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この小説は、主のOCがいろいろするものになっています。
苦手な方は読むのをご遠慮ください。
二章 神噺
18話「神噺・陸」
タッタッタッ…と、石畳の上であるにも関わらず、軽い足音が響く。
「…見えた…やっぱり神社だ!神社の結界を壊して何か
を呼び起こそうとしてる!」
「そいつは…恐らくだが…百年前封印された名も無き邪
神だな。お前は別な仕事で見てなかったが…」
「そいつは…厄介なのか?」
「あぁ…これまでのどんな怨霊も比べ物にならないほど
の強烈な力を持っている。あの頃の私でも封印に丸一
日かかった。」
なるほど…。まだ未熟だった頃とはいえ、導ちゃんですら封印に丸一日かかるとなると、私が入っても準備なしじゃあかなり手こずるな。
「私が結界が壊れるのを遅らせるから、その間に殺気の
元を封印してくれ。今なら数時間でできるだろ?」
「…わかった。くれぐれも、死ぬなよ。」
「そう簡単にしなね…え…」
「どうした!?」
「やばい…力が…」
元々魔法で強制的に女になっている私、成長期などで現れる体の変化もいじることができ、
私の体は導ちゃんの好奇心で、成長期がとても早く、著しく成長するように作り変えられている。
そんな魔法、体に負荷がかからない訳がなく、反動として時々こうやって体が不安定になるのだ。
「…あ…があ…」
「おい碧!何してんだよ!」
「あああああああああああ」
「くっそ…こういう時に限ってこれかよ…」
(私が頑張らないとな…)
そう考えた『導』は、女体化を解除し、神社の方向に走っていくのだった。
「あああああああああああああああああああああああ」
あ…あたまが…まわらない…
なにもかもどうでもよくなって…からだにちからがはいらなくなる…
ああ…もうどうでもいいんだな…
このまま…死んでしまえば…
楽になれる。
「あははははは」
大声で笑いながら、自らを殺せる力で自傷し始める。
「あはははははは、楽になれるんだあ」
臓器はおろか、眼球、足さえも折ってしまった。
「もういいんだよあはははこれで全部お終いだはははは
…ごめんね。導ちゃん。」
グシャッという残酷な音がしたと感じた矢先、体に力が入らなくなる。
すると不思議なことに、途中から一切の苦痛を感じずに眠りにつけるのだ。
もう、女体化は外れていた。
「はは…さよなら…」
「くそ…碧…生きてこっちにこいよ…!」
碧が狂い死んた頃、女体化を解除して神社へ急ぐ『導』。
「碧がいない今…俺が頑張らないと…ん?」
その神社に別な強い力が向かっているのに気付いたが、その「力」の正体は、彼が予想もしなかった人物だった。
「まさか…そんな…碧!!」
完全に死亡した碧が、復活しかけている怨霊に惹かれているのだ。
「そんな…俺のせいだ…俺があんな体にするから…
…うああああ!
頑張らなきゃ!頑張らなきゃ俺!」
碧が死んでしまった。そのショックからか、今の『導』には、幼馴染すら守れなかった今の『導』にはあの殺気を封じることができないと感じてしまうのだ。
「ならばせめて…せめて俺の善心の全てを込めて…碧を
助ける!!」
そう、『導』は使う気なのだ。
あの禁断の一手を。
「いくぞ碧!受け取れ!!」
『導』の手に凄まじい魔力がこもる。その魔力はどんど
ん大きくなっていき、最終的には直径2mはありそうな
巨大な球体と化した。
「禁断魔法…『死者蘇生魔法』発動!!
発動した魔法使いの善の心全てを捧げ、死者の魂を蘇 らせる!!」
すると、碧の体が少し動く。
しかし、碧が戻ってくるほど、『導』の意識も遠のく。
「ぐあ…絶対に碧だけは…助ける…!
うおおおおおおおおおおお!!」
『導』の意識に限界が来る。
つまり、碧が戻ってくるということだ。
「…はっ」
「…」
「…導ちゃん?」
次回 「神噺・漆」
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