事故ネタ注意
あの日は、たまたま道で会って
一緒に帰ってただけだった。
青「 …あれ、桃くん、? 」
桃「 お、青だ 」
「 今帰り? 」
青「 うん、そうだよ 」
「 桃くんも帰りなの? 」
桃「 俺も帰り 」
「 途中まで道一緒だろ? 」
「 途中まで一緒に帰ろうぜ 」
青「 いいよ笑 」
「 この辺、街灯少ないから 」
「 一人は怖かったし笑 」
桃「 え〜?笑 」
「 あの青さんが〜っ?!笑 」
青「 うざいうざい笑 」
本当にいつも通り
喋ってただけだったのに。
その時は本当に一瞬だった。
…いや、俺達からしたら
永遠とも言えるくらい長く感じた。
青「 今ここで迷っててさ〜… 」
桃「 …俺はこっち派かな 」
青「 なるほどね、 」
桃「 おい、青止まれ 」
「 信号だぞ 」
青「 …これが…ここ、? 」
“ ヤバい ” と感じたが
青が渡り始めたら
信号は途端に青に変わったので
” 後で言い聞かせよう “ とか思いながら
俺も青に追いつくように信号を渡った。
少し小走りしたから
目が乾いてしまって
瞬きをした次の瞬間だった。
青から三メートルほど離れた場所に
トラックが走ってきた。
止まる様子もなく
なんだったら反対車線を走っていた。
居眠り運転か飲酒運転だ。
青はトラックに気づいていたが
動けていなかった。
桃「 青゛!! 」
「 走れッ゛!!! 」
俺が今まで出したこと
ないような声で叫ぶ。
青はそれでも動かない。
きっと人間は突然の死がやってきたら
ああやって動けなくなるんだ。
怖い。
桃「 馬鹿野郎゛っ!! 」
青「 ……… 」
俺は走る。
今まで出したことないような速度で。
トラックがあと一メートルほどに
差し掛かった時、俺は青の肩を掴んだ。
青「 ぃ゛、ッ… 」
桃「 っ、はッ…はぁ、ッ… 」
青の肩を掴んで突き飛ばした。
青は電柱に頭を打って気絶したようだ。
ごめん。
でも、もし記憶を失っても
俺の記憶なんて持っておかない方がいい。
きっと死んじまうからな。
さよなら。
後悔はあんまり無いけど
未練は沢山ある気がする。
シャル達、誰か引き取ってくれるかな。
赤か、黄が引き取ってくれるだろ。
明日配信するって言っちゃったな。
赤が体調が悪いとか言って
誤魔化してくれるか。
これから、もっと
楽しいことしたかったなぁ。
来世も、青に出会えたら
俺は笑っていられそうだな。
ドンッ、と
大きな音が街中に響き渡る。
トラックは一人の男性を轢いたあと
運転手が起き、
ブレーキを踏んで止まっていた。
トラックから出られない様子だった。
一人の男性は頭や腕、
足なども怪我しているようで
全身から血が流れている。
一人の女性が急いで
救急車と警察を呼んだ。
その他周りの人間は
ただその光景を撮ってるだけだった。
そして、突き飛ばされた
青い髪の男性は電柱に寄りかかって
気絶をしていて、
服の肩の周辺に
桃色の髪の男性の指紋が着いていて
突き飛ばされたと推定された。
防犯カメラの映像もあり、
青い髪の男性がトラックに
轢かれそうになったの桃色の髪の男性が
助けた、ということが分かった。
後日、運転手は
飲酒運転と居眠り運転、それに
傷害の罪で逮捕された。
これを見ている人は
疑問に思った事があると思う。
なぜ ” 殺人罪 “ では無く、
” 傷害罪 “ なのか。
それは、桃が生きているからだ。
俺は、暗い部屋で目を覚ました。
いや、暗いというか目の前が薄暗い。
ずっと目を閉じていたのか
目の前がずっとぼやけている。
でも、少しだけ赤い髪が見えた。
赤「 桃ちゃん、ッ゛!! 」
桃「 …り、ぃぬ…っ 」
「 …ぁ…俺、たしか… 」
喉に何か絡まっている。
上手く声が出せない。
赤「 よかっ、たぁ…っ 」
「 …っ、起きた… 」
赤は泣いていた。
嬉し涙か、悲し涙か俺は分からない。
桃「 …っ!! 」
俺は全て思い出した。
その反動で、つい、飛び起きてしまった。
全身が痛む。
自分の体をよく見ると
幾つものチューブが繋がれていて
俺の体と分かっていても痛々しかった。
俺は死と隣り合わせだったと思うと
鳥肌がたって止まない。
でも、それよりも
俺には大切な人がいる。
桃「 …青、っ… 」
「 …青は、ッ゛?! 」
つい、赤の服の袖を掴む。
怖かった。
俺だけ生き延びることが。
赤「 …っ、青ちゃんは元気だよ… 」
「 もう、怪我も治って放送もしてるし 」
「 でも、っ… 」
” でも “ ってなんだよ。
生きてるなら俺はそれでいい。
青が、” 生きて “ さえいれば。
また、名前を呼んでくれるなら。
桃「 っ、はッ゛…はぁ゛ッ… 」
「 …ころ゛ッ… 」
俺はあのベッドから出て
チューブを全て引きちぎって走った。
いるかも分からな青の家へ。
インターホンを押した。
変わらない普通のインターホンの音。
俺はそれにほっとした。
鍵の開く音がして、人が出てくる。
青い髪、少しだけ低い背
少しだけ透き通ってる落ち着く声。
俺の方を見つめるその目は
いつも通りの淡く少し濃い青色。
その瞳に吸い込まれそうなほど
綺麗で俺の好きな瞳だ。
青「 …あの…誰、でしょうか 」
「 …宅配、という訳でも無いですよね…? 」
青「 …出前も取ってないはず… 」
青は俺を忘れていた。
俺の口は一向に閉じることをしない。
その場の音が遠のいた。
倒れそうになって
目の前が真っ白になった時
赤の声が少し遠くから聞こえた。
赤「 桃くん、っ!! 」
「 青ちゃんっ、桃くん支えて!! 」
青「 え?あ、うんっ! 」
少しだけ戸惑った声。
赤が青に ” 支えて “ と言ったら
青は簡単に俺に触れて支えてくれた。
青は支えたら俺の頭をそっと撫でた。
可愛い容姿から想像出来るような
少し長いし骨もしっかりしてるのに
どこか柔らかくて落ち着く手だった。
青「 …ありがとう、 」
「 僕は覚えていないけど、貴方だった 」
青「 僕の目の前に、現れた天使さん 」
” 天使 “ なんて
おとぎ話のようなことを言い出す。
青らしくない。
けど、いつも通り。
赤「 …帰ろう、桃ちゃん 」
「 行こう、青ちゃん 」
青「 …この人は、僕にとって… 」
赤「 …一緒に笑って、一緒に泣いて 」
「 たくさん笑って、ってそんな人 」
青「 …桃、くん 」
「 思い出すまで、待っててね 」
待つよ。
例え最後まで
思い出せない未来になっても
俺は待ち続ける。
また、笑えるように。
桃「 …あ、 」
赤「 おはよう、笑 」
「 無理しないでよ笑 」
桃「 いや、あの時は必死で… 」
青「 桃くん、おはよう笑 」
桃「 …青、俺の事覚えてる? 」
青「 ぜんぜん、笑 」
「 …ごめん、なさい… 」
桃「 ん〜ん、 」
「 大丈夫だよ 」
青「 …っ、… 」
青は申し訳なさそうで
どこか悔しそうな顔をして俯いた。
でも、そんな顔しなくていいよ。
桃「 改めて 」
「 初めまして、青 」
青「 初め、まして…? 」
桃「 俺の名前は、桃 」
青「 僕の名前は、青… 」
桃「 そんな顔しなくても 」
「 何度だって守るよ 」
青「 …桃、くん 」
「 …僕はまだ迷ってるんだよ?笑 」
桃「 っ、!! 」
赤「 …迷ってる、? 」
あの時の会話の続きなら
もう、青は。
桃くん、おはよう。
そして、青、僕、おはよう。
だいぶ長い夢を見てしまった。
桃くんが思い出せない日々は
何か足りなくて、もどかしかった。
けど今はすっきりしてる。
君を、親友を、桃くんを、
思い出せたから、かな。
何回でも守って欲しいけど
僕だって、何回だって守りたい。
例え、桃くんが僕のことを忘れても。
ずっと守られて、守り続けられる
関係でありたい。
いや、それよりも
ゲームをし続けられる関係の方が
僕たちにはあってるか、笑
桃「 …青、っ… 」
青「 おはよう、桃くん笑 」
桃「 …あぁ、おはよう、っ… 」
「 おは、っ…よ、ぅ… 」
泣いてしまった。
けど、これは嬉し涙だ。
だって、
桃「 明日は、一緒に放送しような笑 」
青「 当たり前じゃん笑 」
桃「 へへ、っ笑 」
また明日があって、
リスナーさんがいて、
メンバーがいる。
嬉しすぎる。
ありがとう。この世の全てに。
またね、死と隣合わせの俺。
また、いつか。
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おそらく皆さんが忘れているであろう
短編だけのはずの作品です!!
暇では無いんですけど
書きたかったので書きましたぁ!!
実は、年末にも
短編をあげようと考えていたのですが
間に合いそうにないので
GWにしようと思います!!
ごめんなさい。。
でも、もし間に合ったら
大晦日の夜か元旦の昼頃に出すと思います
どちらにせよ、お楽しみに!!
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年明けで
フォロバ企画開催予定です
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