テラーノベル
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付き合うとは言ったもののこそから特に進展は無く、偶然会ったらお互い照れて頬を染めるだけの日々が2週間続いた。
「うーんデートって…どこ行く?」
ぺいんはずっとこのままはマズいのでは、とスマホで調べている。しかし何をするにも警察官とグレー個人医という組み合わせで流石に白昼堂々と、という訳にはいかない。
「デートスポット…遊園地とか行くのかな……あ、ドライブデート!これなら良くね!?」
早速誘おうと電話帳アプリを開くとタイミング良くぐち逸のほうから着信がきた。
「もしもーし、どうしたの?」
「あ、伊藤刑事あの…」
「なに?どうしたなんかあった?」
「いやその……もし良かったら今日、この後会いたい…です…」
「マジで!?俺も今まさにそう思って電話するとこだった!ドライブ行かない?」
「本当ですか!?」
明らかに声がワントーン上がった返事にときめく。レギオン駐車場の奥で待ち合わせて1番目立たないぐち逸の黒い車で行く事にした。
「運転してもらっちゃってごめんね。俺もこういう本当に目立たない車買わないとな。」
「いえ、私のほうこそ…何回も誘おうと思ったんですけど、その、迷惑かと思って。すいません。」
「迷惑なんて思う訳ないよ!俺達付き合ってるんだよ?」
「でも伊藤刑事のほうからは連絡も何も無かったし…浮かれてるのは私だけなのかと。」
「ぁっそっか、ごめん。俺もぐち逸忙しそうだし1人の時が多いイメージだったから、邪魔しちゃ悪いかなって…でも今日からはいっぱい会って話して、すれ違いとかそういうのナシにしよ!」
「は、い。よろしくお願いします///…よし着きました。」
話しているといつの間にか砂漠地帯の湖の畔まで来ていた。月明かりに照らされた水面がゆらゆら揺れている。
「うわキレー!!もしかしてぐち逸ここ来るの決めてた?連れて来てくれたの?」
「……いや別に?」
ぐち逸はぺいんの純粋な、キラキラした瞳で湖を見つめる姿に、ぺいんはぐち逸の心意気と照れ隠しの可愛い嘘にそれぞれ惹かれ合う。
「そこの岩座ろ。…はぁーきもちーなー、ここは涼しいね。」
「そうですね。もう毎日昼も夜も、関係無く暑かったから。」
「今日は個人医どうだった?」
「今日は人数が比較的多かったから余裕がありました。伊藤刑事は?警察はどうでした?」
「んー…俺がミス多かったなぁ、エイムブレブレだったし。」
「そんな日もありますよ。私もこの前3回捕まりました。」
「え、いつ?俺が出勤してなかった日?」
ぺいんが足元の小石を拾い湖に向かって投げだしたのをぐち逸も真似しながら話す。心地良い風が2人の髪を撫でた。
「話変わるんだけどぐち逸さ、ちょっとお願いがあるんだけど…」
「お願いですか?私にできる事なら。」
「えっとー…2人っきりの時はさ、伊藤刑事じゃなくて名前で呼んで欲しいな。」
「ぺいん刑事ですか?」
「刑事もなんか変じゃない?俺今警察官じゃない、ただの伊藤ぺいんだよ。」
「じゃあ…ぺいんさん?」
「うん、そうしよ。ありがと!」
「……///…」
声に出してみると急に恥ずかしくなってきて顔が熱くなっていくのを感じた。幸い、手頃な石探しに夢中のぺいんには気付かれていないようだ。
「あとさ、これから週何回かこうやって会って話す時間作らない?」
「いと…ぺいんさんの負担にならないなら賛成です。」
「負担になんてならないよ、むしろ嬉しすぎて仕事張り切っちゃうし!でも無理して時間作るとかはナシだよ。曜日決めたほうが分かりやすい?それとも空いてる時電話する?」
「ぇ…っと…いやその…」
「他が良い?じゃあどうするか…」
「他、というか……でもこれはワガママなので…」
「ワガママ?俺だってワガママ言ったよ、ぐち逸も遠慮しないで教えて。」
自分ばかり強請るのは恥ずかしいしあまり無茶を言って嫌われたくない。でもそう言うならと、眉を八の字にしながらぺいんのほうを見た。
「じゃああの……なるべく毎日…はダメですか?///」
コメント
2件
ぐち逸かわいいぃぃぃぃぃ… 毎日って…可愛すぎるって…