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程なくしてまた男が現れた。彼の手には1枚の紙があった。男はそれを持って僕の方に近づいてきた。すると、「これがお前さんのポスター。これで見つかるといいな」と言った。そこには僕の写真と情報などがかいてあった。
これで見つかるかも。僕もそれを見て興奮した。
その日の夜。夕食のキャットフードを食べ終えふかふかの水色のベットの上で丸まって寝ていた。すると近くに誰かが座った気配がした。恐る恐る目を開けるとそこにいたのはあの男の人だった。
「起こしちまったか。すまねえ。寝ててもいいぞ〜俺の話にゃあ付き合わんくても」
それから男は独り言をずうっと喋っていた。僕はその独り言を丸まりながら聞いていた。
「俺は子供んの頃から猫がいたんだ。そいつはキジトラで母さんが餌をどんどんあげちまうもんだから丸々と太っていったんだ。栗っていう名前でな。父さんが名付けたんだ。どんぐらいだろうな〜栗がちょうど10歳頃、俺が小1ぐらいのときに妹が生まれたんだ。母さんはその妹の世話をしなきゃあならないし父さんは仕事が忙しくて栗の面倒はほとんどが俺が見ててな。俺も学校にいかなきゃならない。でも俺は絶対遊び相手になった。それからちょっとして母さんが突然、栗を手放そうっていったんだ。栗はこれからどんどん年を取り今まで以上に世話が必要になる。だからってな。俺は当然反対した。でも父さんはそれがいいっつって賛成した。俺は親を説得させようと頑張った。これからは俺一人で栗の世話をするって。親はそれでなんとか承認を得た。でもなあ老いには勝てない。ある日、栗が餌を食わなくなったんだ。でも親は病院にいかせようとしなかった。俺があの時一人で世話するって言ったから。それから栗はどんどん体調が悪化して一週間位経った頃に死んだんだ。それが今の俺のきっかけでもある。未だにその事があるから妹とも両親とも仲は悪い」
その話は猫の話。それはなんとなく分かった。そして悲しい話だ。
「俺は犬猫殺処分っていうやつをなくそうっていう活動をしててな。犬猫殺処分っていうのは飼い主のいない犬猫を保健所で殺処分しちまうんだ。まあひでえものでその仕方も窒息。人間てのは最低だ。まあ今の状況を見ればそんなことしてる暇はない。まずは離れ離れになった動物たちを飼い主さんと再会させることが重要だと俺は思ってる。明日、避難所にお前も連れて行くから見つかるといいな」
その言葉に僕は心を踊らせた。明日、もしかするとご主人様と会えるかもしれないから。
「邪魔しちまったな。じゃあ寝てくれ」
そういい男はこの場を去っていった。