テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
翌朝。まだ空が薄暗い時。僕は目を覚ました。お腹はそこまで空いていなかったため僕はまたバナナを口に咥え、テトラポットを離れた。相変わらず人はいなかった。たまに猫や犬と出会う。彼らは野良猫なのだろうか。僕は極力関わらないようにした。
うわっ。どこからかとても眩しい光りに包まれた。だがだんだん目が慣れ開けられるようになった。僕は後ろを向いた。そこには大きな円形に似たものがどんどん上へと上がっていっていた。僕はこれを朝日ということを初めて知った。
それから僕は昨日のように島中を彷徨った。昼時になり、お腹が減るとバナナをむしゃむしゃと食べた。食料が尽きそれからはしょっぱくても海水を飲んだ。体に悪くても。
だんだん辺りがオレンジになっていった。僕は島を彷徨い続けた。そんなとき。
「はは〜!可愛い猫ちゃんやな〜!」
僕の近くからそう声が聞こえた。
「おじちゃんは原田隆将いいます。君はなんていう名前?」
僕以外に人や動物はいなかった。僕は震えながらも後ろを振り向いた。
「まあ答える猫はほとんどおらん。人の言葉は猫に伝わらんし猫の言葉は人に伝わらんっちゅーことだな」
その人は大きかった。でも襲おうという気配はしなかった。
「おじちゃんとこ来ないか?お前さんにとって楽しいかはわからんが主人はくるかもしれん」
僕はそう聞いた瞬間久しぶりに飛び跳ねるくらい嬉しくなった。またご主人様に会える。
「はは〜!可愛いなあやっぱり猫ちゃんは。さあ行こうか」
そういいその人は僕を抱き上げ何処かに向かって歩き出した。
すっかり橙色に染まった頃。僕は小さな家にその人と入った。その家にはキッチン、風呂場など生活できる物があったがどれも綺麗にしてあった。
「あら。また連れてきたんですね」
「はは。こいつも飼い主さんを探さなきゃだよ。竹田!ポスターを」
その人は僕を下ろすと額を撫で他のところへ行ってしまった。
一匹、ポツンと取り残されてしまった。すると、「ハチワレちゃん。今日からは飼い主さん探し頑張ろうね」と一人の小柄な人が僕に向かって話した。匂いからして多分女性。さっきどこかへ行った人は男だろう。
それから女性は小さめの小皿を持ちキッチンへ向かった。そしてそこにある蛇口から水を出しその小皿に入れた。その小皿を女性は僕の前に置いた。そして「どうぞ。飲んで」と言った。僕は目を輝かせてその水を飲んだ。久しぶりの塩味のない水はとても美味しく感動した。
コメント
2件
おじちゃんw