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mogyumogyuGemi
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mogyumogyuGemi
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#AI
みら

80
みら

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第二十三話 下層へ続く光
下層へ続く通路は、静かに光っていた。
前に見た封印扉の時みたいな、重苦しい感じじゃない。
もっと不思議な感覚だった。
深海の底へ降りていくみたいなのに。
どこか、“朝焼け”に似ている。
⸻
伊織はしばらく通路を見つめていた。
「……本来なら閉じたままのはずなんです」
「危ない場所なの?」
「ええ」
即答だった。
でも少し間を置いて、彼は続ける。
「ただ、今は何が起きるか読めません」
栞が淡々と補足する。
『旧定義下における“未処理感情領域”です』
「つまり?」
『忘却にも返却にも失敗したものが沈殿した層』
空気が少し冷える。
澪が胸元の星核を押さえた。
たぶん。
少し前まで、自分もそっち側だったから。
⸻
私は通路の奥を見る。
ぼんやりした光。
遠くで何かが揺れている。
すると。
かすかに声が聞こえた。
『……だれか』
私ははっと顔を上げる。
また声。
『まだ、朝?』
『ここ、寒い』
『終わったんじゃなかったの』
小さな囁き。
苦しそうなのに。
どこか、“助けを待ってる”みたいな声だった。
⸻
伊織が目を閉じる。
「……下層には、“未観測”が多い」
「未観測?」
「誰にも見つけてもらえなかった感情です」
彼は静かに言った。
「忘れられた、ですらない」
その言葉が胸に刺さる。
忘れられるって、誰かが覚えていたから起きることだ。
でも。
最初から観測されなかったものは。
“存在したこと”すら残らない。
⸻
澪が、小さく通路へ近づく。
『……ひとり』
星核が微かに揺れる。
『ずっと、ひとりだったんだ』
その声に。
通路の奥から、かすかな共鳴が返ってくる。
『……いた』
『きこえる』
『だれか、いる』
空気が震える。
まるで。
暗い海の底で、小さな灯りが連鎖していくみたいだった。
⸻
栞が静かに言う。
『境界安定率、低下』
『これ以上の接続は危険です』
「危険って?」
『下層は、“未定義”が多すぎる』
伊織が苦い顔で頷く。
「観測できないものは、形を保てない」
「でも」
私は通路を見る。
聞こえる声。
寂しそうな気配。
「放っておけないよ」
伊織がこちらを見る。
たぶん。
それを言うと思ってた顔だった。
⸻
その時。
中央恒星庫の小さな恒星が、ふわりと光る。
やさしい金色。
そして。
『――行きましょう』
あの声が響く。
静かで。
迷いのない声。
⸻
伊織がため息をつく。
「……あなたは本当に」
半分諦めたみたいに笑った。
「図書館の定義を変えていくんですね」
私はちょっと困る。
「そんなつもりないんだけど」
『結果として変更されています』
栞が真顔で言う。
「圧が強い」
澪が少し吹き出した。
図書館の空気が、ほんの少し和らぐ。
⸻
伊織はやがて観念したように歩き出す。
「行きますよ」
通路の光が揺れる。
その先はまだ見えない。
でも。
もう以前みたいな“終わりの場所”には感じなかった。
忘れられたものたちが。
ようやく朝へ辿り着ける場所。
そんな気がした。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第13話、読み終わりました…。 「未観測」という概念、すごく刺さりました。誰にも見つけてもらえなかった感情が「忘れられる」ですらないなんて、考えただけで胸が苦しくなる。でも、そんな場所に光が差し込んで、声が響き合うシーンが本当に綺麗で…。 「忘れられたものたちがようやく朝へ辿り着ける場所」っていうラストの比喩、ずっと心に残りそうです。素敵でした🌙