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Chapter24.再開と本当の目的
虚の境界を越え、 ミナは一人、魔王城の奥へと進んでいた。
剣だけを頼りに、 魔法を封じたまま、 静かに、確かに歩を進める。
闇は深く、 空間は歪み、 時間さえも曖昧になっていく。
「怖くないって言ったけど…… やっぱり、ちょっとだけ……怖いな……」
でも、足は止まらない。
空間に、 あの低く響く声が落ちてくる。
「来たか、光の欠片よ。 一人で来るとは……愚かだな。」
ミナは剣を構え、 声のする方を見据える。
「……愚かでもいい。 僕は、みんなを取り戻す。」
魔王の声が笑いに変わる。
「命を賭けるほどの価値があるのか? 貴様の命を捧げてまで、守る価値が?」
ミナは、 一瞬だけ目を伏せて—— そして、静かに言った。
「……本当に大切なものは、 自分自身じゃないから。」
「だから、命は惜しくない。」
その言葉に、 魔王は一瞬、言葉を失う。
空間が静まり返る。
ミナの声は、 ただ静かに、まっすぐに響いていた。
「僕は、誰かに守られてきた。 だから今度は、僕が守る番なんだ。」
「……愚か者め。 その“優しさ”こそが、貴様の弱点だ。」
「だが…… それが“光”というものか。 滅ぼすには、惜しいな。」
ミナは剣を握りしめる。
「僕は、もう迷わない。 たとえこの命が尽きても、 僕の光は、みんなの中に残る。」
ミナの胸の奥で、 白金色の光がかすかに脈打つ。
魔法ではない。 暴走でもない。
“意志”の光。
ミナは、 魔力の気配を頼りに、 城の奥へと進んでいた。
魔法は使えない。 でも、感じる。
——誰かが、すぐ近くにいる。
重い扉を押し開けると、 そこは魔力で封じられた牢だった。
中には、 一人の青年が静かに座っていた。
かなめ。
目を閉じ、まるで瞑想するように、 微動だにせず座っている。
ミナが一歩踏み出すと、 かなめがゆっくりと目を開けた。
その瞳は、 驚きも、怒りもない。
ただ、静かにミナを見つめる。
「……来たんだね。」
ミナは、 思わず駆け寄って、 鉄格子に手をかける。
「かなめくん……! 無事で……よかった……!」
かなめは、 少しだけ微笑んだ。
「無事……とは言えないけどね。 でも、君の顔が見られて安心した。」
ミナは剣を抜き、 格子を斬ろうとする。でも、 剣が触れた瞬間——バチッ!!
白い火花が弾け、 ミナが後ろに吹き飛ばされる。
「っ……く……!」
「無理だよ。 この牢は“魔王の直結封印”。 力ずくじゃ壊せない。」
ミナは歯を食いしばる。
「でも……! ここに置いていけない……!」
かなめは、 ミナの目をまっすぐに見つめて言う。
「ミナ。 君がここに来たのは、 “みんなを助けるため”なんだろう?」
「だったら、 僕のことは後回しでいい。君が進まなきゃ、 他のみんなは……もっと危ない。」
「でも……僕は…… もう誰も置いていきたくない……!」
「君が来てくれた。 それだけで、もう十分だよ。……君なら、 必ず戻ってくるって、信じてるから。」
ミナは立ち上がり、 剣を握り直す。
「……うん。 必ず戻る。 みんなを連れて、ここから出る。」
「待ってるよ。 君の光が、 この闇を切り裂くその時を。」