「理仁君と双葉ちゃんの結婚を祝して! 乾杯!」
「乾杯!!」
ママさんの音頭で、小さめのグラスに入ったビールを飲み干すと、みんな、大拍手で私達を祝ってくれた。
「灯り」でのひと足早いお祝いの会に、顔見知りのお客さんや涼平先生、そして、常磐社長も参加してくれた。
「双葉さん。理仁のお嫁さんになってくれてありがとう」
常磐社長――理仁さんのお父様。
ダンディで優しい、素敵なおじ様。
こうして2人並ぶと、あまりのイケメンぶりにドキドキする。
「ありがとうございます。私、理仁さんのために一生懸命頑張ります」
「いやいや、頑張らなくていいんです。双葉さんはそのままで十分素敵だから。この店にいる時のあなたは本当に笑顔が可愛くて、優しい人だと拝見していましたよ。こんな人が理仁のお嫁さんになってくれたらいいと密かに思ってたんです」
「そ、そんな、恥ずかしいです」
そう言いながらも、何だかすごく嬉しかった。
「え~。密かに思ってたって、私じゃダメだったんですか~?」
朱里がふざけた感じで言った。
「君には別の男性を紹介しよう。私の知り合いの社長の息子なんだが、とても明るくて性格のいい男で、朱里ちゃんにピッタリなんだ」
「えー! 本当に? 嬉しいです~。ぜひ、待ってます」
「あらあら、常磐社長。そんな適当なこと言って。朱里は私の大事な1人娘なんですからね」
「適当じゃないよ。香里さんの大事な娘さんだからこそ、私が推薦するんだ。理仁よりもさらに素晴らしい男を紹介するから安心して」
「理仁君より素晴らしいって、これ以上のイケメンがこの世にいるとは思えないわ」
常磐社長の言葉に、ママさんは困り顔で微笑んだ。
「お母さん。私ももう十分大人なんだから。誰かとちゃんと恋してみたい」
朱里には本当に彼氏がいないけど、私は知ってる。
色々な男性にアプローチされてること。
「近々一緒にここに来るから。とても良い青年だよ」
「うわぁ、楽しみ。双葉、私も早く追いついちゃうからね」
誰よりもお母さんを心配して、ずっと今まで自分の恋愛を我慢してたんだよね。でも、もう朱里も幸せになる時なんだよね。ママさんだって、そう願ってるんだから。
「楽しみだよ。朱里が幸せになるの」
「双葉……」
「えっ、いやだ、朱里、どうして泣くの?」
「だって……双葉が幸せになるの、本当に嬉しいから。長い間大変な思いして頑張ってきたの、私はずっと見てきたから。苦労した分、最高のご褒美をもらったね、本当におめでとう」
「朱里……ありがとう。朱里とママさんのおかげだよ。2人がいなかったら、私、とっくにダメになってた」
「双葉ちゃん……。あなたは自分の力で幸せを掴んだの。理仁君と出会って、恋に落ちて、色々あったけどやっぱり再会して。これは全部必然ね」
ママさん……
「ありがとう。私、みんなに感謝してる」
「ここにいるみんなも双葉ちゃんに感謝してるのよ。さあさ、今夜は2人のお祝いだから、もっと飲みましょう」
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