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リク
嫉妬深めのツータイムのお話
⚠:噛み跡/キスマをつける表現
ツータイムが怖い
アズール視点
__
「それで…ずっとお花が下を向いちゃってて…写真を見てもこんな事ないのに…」
「あぁ、成程…!そのお花は大丈夫ですよ、安心してください」
「最近の寒暖差でちょっとやられちゃったんでしょう…でも、そろそろまた暖かくなると思うし、きっとすぐ治ります!」
「本当ですか!よかった…」
「スポーン様にあげる花だし…綺麗なものを渡したい気持ちはわかりますから」
「いつでも頼ってくださいね!」
「はい…!ありがとうございました!」
花についての相談は、もうこの村に来てから慣れたものとなっている光景。
僕は花が好きで色々育ててるからこうやってしょっちゅう相談される。
解決した時みんな胸を撫で下ろして帰っていくのは、笑顔になっていくのは…見ていてとても嬉しい。
カルトの事は嫌いだけど、ここでの生活だけは本当に好きだったから離れることはなかった。
それに、大事な恋人もいるし。
「ツータイム、そこに居るんでしょ?こっちにおいで」
「…」
不満げに口を尖らせ、じとりとした目でこちらを見つめてくる彼は、壁から顔を出し、ようやくこちらに近寄ってくる。
近づいて抱きしめれば、安心したように抱き返してくれた。
「寂しくさせちゃった?」
「…」
「それとも…僕が君以外と話してるのが嫌だった?」
「…どっちも」
「そっかぁ…今日はこれ以上相談受ける予定ないんだ、だから…」
「あの花畑で、2人きりで過ごさない?」
「!…良いんですか?」
ぱっと顔をあげ、その目を輝かせる彼は可愛らしい。
微笑んで見せれば、大きな目がこちらを写した。
「ピクニックの準備、しないとだね。…久しぶりに街でも行かない?」
「はい…!」
彼とピクニック用のカゴを連れて、集落から離れた街の方向へと進む。
カゴの中はまだ空っぽ。強いて言うなら、買うもののメモぐらい。
僕らのカルトは世間的にあまり良いものとされておらず、人里からは遠い所で暮らす。
だから街までは暗い森を通らないといけない。
正直この道は好きじゃないけど……
「…アズール、手を…」
「ん、そうだね。繋ごうか」
彼がこうやって自分から手を繋いでくれるから、嫌いでもない。
ツータイムの手はひんやりしてて、細い。
触れる度に折ってしまうんじゃないかと心配になるほどには、僕達は随分と大きさに違いがあった。
そんなことは置いといて。
手を繋ぎながら他愛ない話をしていれば、ようやく街の光が見えてくる。
歩みを進めれば森を出て、レンガで包まれた道に並ぶ店が見える。ちょうど商店街に出たらしい。
帽子についた木の葉を払ってから、店先へと向かう。
まずは良さそうなお菓子とか、果物とか、飲み物とか。
色々買わないといけないなぁ、なんてメモを見つつ考えを巡らせ、歩き始めた。
__
飲み物、お菓子、後は色々。
次は果物屋だと、メモを見つめて向かう。
店を探している途中、太く響く声に呼び止められた。
「よぉ!そこの帽子の兄ちゃん!」
「見ない顔だな!見た感じ…弟さんとお買い物かぁ?」
「あ、えっと…僕ですか?」
「そうそう、お前さんお前さん。見た所…どっかにピクニックでも行くのかい?」
「えっ!?な、なんで分かったんですか!?」
「そぉんなでっけぇカゴ持って、こんな商店街来る奴はだいたい買い物だし…」
「そのカゴの中見るに、旅行とか飯の調達じゃあ無さそうだからな、後は勘だ」
「な、なるほど……すごい…」
「俺は経験があるんでな、ここでも何年とやってるんだ…おっと、話しすぎちまった」
感嘆の声をあげていれば、店主さんが申し訳なさげに頭をかいた後、また向き直り、口を開いた。
「んで、何をお求めで?俺のオススメは…そうだな、今日はリンゴが安いぞ」
「リンゴ…折角だし、それにしようかな」
「ツータイム、それでいい?」
自分の後ろに隠れる彼を見る。
少し不服そうに僕の服を掴む彼は、静かにこくりと頷いた。
「随分とシャイな弟さんだな、こういう場所に慣れてないのかい?」
「あまり来ないし、そうなのかも…あ、あと彼は「…僕はアズールの恋人です」
“弟”という言葉を訂正しようとした時、ツータイムが口を開く。
その顔は落ち着いているいつもとは打って変わって、随分と怒っている_といっても頬を膨らましているだけなのだけれど_みたいだった。
さすがに店主さんも目を丸くしてから、また申し訳なさそうに頭をかいて、
「おっとこりゃあ申し訳ないことしたな!謝礼にリンゴ1つオマケするよ!」
と、カゴの中に1つリンゴを入れてもらった。
彼はといえば、ずいぶんご満悦そうな顔をしていて。
思わずくすりと笑ってしまったのは、バレていないといいなって思う。
「…ヨシ、足りてるな!ありがとよ、また来てくれよ、お二人さん!」
「わっ…!…はい!勿論です!」
そして、もう2つリンゴを買い、お金を払う。元気な店主さんなのか、手を使う行動の一つ一つが力強かった。
肩を軽く叩く手の力も結構強くてびっくりしちゃったし。
そのままにこやかな笑みを返されてから、買い物を終える。
そうして、街を照らす陽の光から逃げるように、僕達は森の中へと入っていった。
__
またツータイムと手を繋ぎ、森の中を歩き続ける。
それは同じ、なのだけれど。
繋いでる手がなんだか強く握られているのを感じる。
気になってちらり、と彼の方を見やれば、ばちり、とこちらを見つめていた目と視線があった。
「…つ、ツータイム?どうしたの、そんなに見つめて…」
「……僕とアズールが」
「僕達が?」
「…兄弟として見られたのが複雑で…」
「それに、あの男性と随分親しそうにしていましたし…肩まで触られていたじゃないですか…」
彼の手を握る力が強くなる。
どうやら随分とヤキモチを妬かせちゃったらしい。
「…ツータ、い、むっ!?」
落ち着かせようと何か口に出そうとした瞬間、彼によって押し倒される。
倒れた先はフカフカの土と生い茂る草花だったから、頭は打たなかった。
「っ、とと…ど、どうしたの?ツー_」
「アズール」
彼が顔を近づけてくる。
風の中揺れる小さな草木のような、先程までの弱々しい声とは一転して、ハッキリと、芯のある声で僕の名前を呼んでいて。
それに軽く驚いて、数秒口をぽかんと開けたまま、声も発せなかった。
その間にも、ツータイムは口を動かし続けて、言う。
「ねぇ、アズール」
「僕考えたんです、あなたと歩いてる間」
「…誰かがあなたに簡単に触れられないで…すぐに僕たちが恋人だってわかるようなこと…」
「それで、今思いつきまして…!」
「…どんなことなの?」
ごくりと唾を飲み込む。
彼の目は真っ暗で、何を言い出すか想像がつかない。
いつも可愛らしい彼だけど、この瞳ばかりは少しばかり怖かった。
「”証”を、付けるんです、分かりやすいように」
「…証?」
「ツータイム、それってどういう__い゛っ!?」
突然、首に痛みが走る。
噛み付かれたのだと理解した。
痛みに喘ぐ僕を気にせず、彼はまた口を開ける。
彼の歯は尖り気味で、特に八重歯がしっかりとしているものだから、噛まれると随分痛かった。
どうにか抵抗しようと腕を動かすが、上半身にしっかりと乗られて動かしづらい。
そのまま、また噛まれて、首から段々下へと下がり、鎖骨や肩のラインまで。
傍から見ればその様は、さながら食されるシマウマとハイエナのようだろう。
彼の息が荒くて目が虚ろなのが、さらにその恐怖を煽っていた。
「一旦やめっ…い゛、っう゛…!!」
「つー、たいむ゛っ…!!」
「…フッ、ハッ…えへへ…」
「っう゛…!!…ツータイム!!!」
何とか暴れてツータイムを引き離す。
そのまま草むらに倒れてぼんやりとした彼は、数秒経ったあとようやく記憶を取り戻したようにハッとし、起き上がった。
「ぁ、あっ…ご、ごめんなさいアズール…ぼく…」
「突然嫉妬してあなたに痛い思いを…」
「次はもうこんなことしませんから…」
申し訳なさそうに体を縮こませる彼。
それがなんだかすごく辛くて。
ただ、彼に寄り添いたくて。
そのまま、ツータイムにハグをした。
「……えっ?」
「大丈夫だよ、ツータイム」
「…噛むのはびっくりしたけど…でも、僕も確かに君が嫌がること沢山しちゃったしさ」
「証は…別の方法で付けてみてくれない?」
「別の…方法?」
「そう!」
少し前に呼んだロマンスの小説に、”キスマーク”というものがあった。
皮膚の薄いところ_鎖骨、首筋辺り?らしい_で唇を付け、強く吸えば、中の毛細血管の破裂により赤い痕が残るもの。
それがキスマーク。
恋人達の間では結構有名なんだとか…
少なくとも噛まれるよりは良いだろうと、説明と提案を兼ねて話してみた。
「なる、ほど…」
「これならどう?ツータイム!…少なくとも、僕は痛くないし、君も”証”付けれるでしょ?」
「確かに……でも、すぐ消えちゃわないですか?」
「それは…うーん…君がまた付け直してくれれば万事解決じゃない?」
「確かに…!」
ぱっと目を開き、太陽を吸収したかのように輝く瞳をこちらに向ける彼は愛らしい。
ようやく一安心だと心を撫で下ろした時、突然ぎゅっと手を握られる。
何かと思えばそのまま引っ張られ、
「やり方を知ったなら今からでも試しましょう、アズール!」
「ここは恥ずかしいですし…家でいいですよね!」
「えっ、ちょ、そ、そんないきなり!?」
「大好きで魅力的な恋人を取られたくないんです!すぐにでもしないと変な人に絡まれちゃいますよ!」
「スポーン様も許してくれる筈です!」
「そ、そうかなぁ…」
わたわたと家へと走り続ける。
森を抜ければ、いつの間にか夕暮れだったようで、橙色が世界に反射して降り注ぐ。
空も地面も僕の恋人も。
この時は全てが美しかった。
___
「…アズール・レイス」
「は、はい!どうしたんですかアマラ先生」
「その首の痕は?やたら赤いですし噛まれた跡もある……また森に入り浸りでもしたのですか」
「え、まぁ、そう、ですね…」
「貴方が自然に興味がある事に文句は言いませんが、スポーン様への信仰も忘れてはいけませんよ」
「…それにしても首をやられ過ぎでしょう、隠した方がいいのでは?」
「あー…か、考えておきます!」
「あなたの問題では?…まぁいいでしょう…」
「私は祈りの時間があるからまた後で。今月もスポーン様に捧げる花は特段綺麗なものをお願いしますね」
「は、はい…!」
…ツータイムに前の話をして、数日経った。
噛まれるのは…ごく稀にあるけど、ほとんどキスマークを付けられるだけになって。
コレで一件落着…なんてことはなく…皆に心配されるようになってしまった。
キスマークが何か知らない人が多かったのが幸いかも。
ツータイムともう少し話し合いしないとなぁ、なんて考え込んだ。
跡が大量に着いた首に触れていれば、後ろから何かが当たる感触。
振り向けばツータイムだった。
「アズール!調子は如何ですか?」
「元気だよ、首については心配されちゃったけど…」
「やっぱり目立つんですね…」
「それについてだけど、流石にちょっと付けすぎかなーって…だから、つける場所とか頻度の話し合いをしたいなーって」
「なるほど…取られないのはいいですが…これ以上はアズールが困ってしまうし…あ!」
「なにか思いついたの?ツータイム」
「はい!!一番の良案です!」
「そんなに…?!で、どんなこと?」
「勿論決まってます!」
「見えない場所……つまり!」
「アズールの服の下に付ければいいんです!!!!!」
「えっ」
…話し合いはもう少し必要かもしれない
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リクエストありがとうございました!!!
描写書くのが楽しすぎてキャッキャしていたら短めになってしまった!申し訳ない!
そしていつの間にか3万間近😮⁉️
皆様ありがとうございます!!
そろそろリクエスト箱も復活させようかな
コメント
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ツータイムの嫉妬が可愛くて切なくて、胸がいっぱいになりました…!「証」を付けたいという独占欲が顔を覗かせる一方で、咄嗟に「ごめんなさい」と縮こまる姿が本当にいじらしくて。キスマークという別の方法を提案するアズールも優しくて、お互いを大事に想い合っているのが伝わってきました。根っこにあるのは深い愛情なんだなあ。話し合いの余地を残したラストも、この二人らしくて好きです。素敵なエピソードをありがとうございました🌷