言葉を続ける。
「私の判断でそれが消える」
もしかしたら、ポーンを取られないようにすることもできたかもしれない。
ポーンの犠牲をもっと有効に活用できたかもしれない。
何が最善だった?
本当にこれでよかった?
なんて、いつも自分に問いかけている。
息が苦しい。
それを誤魔化して、誤魔化して、誤魔化して、悪化して。
知ってる。分かってる。
私は無力で弱い。
心臓がうまく鼓動できていないような感覚がする。
動けない。
「ウェスカーさん、我々はボスですよね?」
「…ボスですね」
「ギャングを支える責任があって、それを全うすべきですよね?」
ギャングというのは、チェスと同じだ。
私はキングだ。
組織を統べる立場でありながら、余りに手が届かなくて、無力な。
辟易する。
「責任、ですか…」
サングラス越しに、心を射抜くような鋭さを持った双眸が見える。
心を締め付ける黒いモノを見透かされたような気分になって、思わず目を逸らした。
「ヴァンさん…」
「なんです?」
「貴方ねぇ、溜め込みすぎなんですよ」
歌うような調子でそう話を始めて、ビショップを動かすウェスカー。
白市民が見たら逃げ出しそうな、しかし私にとってはもう飽きるほど見た、悪い笑みを浮かべている。
この顔は、何か仕掛けてきたな?
長年の付き合いからくる勘がそう告げた。
頭をフル回転させて彼の作戦を見破ろうとする。
短いようで長かったゲームも、終盤に差し掛かってきたようだ。
「無理しすぎ」「抱えすぎ」「頼らなすぎ」
「ゔ…」
「もっと私を頼ってください」
「はい…」
「だいたい、貴方は人間です。ちゃんと傷付くんです」
「……」
「それを自覚してください」
「でも、」
「でもじゃない」
じわじわと追い詰められていく。
精神的にも、この盤上でも。
あぁ、それなのに、
心地よかった。
彼になら追い詰められるのも悪くないな。
なんて思ってしまう。
「私は、ヴァンさんのことが好きです。だからそんなふうに苦しんでほしくないの」
「すみません…」
私の素直な謝罪を聞いて、彼は満足げに微笑んだ。
コツン、とクイーンが盤上に躍り出る。
「チェックメイト」
死角から飛び出してきたその女王に成す術もない。
私の、負けだ。
「私の勝ちです、ヴァンさん」
「……強くなったな」
「んふ、そうですねぇ。昔は全然勝てなかった」
「どんどん抜かされていく気がする」
「でも私がここまで来れたのは、ヴァンさんのお陰ですよ?」
そう言って身を乗り出して、彼は私の唇に軽くキスを落とした。
肩を優しく掴まれる感触がする。
小さな音を立てて吸われた、それが、まるで私の胸の蟠りさえ吸い上げたように思えて。
私は、
「う、ウェスカーさん、急にキスするのやめてくださいよ」
「いやぁ、勝利のご褒美は必要でしょう?」
「……もう一戦」
「ははっ、」
なんと言えば良いものか、この楽しさに酔ってしまったみたいだ。
気が狂いそうなほどに。
彼も愉快そうに笑っている。
「いいですね。ヴァンさん強いから、次は勝てないかもしれない」
「…次は負けませんよ?」
「望むところです」
fin.
_____
お疲れ様でした。
いかがでしたか?
念の為に、強がりダーマーの考察を少し書いておきます。
・自分が悩んでいることを理解しているのにそれを他人に一切見せない。
→ボスとしての威厳、他人への配慮を考えてのこと。
・ウェスカーだけはその悩みに気付いて、
かつ彼の威厳を保ちつつ、
気を遣わせたと思われないように、
彼の話を聞き、
励まし、
勇気づける。
それでは!
また会いましょう。
コメント
4件
ありがとうごさいました! wesvanいいですね(///∇///) 甘々な2人も見てみたいです!! シリーズ化、めちゃめちゃ気になってます! ぺしょダーマー待ってます(*´艸`*)