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かるび🍖
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赤羽結乃愛
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「メディカルから聞いたよ。眠れてないんだって?」
遠藤がベッドに座っている純也に向い合わせの状態で声をかけた。
しかし、純也は真正面で立っている遠藤の質問に答えることなく俯いたまま。
そんな純也を見てため息を吐くと、遠藤は純也の隣りに腰かけた。
「気持ちの問題だろうって言われたけど、それに対して純也はどう思ってるんだ?」
「…よく分かんない」
「なるほどな。」
俯いたままではあるが、返事をしてくれたことに対して安堵した部分と、解決できる糸口が見えないことの不安が交差する。
「なぁ、純也。俺にも話せないか?」
メディカルが何度聞いてもダメだったと報告を貰った時から、自分でも無理だろうと覚悟しながら問いかける。
この質問に対して、純也は反応しないということで回答したのだった。
純也不在の講堂。
今回召集された日本代表のメンバーは、メディカルと遠藤からの報告を静かに聞いていた。
「純也君が、まさか不眠症やなんて。」
「しかも、原因が不明って所が困るな。」
報告を聞いた律と長友が声を上げるとキャプテンである麻也が手を叩いた。
「今回、純也と同じ時期に代表入りし、年齢も近い遠藤にお願いしたが、純也の気持ちを聞き出すことが出来なかった。」
その言葉に重い空気が流れる。
端から見ていても、純也は遠藤の事を信頼していたのは明白。
そんな間柄の遠藤に気持ちを打ち明けられないとなると、解決は益々難しく、最悪離脱することになってしまう。
「純也はこのチームにとって必要な戦力であることは間違いない存在だ。どんな些細な事でも良いから、純也の気持ちが晴れるようにみんなにも協力してほしい。」
その麻也の言葉に、みんなが一斉に顔を上げ重い空気を蹴散らした。
そのチームワークに、森保は大きく頷き笑顔を溢すのだった。
その日から、純也が行動する時には必ずメンバーが共にするようになった。
当番が決まっている訳ではなく、自然と誰かが傍に寄り添う。
だからか、純也は共に居てくれるメンバーに対して嫌な気持ちを抱くことなく時間を過ごせていた。
「純也君、一緒にトレーニングしよう。」
純也が何気なく部屋を出た時、廊下から走って三笘が声をかけてきた。
何となく部屋から出ただけだった純也は少し戸惑ったが、真っ直ぐな三笘の視線に負けて、分かった。と返事をするとトレーニングをする準備をするため部屋に戻った。
「とりあえずウォーミングアップしたしトラック周回しない?」
「そうだな。」
三笘に誘われるままに 世間話をしながら無理ない速度で走る。
「ここの芝、手入れが行き届いてて気持ち良いよね。」
「確かに、こんなに芝が整ってるところなかなか無いもんな。」
何気ない会話をしながら、ピッチ内の芝へと視線をむける。
そこには、綺麗に手入れをされ、青々と生命力溢れた芝がある。
その芝が今の自分と比べて眩しく、フイっと視線をそらすと誰に言うでもなく呟いた。
「なんかしっくりこないんだよな。」
「どういうこと?」
「プレー…なのか、よくわからない。だけど、なんかしっくりこなくて気持ち悪い。」
そう走りながら頭を使わずに思ったままを口にすると、急に三笘にガッと肩を捕まれた。
その勢いにハッと意識が覚醒すると、三笘は有無を言わさぬ早さで純也の手を引いて歩きだした。
「ちょっ、薫!どこ」
「最近の試合をチェックして、純也君がどんな所に違和感を感じたのか確認しよう。 」
「そんな」
「で、一緒に攻略を考えよう。」
「え?」
「右と左で位置こそ違うけどポジションは一緒だし、必ず対処法は見つかるよ!」
力強く手を引いたまま、にっこりと笑顔を向ける三笘に純也は呆気にとられた表情をしたまま三笘に引かれた。
未だにこのモヤモヤを言葉として伝えることが難しいのに。
三笘はその気持ちを自分なりに解釈して、正解かどうか分からなくても行動してくれる。
「なぁ。なんでそんなことしてくれんの?」
「ん?」
試合をチェックできる部屋に到着するなり、めぼしい試合を探しながら三笘は軽く返事をする。
「全く見当違いかもしれないし、そもそも薫の問題じゃないのに、なんでここまで出来るんだよ!?」
「見当違いだとしても、この行動は全く無駄じゃないよ。試合を見返して、問題を見つけて対処することはとても大切なことでしょ。」
色々とある試合の中から、ある程度厳選する手を止めることなく、三笘は純也の疑問に答える。
「それに、純也君が違和感を感じてこんなにモヤモヤしていることって、俺も絶対に乗り越えなきゃいけないことだと思ったんだ。」
「お前も?」
「そ。俺と純也君は風神と雷神で対だからね。」
これくらいで良いかな。と厳選した試合数をチェックしている三笘を見て、純也は今まで感じたことのない、心が暖かくなる感覚に驚いていた。
眠れない夜を過ごしてから、冷えきってしまった体に、少しずつ熱が戻ってくるのさえ感じる。
「純也君、ひとまずこの試合から」
「薫。」
「ん?」
「ありがとな。」
さっきまで過ごしていた人物とは思えないほど、柔らかく微笑み感謝を告げた純也に、三笘は見惚れて動けずにいた。
はじめて純也の試合をみた時、インタビューや裏側でチームのみんなと過ごしてる時の姿など沢山みてきたが、どの純也とも重ならない。
そんな純也の特別な表情が見れたことが嬉しくて、三笘も無意識に照れた笑顔を向ける。
「何、照れてんだよ。」
「何でもない。」
何気ない会話をしながら、三笘が厳選した試合を二人でチェックした。
その日の夜。
食事を終えて、部屋に戻るまでの廊下を遠藤と一緒に歩いていると、純也が大きな欠伸をした。
「今日はよく眠れそうか?」
「んー、うん。なんか、既に眠い。」
「そっか。森保監督が無理に起きずに、思いっきり寝ろって言ってたぞ。」
「じゃ、そうするわ。」
おやすみー。と気の抜けた挨拶をしながら、純也は自室の扉を閉めた。
そんな純也を見送り、遠藤は深く息を吐く。
「相棒がいて良かったー。」
明らかに三笘と過ごしてから純也の表情が明るくなり、合流してからの純也は昔とかわらない空気にかわっていた。
然り気無く薫に聞いてみれば
「成長期の悩みでした。」
とウィンクつきで笑顔で返答されて、みんなして拍子抜けしたと同時に三笘の存在に感謝した。
「まっ、この両翼がいれば大丈夫ってことだな。」
今回の問題をきっかけに、新たな強さを手に出来ただけじゃなく、弱点も対処法も知ることが出来た。
『このチームはまだまだ強くなる。』
両翼をきっかけに、各ポジションで弱点を補えるチームになれれば、こんなに頼もしいことはない。
そんな成長途中なチームに、遠藤は大きな可能性を感じ、窓の外を見つめながら未来の自分達を描いた。
END
最近寝不足な自分の中でフッと浮かんだ話。
風神雷神って言わせたかったし、両翼って強調させたかったんですー!
そして、次回からおかえり三笘さんの妄想話が上がる予定。(は未定。)
コメント
1件
第6話読みました!純也のモヤモヤに三笘が寄り添って「風神雷神で対だから」って言うシーン、めっちゃ熱い…!あと純也の柔らかい笑顔に三笘が照れるところも良かったです。チーム全体で支える空気感が好き。寝不足の作者さんの気持ちから生まれた話ってのもグッときました。次回も楽しみにしてます🔥