テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
FORSAKENのサバイバーロビー。
焚き火を囲むサバイバーたちの表情は、どこか妙に真剣だった。
……いや。
真剣というより、全員ものすごく野次馬の顔をしている。
「みんな、集まってくれてありがとう(^^)」
中央に立つヴェロニカが、画面のメモ帳を閉じて咳払いをする。
その横には、ブロキシーコーラをプシュっと開けるシェドレツキー。
腕を組み、静かに様子を見守るデュセッカー。
「……嫌な予感しかしない」
シェドレツキーが小さく呟く。
「今日は何の集まりなんだ?」
ビルダーマンが首をかしげる。
「発電機の修理手順の共有かな?」
「違います」
ヴェロニカはキッパリ言った。
「FORSAKENにおける重大インシデントの調査報告です」
パチン。
画面が切り替わる。
大きく映し出されたタイトル。
『シェドレツキーと1x1x1x1の不可解な関係性について』
「ぶーーーーっ!!」
シェドレツキーが盛大にコーラを吹いた。
「待て待て待て!!」
「なんだそのタイトル!!」
「静粛に」
ヴェロニカはビシッと指を向ける。
「被検体Aは発言を控えてください」
「被検体Aって誰!?」
「あなたです」
「嫌だぁ!!」
サバイバーたちがクスクス笑う。
ヴェロニカはそのまま読み始めた。
「調査員、ヴェロニカ」
「観察記録その一」
画面に大きな文字が映る。
『キラーなのに狙わない』
「1x1x1x1はシェドレツキーを見つけると」
『またお前か』
『テンション下がる』
と言って放置します」
「でも」
「シェドレツキーが罠にかかると」
「音速で飛んできます」
「斬撃で他のキラーを追い払います」
「その後」
『勘違いするな!』
『死ね!』
『いや死ぬな!!』
「以上」
「保護者でしょうか?」_φ(・_・
ロビー中が笑いに包まれた。
「違う違う違う!」
シェドレツキーが立ち上がる。
「違わない」
ヴェロニカは次のページへ。
「観察記録その二」
『ロビーでの不審行動』
「1x1x1x1はキラーなのに」
「サバイバーロビーへ侵入」
「物陰からシェドレツキーを監視」
「特に」
画面がズームする。
『デュセッカー接近時』
「炎が約三倍になります」
「ストーカーでしょうか?」_φ(・_・
デュセッカーが静かに頷く。
「確かに視線は感じるな」
「感じなくていい!!」
シェドレツキーが頭を抱える。
ヴェロニカは止まらない。
「観察記録その三」
画面いっぱいに文字が出る。
『現世帰還イベント』
「スペクターは」
『シェドレツキーを殺せば君だけ帰してあげる』
と提案しました」
「すると1x1x1x1は」
ヴェロニカは咳払いをした。
「原文のまま読みます」
画面にドーン。
『こいつに一生俺のお世話をさせるために一緒に帰るんだ!!』
「…………」
ロビーが静まり返る。
次の瞬間。
「ぶははははは!!」
大爆笑。
「それ告白じゃん!」
「完全に依存じゃん!」
「可愛い!」
「違う!!」
シェドレツキーが真っ赤になる。
「違うから!」
ヴェロニカは最後のスライドを映した。
大きな赤文字。
『結論』
一拍置いて。
「以上の調査から導き出される答えは一つ」
ヴェロニカは勢いよくシェドレツキーを指差した。
「二人は宿敵ではありません」
「互いに素直になれないだけの」
「熟年夫婦です!!」
「熟年夫婦じゃねぇぇぇぇぇ!!」
シェドレツキーの絶叫がロビーに響いた。
「なるほど!」
ビルダーマンが手を叩く。
「だから緑のキラー、僕らには容赦ないのか!」
「夫婦喧嘩に巻き込まれてたんだ!」
「違うって!!」
「神話時代から続く愛憎と贖罪と……」
「はいはい」
ヴェロニカがメモを書く。
『本人、否定するも説得力ゼロ』
「やめろぉ!!」
その時だった。
ゴォォォォォッ!!
ロビー入口で黒緑の炎が爆発した。
「誰が熟年夫婦だァァァァァァッ!!」
ドミノクラウン。
赤いケープ。
ヴェノムシャンク。
炎を真っ赤に燃やした1x1x1x1が飛び込んできた。
「全部聞こえてたぞテレビ頭ァ!!」
「殺す!!」
「熟年って何だ!!」
「俺まだ若いんだよ!!」
ヴェロニカは即答した。
「出た、熟年夫(O_O)」
「夫って言うなァァァ!!」
ヴェノムシャンクを振り上げる。
「燃やす!!」
「あっ」
「待て待て待て!!」
シェドレツキーが慌てて飛びついた。
ぎゅうっ。
1xの腰へ後ろから抱きつく。
「離せぇぇぇ!!」
「ヴェロニカ斬るな!」
「斬る!!」
「ダメ!!」
「熟年とか言われたんだぞ!」
「そこじゃない!」
「俺まだ若い!」
「気にするとこそこ!?」
暴れる1x。
押さえるシェドレツキー。
「離せバカ!」
「離したら斬るだろ!」
「斬る!」
「ほら!」
「うるさい!」
「お前なんか大嫌いだ!」
「世界で一番嫌いだ!」
「はいはい」
シェドレツキーは苦笑した。
「知ってる知ってる」
「知ってるじゃねぇ!」
「だから抱きつくな!」
「暴れるからだよ」
「むきーーーっ!!」
炎がさらに真っ赤になる。
その様子を見ていたデュセッカーは静かに呟いた。
「……報告書は正しかったようだな」
「お前まで!?」
ヴェロニカは満足そうにメモを打ち込む。
『追記』
『実験成功』
『熟年夫婦呼びにより密着率上昇』
『抱きつき確認』
『本人たちは否定』
『しかし誰も信じない』
「調査終了(^^)」
焚き火の周りは笑い声でいっぱいになる。
顔を真っ赤にして暴れる1x。
それを慣れた手つきでなだめるシェドレツキー。
その光景を見ながら、ビルダーマンがしみじみ呟いた。
「……あれ」
「本当に夫婦じゃないんだよね?」
「違うーーーーーっ!!」
二人の声が、見事にハモった。
コメント
2件
ケンカップル最高大好き愛してる
#デジタルイラスト
汚染
39
あめ猫@サボり魔
8,090
ありきたりな雑炊
50