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「りゅういちー 今何時だと思ってるの??遅刻するわよー?」
母の声が一階から聞こえてきた。
「うぅ…またあの夢か…」
俺はベッドから起き上がろうとすると、首元がヒリヒリして違和感を感じる。
鏡を見てみると、首が赤く腫れあがっている。
「夢…じゃなかったのか?..,」
机の上にはノートが置いてある
中は白紙だった。
ポケットの中にはハサミが入っていた。
「うわっ」
ハサミには夢で見た髪がべっとりついていた。
おかしな夢を見続け、正直もう頭が限界だ。
階段を降り、リビングに行った。
部屋には父と母が朝食の準備をしていた。
「どうしたの!?その顔と首は」
母が心配してくれたが、ただの夢だし心配させるわけにはいかないと思い誤魔化した。
「べつになにもないよ…」
あまりに体調が悪く、朝食を食べる気分ではなかったので、そのまま学校の準備して登校することにした。
「…..」
学校の近くの公園で救急車とパトカーが何台か止まっているが竜一には関係ないので、無視して通りすぎることにした。
「キーンコーンカーンコーン」
「おはよー!!ってどしたのその顔」
話しかけてきたのは同じクラスメイトで片想い中の田中みゆだ。
俺は夢のことを話そうか一瞬躊躇った。
だが好きな相手に頭おかしいと思われたくなかったのでやっぱり話すことをやめた。
「きのう全然寝てなくてさw」
いつもみゆに素直になれない。
つい自分はしっかりとした人間なんだと嘘をついてしまうが、そんなの周りから見ればバレバレだった。
「あんまり無理しちゃだめだよ?何かあったらちゃんと言ってね!」
やはり俺にとって彼女は唯一無二の存在だった。
俺はやっぱりこういった彼女の優しさに惚れたのかもしれない。
みゆとは中学2年生の頃始めて会って、それから3年間ずっと同じクラスで仲が良かった。
ただ…俺には度胸がなかった…
もう3年も経っているのに告白する勇気が出ない。
もしフラれたら…もし嫌われたら…
そう悪い方に考えてしまう。
わかっている…。自分自身もっと正直にならないといけないのは。ただ、どうしても…
本気で好きになった女には…素直になれなかった。
「キーンコーンカーンコーン」
俺のクラスは男子10名と女子10名の小さなクラスだ。
先生が教室へ入ってきた。
「えーみんなちょっと聞いてほしい」
先生が深刻な顔をして何か話すみたいだ。
「高校1年生の頃から不登校だった相川はるとくんが
今日の朝、学校の近くの公園で亡くなったそうだ。」
みんなの反応は薄かった。少し驚くやつもいたが、あまり絡んだことのない不良が一人二人亡くなったところで対してそんな騒ぎにはならなかった。
「あんまり詳しいことはわからんのだが、死因は何かの生き物に食い殺されたみたいなんだ」
竜一は夢で見たあの光景を思い出し、吐きそうになる。
「先生…ちょっと保健室に行ってきます…」
保健室のベッドで横たわっていると眠気がしてきたので、そのまま昼過ぎまで寝てしまった。
「う…うう」
だいぶ混乱して頭が回らなかった竜一だったが、保健室で寝たおかげでだいぶ気が楽になった。
竜一は頭の中を整理しだした。
夜、家で寝ると変な夢を見る。謎の怪物に襲われ、
しかも昨日の夢では相川はるとくんがでてきた。
そして、夢で殺された者は、現実でも殺されるのではないかと仮説をたてた。でもどうして相川はるとくんが出てきたのかよくわからない。その前は自分だけだったはず…
そしてあの赤い扉を開ければ夢から脱出できるということに違いない。ハサミやノートは…….
いろいろ考えたがまだわからないことだらけで、結局こちらからはどうすることもできない。
そして午後からは普通に授業に参加し、そのまま今日という一日が終わり、家に帰ってきた。
親は仕事でどちらもいないみたいだ。
今日も夢を見てしまうのか…怖くなってくる
また誰かが死ぬところを見るのは嫌だ….
だがしかし、恐怖からは逃げることはできない。
恋愛もそうだ。前向きに、立ち向かわないといけない。
そして今日もそのままベッドに行き、就寝した。