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たくさん通知が来ていてもう読むしか無いじゃん!!
涼ちゃんの儚い表情が想像できます😢これからどうなるの?続き待ってます!
リハーサルを終えた夜。涼ちゃんはスタジオを出ると、ひとりでビルの屋上へ向かった。冷たい風が頬を撫で、街の灯りが遠く瞬いている。
ポケットに手を突っ込んで、少しだけ息を吐く。
熱はもう下がったはずなのに、身体の奥がずっと重たい。
「…また、無理してるな」
後ろから静かな声。振り向くと、元貴が立っていた。
「上着、着ろよ」
そう言って、自分のパーカーを肩に掛けてくる。
その温かさが、やけに心に染みた。
「…ありがと」
「涼ちゃん、最近ちゃんと寝てる?」
「うん、寝てるよ」
嘘だった。寝てはいるけど、頭の奥がずっとざわざわして眠った気がしない。
沈黙が落ちる。夜風の音だけが二人の間を流れる。
元貴はしばらく涼ちゃんを見つめてから、ぽつりと呟いた。
「俺、涼ちゃんが頑張るの、もう無理してるようにしか見えないんだ」
涼ちゃんは笑った。
「頑張るしか、ないんだよ」
その笑顔が、どこか壊れそうで。
元貴はそっと涼ちゃんの肩を抱いた。
何も言わず、ただ夜の中で一緒にいた。