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僕が魔気の『気』を感じられるようになってからしばらくがたった。ライ姉さんのおかげであっという間に魔気を習得できた。さすがに姉さんの威力までとはいかないけど。

今日は姉さんたちの依頼に同行して、僕の武術がどれくらい成長したか試してみることになった。

冒険者と組むと、『加護』を授かっていない人でも魔物が住む森へ入ることが許可させれるらしい。

「ラウロ、そんなに固くならなくてもいいわよ。ここは初級冒険者用の域なんだから」

「き、緊張なんて⋯⋯」

「大丈夫だって!わたしたちがついてるんだからねっ」

「うん⋯⋯!」

やっぱり、姉さん達といる時が1番安心するな。なんだか、家族みたいで。

⋯⋯家族?

僕の本当の家族は、姉さんたちじゃない。

姉さんはただの命の恩人。それだけだ。僕が1人で生きていけるまで力の使い方を教わればあとは用済み。さっさと他の場所へ移って、他の人間の力もコピーでもしよう。

さあ、早く強くなってあの男に復讐しないと。

⋯⋯あれ、おかしいな。そんなこと思ったことないのに⋯⋯。

「とうしたの?はぐれてしまうわよ」

「あっ、ごめん」

なんだか心の奥底がむやむやする。本当にどうしちゃったんだろう、僕。

そんなことを思いながら2人の後を追っていった。




「あっ、いた!スライム!」

すらいむ⋯⋯あれが魔物ってことか。水色で半透明。ニュルニュルしてて、なんだか不気味。

「このスライムは体内に核があるの。ほらあそこ。透明だからわかりやすいし、狙いを定めやすいことから初級魔物ともいうわ」

アリサ姉さんはこういう豆知識や薬草の説明を沢山してくれる。勉強になるなあ。

「そうなんだ!ありがとうアリサ姉さん。じゃあ、早速攻撃してみるね!」

「頑張って!」

「慎重に行くのよ」

僕とスライムの距離は約十メートル。今回は魔気がどれくらい飛ばせるか、つまり今の成長度を測るのだ。

「ふ〜っ⋯⋯」

目を閉じて意識を集中し、周辺の気を手元に集める。これで魔気を使った別の技が出せたらいいんだけど⋯⋯。

「ふっ!」

『バシュッ』

僕が放った魔気はスライムの核へ一直線。だがスライムがぶよぶよと動いていたため、核のすぐ隣を貫いた。

自身の身体に突然穴が空いて驚いたのか、スライムはすぐさま穴を塞ぎ、去っていった。

「⋯⋯!」

「ああっ、おっしい!」

「でも一発目でスライムに命中なんて、流石ね」

『──────下手くそ。もっと深く集中しやがれ』

「いやいや、そんなこと言われたって⋯⋯」

⋯⋯ん?

「え?ラウロ、今なんて?」

「あ?!い、いや、なんでもない?」

「明らかに嘘ね。語尾が疑問詞だもの」

今の声⋯⋯姉さんたちには聞こえてない。でも、僕は1度だけ聞いたことがある。ただただ真っ暗な空間で。

本当に誰なんだろう。どこにいて、何故僕だけに語りかけてくるんだろう。この人に関しては分からないことだらけだ。

『さっさと魔気を習得しろ。俺が困るんだよ』

何が困るんだろう。

まあ、習得したいのは事実だし、今日中を目標に頑張ってみようかな。

「アリサ姉さん、この辺にスライムいない?僕、もう1回やってみたい!」

「⋯⋯!探してみるわ」

「あ、アリサが可愛さに負けてる⋯⋯」




『どー考えてもおかしいよな⋯⋯』

一言だけガキに声をかけてどんな状況か確認してみたが、俺が呼び戻したはずの記憶がまだ飛んでいる感じだった。それに、焦りと苛立ちが一瞬たりとも視えなかったしな。

『ま、どうせ俺が表になる時がくる。その時にもっぺん伝えておくか』

⋯⋯いや、表に出たとしても力がないと何も出来やしねぇ。ガキにひとつでも技を覚えてもらわないと。

『くそ。しゃーねー、もったいぶってたガキの魂精(こんせい)を使い切っちまうが仕方がない。《暴食》”俺の魔法は絶対だ”』

そう詠唱すると真っ暗な空間に漆黒の魔法陣が浮かんだ。





魂精⋯⋯命のエネルギーのようなもの。自身の体力や、魔力、体の一部などを代償に力として使うことができ、制御しきれないほどの破壊力をもつ。使いすぎると命を落とす。

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