テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Chapter25.再開と共鳴
「待ってるよ。 君の光が、 この闇を切り裂くその時を。」
ミナが去ろうとしたその時、 かなめがふっと笑った。
「あ、そうだ。 一つ、言い忘れてた。」
「え……?」
かなめは、 懐から小さな黒い鍵を取り出した。
それは、 魔王城の封印と同じ紋章が刻まれた、 異質な存在感を放つ鍵だった。
「これ、 魔王の“本鍵”だよ。」
ミナの目が見開く。
「えっ……!? それって……どうやって……!」
かなめは肩をすくめて、 いつもの調子で言う。
「ちょっとした“手品”さ。 ほら、僕って詐欺師でしょ?」
ミナが手を伸ばそうとすると、 かなめが首を振る。
「ダメ。 これは“複製できない鍵”。 魔王自身の魔力で鋳造された、 一点モノなんだ。」
「だからこそ、 魔王も油断してたんだろうね。 まさか僕が、 転移の瞬間にすり替えて持ってくるなんて。」
ミナは呆然とする。
「……すり替えたの……!? あの時……!?」
「 “見せるために持ってた鍵”って、 だいたい偽物なんだよ。 本物は、ちゃんと懐に入ってた。」
ミナは、 その鍵を見つめながら言う。
「じゃあ…… この鍵があれば……!」
かなめは頷く。
「君がこの城の封印を解くには、 それが必要になる。 でも……僕はここを出られない。 この牢の封印は、 鍵じゃなくて“魔王の意志”で閉じられてる。」
かなめは、 鍵をミナに差し出す。
「だから、君が持ってて。 他の仲間たちを助けるには、 これが必要になる。」
ミナは、 震える手でそれを受け取る。
「……ありがとう、かなめくん。 必ず、戻ってくる。」
かなめは、 いつものように飄々と笑う。
「うん。 それまでに、 ここの封印の“抜け道”でも探しておくよ。」
かなめから鍵を受け取ったミナは、 再び城の奥へと進んでいた。
その途中、 ふと、空気の流れが変わる。
——甘い香り。 ——微かな子守唄のような音。 ——そして、胸の奥を締めつけるような、やさしい気配。
「……この感じ…… らみちゃん……れむさん……?」
ミナがたどり着いたのは、 まるで劇場のような空間だった。
天井からは揺れるランプの光。 床には赤い絨毯。 そして、 空間の中央には——大きなガラスの檻。
その中で、 らみと甘夢れむが、 眠るように座っていた。
ミナが近づくと、 檻の周囲に漂う霧がざわめく。
「らみちゃん……! れむさん……!」
でも、ふたりは目を覚まさない。
まるで、 夢の中に閉じ込められているように。
ミナがかなめから受け取った鍵が、 ふいに淡く光り始める。
「……この檻にも、反応してる……!」
すると—— ガラスのような檻が、音もなく溶けるように消えていく。
らみが、 ゆっくりと目を開ける。
「……ミナちゃん……?」
甘夢れむも、 まどろみの中で目を覚ます。
「……夢……じゃない……?」
ミナはふたりに駆け寄り、 そっと手を取る。
「うん、夢じゃない。 僕だよ。迎えに来た。」
「……来てくれたんだね……!」
らみとれむは、 まだ完全には回復していない。
でも、 その目には確かな光が戻っていた。
ミナはふたりを支えながら、 再び歩き出す。
「行こう。 まだ、みんなが待ってる。」