テラーノベル
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「りょうちゃん早く、試合始まる
こっちが確か近道だったはず」
「はーい」
「りょうちゃんはお腹すいてる?」
「んーそんなにかな、あっでもこの前一緒に食べたあの苺の食べたい」
「ほんと?アイス?開始ちょっと間に合うか厳しいけどお腹空いたね俺は、仕方ないコンビニ寄るか」
「うん、寄って帰ろうよー」
「Oh..」
「おぅ?」
「一本道間違えたわ」
「あ、うん..
さっと通っちゃおう、ここで引き返すのもなんか..ねぇ」
だいぶ早歩きで来たからすでに半分ほどこの界隈に入ってしまった、俺たちならすっと歩いて抜ける方が早いかもなと思いながら
「もうこのまま入っちゃう?..ここ
W杯見れちゃうしー、りょうちゃんと2人だとすっごく楽しいよ」
って何件か足早に通り過ぎるラブホを背に適当にここら辺と親指で差して聞いた
りょうちゃんを見つめて、りょうちゃんのその反応も好きだから、ふざけて半分本気も半分
「ふっ、もうーばか..早く抜けるよ」
「冗談だって」
俺がそう言うけど返事はなかった
この仕事柄入れはしないけど
川向こうにやっと抜けた後でりょうちゃんが俺の裾をつんと引っ張りボソリと聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた
「僕と..楽しいことしたかった?」
りょうちゃんからのレスポンスが意外すぎて一瞬俺が真顔になっちゃったからか、その後で俺のこと伺いながら照れる顔をした
いつもの笑い方だ、だはぁに近いやつ、俺の大好きなやつ「…え?したい、する」
食い気味に俺は答えた
また勝手に照れてバシッと叩かれた
「もぅ..冗談ばっか」
俺は結構本気だったよ
もう俺たちにそろそろ着いてもいいんじゃない
りょうちゃんにも火をつけたくなる
普通のなんでもない一般人の今の俺たちだったら燃え盛っただろうね、こんなちょうどいい場所
火遊びじゃなくって本気の..
俺はりょうちゃんと楽しいことしたい
ずっとさっきのセリフをリフレインさせてるくらいにりょうちゃんに夢中になってる
そしたら..明日の朝までずっとベッドとりょうちゃんとくっついて離れられないね
俺を求めてくれたら一生離れてあげれない
そしたら..ちょっとサッカーどころではないな
それより普通のなんでもない一般人の俺たちってなんだ、やっぱり普通じゃないってことか
なんてあり得ないことが坦々と流れ込んでくる
考えるのを一旦やめて後で考えよう
まぁいいや、なにも逃げたりはしないから
そんなこんなでコンビニについて
りょうちゃんと食べる苺のやつ買って..
早く帰って一緒にサッカーの試合も見なくては
最近の俺たちの唯一の楽しみなんだ
若干近道にはなったな、そしてあれこれ買ってやっと帰路についた
サッカーを観ながらさっきの続きが同時進行に流れ出す俺たちは元貴の考えた構想の中の歯車
この隣にいる奴もそう
欠けたくないし、かけがえのない三人、規則正しく過ごさなきゃいけない
多分りょうちゃんも同じ気持ちだろうな
俺たち2人がどうかなっちゃって誰かが傷つくなんていやだ、そんな事りょうちゃんも望んでないよね
でも俺の気持ちだって大事にしたい
そうやって何度も留まってる
2人とも3人のことが大事だから
でももうわかってるんだ本当は十分に好きだって、仕事終わってから理由をつけて一緒に過ごそうなんてそれ以外ないから
2人で会うようになってもりょうちゃんは..どう思ってるか今ひとつわからない
この人は天然でこうなのか、はたまたなんなのか
俺の隣で笑って時に不安に思う気持ちを安心させてやる
こうやって俺の手元に置いてマーキングして追い込んで結構今は満足してる
俺から抜け出せなくなったらいいんだ
俺にぴったりはまって離れなくなればいいんだ
誘えば絶対来てくれるし誘えない日は何も言ってこない
もう少し俺のことりょうちゃんからも気にしてくれない?気のある素振りは感じるしお互い大事な存在ではあると思う
でも俺のことだ2週間後にはもう恋人っていう次が欲しくなって1ヶ月も経てば..お酒が入っちゃったらりょうちゃんに”もっと“なんて言わせてる自信があるよ
さっきの道が悪かったな..もう俺はこんな事しか考えてないよ
日本側にゴールが入ったって?
りょうちゃんが俺にピッタリくっついて喜んでる
かわいいけど俺にはりょうちゃんの方が今は強いよ
もうゴールしたくらいじゃ、そんな刺激じゃ足りないよ
「はぁ単純で単細胞だな俺は..」
「え?」
「ううん、いいパスだった」
「単純な方がいいよ、若井らしくて」
「聞こえてた?」
「..? 若井は明るくて優しくて楽しい時に笑ってくれて
羨ましいくらい」
「俺はそれがずっと自然だったから..
単純すぎ?好きなものに突っ走ってきちゃった」
「理想だよね、若井って」
「え?俺?..そう?」
「うん、まっすぐでいいなって」
「俺はりょうちゃんの変なとこ良いと思う笑
まぁ変だけど自分を持ってるよね」
「また冗談ばっかり言って!
僕褒めたのにっ..」
「うそうそ..可愛いからからかっただけ
自分をちゃんと持ってるよ」
「そう?嬉しい」
「うん、そのままでいたらいいよ、りょうちゃんは俺たちの強みだし、花だよ」
そう言ったら嬉しかったのか伸びた髪を耳に掛けながら素直に喜ぶ横顔が可愛い
「僕もありのままの若井が好きだよ」
俺をみながら突然の不意の言葉にりょうちゃんをみつめた、その意が友達としてだったとしても今夜はいいか
許そうか
この空間も大事だから、まだ壊したくないから
だから気にしてないような返事を返した
「嬉しい!
俺もそのまんまのりょうちゃんが好き」
「このままはやばいかなー僕はもうちょっと成長しないと..自分が一番信用してないっていうか..
でも嬉しい、若井に言われるのすごく嬉しい」
垂れた目尻と笑顔にまた触れたくなる
もっと喜んでほしい自信をいっぱいあげたい
俺が出来ることなら全部したい
「りょうちゃんが俺の隣で自由にしてくれてるの俺好きだからね、無理してない藤澤涼架が好き」
「若井は前、僕のこと苦手だったでしょ..
変わったね
あー!あーぁ⤵︎今のおしい」
「うん、おしいなー
それはさ、りょうちゃんが俺を変えたんじゃん」
「…」
さっきまで俺にぴったりソファでくっついて座っていたのに相手がゴール決めそうになったり、ファールでさえ俺の手を握って一喜一憂させてたのに急によそよそしくなってほんの少し距離を置いて黙ってしまった
「俺は興味ない子、家に誘わないよ」
「…」
「りょうちゃん?」
「..聞いてるよ..ねぇ苺の食べない?」
まっすぐTVに夢中になってこちらを向いてくれないしアイス取ってこいって?こっちは口説いてるんだけど
渾身の口説き文句考えたんだけど
「ちぇ..無視?」
冷凍庫から2人分のアイスを取ってりょうちゃんの前に並べて、はいスプーンと一緒に置いた
さっきの会話から俺と目を合わそうとしないりょうちゃんが突然口を開く
「..僕だって誘われて好きじゃないと家まで来ないからね」
「…りょーちゃん」
今俺のこと考えてくれてたんだと思ったら可愛くてテーブルの向かいに座り真っ赤な顔で硬いアイスを突いてる顔を覗く
ゆっくり目が合って徐々に解れていく甘酸っぱいアイス
照れてたのか..
「あーこれうまい」
「うん、でしょ?やっぱり美味しい
若井は前チョコ選んだんだよ、あれも好き」
「これストック2つ買っといたよ、りょうちゃんの!あげる」
「うん..またくる」
やっぱり試合どころじゃなくなっちゃった
予想通りだ
でも次は恋人としておいでよ
コメント
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またお話を上げてくださりありがとうございます。主様の描くりょつぱ大好きです💙💛