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スマホから淡々とニュースが流れてくる
「続いては先ほど入ったニュースです。今日の午前10時頃、市内の私立高校でヴァンパイアによる立てこもり事件が発生しました。警察によりますとヴァンパイアハンターの磯名路氏の対応により制圧され―――」
女はその音声に耳を傾けながら、鍋の中でゆっくりと味噌を溶かしていった
味噌を溶かしきると少しかき混ぜ、お椀に味噌汁をよそった
ご飯、味噌汁、謎の肉、スプーン5、6杯ほどのヨーグルトに、コップの半分にも満たない牛乳のような白い液体。
それら2人分の食事を乗せたおぼんを手に廊下を進み、電子ロックが付いた部屋の前で止まる
―――ピ、ピ、ピ、ピッ、ピー
ロックを解除する電子音の後、女はドアを開け明るく声をかけた
「望《のぞむ》く~ん。あさですよ~ぉ」
女は机におぼんを乗っけるとベットの中からぐぐもった声が聞こえた
「う、ぁ……い、いまなんじ?」
望と呼ばれた男はベットの中でもぞもぞと動く
「えーといまはねぇ、8時だよ~」
女は机の上に置かれた時計を確認しながら言う
「えー、学校無いんだからもっと寝かせてくれたっていいじゃん」
「ダメだよ~望くん。君は今、たまたま学校に行けないから良いけど、将来大人になったらちゃんと起きないといけないんだから」
女はそう言いながら望を揺さぶる
それに望と呼ばれた男は無言で抵抗する
「今日も一緒にご飯食べてあげるから。ほら早く起きて」
女はそう言いながら望を起こす
「今日もご飯食べたら血液検査するの?」
「うん、今日もするよ。それよりほら早く食べないと冷めちゃうよ」
「はーい」
望はそう言うとしぶしぶベットから起き、椅子に座った
「いただきます」
「は~い。いただきます」
そう言うと2人は食べ始めた
「ねぇ望くん、このお肉どう」
女が肉を指しながら言う
「んー、おいしいですよ?この肉、何の肉なんですか?」
「さぁ~なんのお肉でしょう」
女は意地悪な笑みで答える
「ん~豚とか?」
「さぁ~なんでしょ~」
女がニマニマとした笑みで答えると2人は小さく笑った
「あー俺も早く外に出たいなぁ。んでどっか良いとこ勤めて、稼いだ金で超高級焼肉屋に行きたい」
「ね~早く出られるといいね」
そんな話をしながら2人は食事を続けた
「ごちそうさまー」
「は~いごちそうさま。じゃぁ食器片づけちゃうからっちょっと待ってて」
女はそう言うとお盆に食器を乗せ、部屋を出て行った
望1人になった部屋でそっと天井を見上げた
辺りを見渡しても窓は無い、ここ5年間ずっとここで暮らしてきた
慣れるまでは大変だった、けど今は別に苦じゃない。だって―――
―――ピ、ピ、ピ、ピッ、ピー
軽快な電子音と共に扉が開く
「—――ただいまっ!ダッシュで食洗器にぶち込んできた!」
望は微笑んだ
―――だって結羅《ゆら》さんがいるから