テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
21
ぽんぽんず
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第17話【魔皇帝の流儀と、二つの宿題】
「文句がある奴は、僕が今すぐここで、きっちりきっかり『処分』してあげるよ」
傲然たる笑みを浮かべ、圧倒的な神威で魔界の重臣たちを震え上がらせるレミエル。
独占欲の塊と化したその最強の堕天使の頭を、隣から信じられないほどの威力を持った拳が、めきょ、と叩き伏せた。
「――ぶふっ!?」
「ば……馬鹿者!//// 脅してどうする、このドS元天使!!」
会議室に、アイラナのこれ以上ないほどに真っ赤な怒声が響き渡った。
レッドダイヤモンドの瞳を限界まで潤ませ、耳まで火が出るほどに赤面したアイラナは、お腹の双子を庇うように抱えながら、レミエルをキッと睨みつける。
「な、何を勝手に話を進めているのだ! 一緒に住むのは、その……か、構わないが……っ」
「え、構わないんだ?(ニヤニヤ)」
「うるさい、人の話を最後まで聞け!////」
アイラナはぷいっと顔をそむけ、けれどすぐに「魔皇帝」としての凛とした眼差しを宿して、両国の特使たち、そしてレミエルを見据えた。
「魔界の王が不在など、あってはならないことだ。……だからと言って、お前もミラディア帝国の王だろう。我が身一つでお前についていけるわけがなかろう!」
不満げに眉間にシワを寄せ、可愛い唇を尖らせるアイラナ。
「すぐに一緒には住まない。……それは、お互いが王として『やる事をやり終わったら』だ!」
つまり、不可侵条約を完璧に締結し、双子を安心して育てられる強固な国盤を両国に築き上げ、次代への引き継ぎや政務の整理をすべて終わらせてから――という、あまりにも理知的で、けれど「未来の約束」を完璧に含んだ魔皇帝の流儀だった。
その言葉を聞いた瞬間、頭を抑えていたレミエルの薄紫色の瞳が、ひどく眩しいものを見るように、そして猛烈な愛おしさを孕んで細められた。
両耳のレッドダイヤモンドのピアスをシャラリと揺らし、彼は極上の流し目をアイラナに向ける。
「あはは……。本当に君って人は、どこまでも格好良くて、最高に可愛いなぁ、アイラナ」
レミエルは今度は威圧ではなく、ただ一人の男としての優しく、けれど絶対に逃がさない独占欲に満ちた手つきで、アイラナの華奢な腰を背後からそっと抱きすくめた。
「『やる事をやり終わったら』、ね。いいよ、君のそういう責任感の強いところも、僕が大好きな君のプライドだからね。……じゃあ、お互い大急ぎで仕事を片付けなきゃ。僕、君と双子と四人で暮らすためなら、24時間不眠不休で人間界の政務を1ヶ月で終わらせてみせるよ?」
「だ、だから、衆人環視の中で抱きつくなと……っ!////」
「いいじゃん、もう父親なんだから。ほら、臣下のみなさんも、僕たちの『神魔の双子』の誕生と、未来の結婚を祝って、不可侵条約の書類に早くサインしちゃってくださいね? 拒否権は最初からないから」
アイラナに
「脅してどうする!」
と怒られたばかりなのに、やっぱり最後はにこにことドSに微笑みながら重臣たちを急かすレミエル。
真っ赤になってぷんぷん怒るアイラナと、彼女のすべてが愛おしくてたまらないレミエル。
世界を巻き込んだ初夜懐妊の大波乱は、二人の「やるべき宿題」
を残したまま、これ以上ないほどに甘く強引な大団円へと向かっていくのだった。