テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼が私を忘れてしまった。
それはとてもとても寂しいけれど、
彼が幸せなら、いいのかもしれない。
私は、彼を不幸へ導くから。
それならいっそ、私を完全に忘れてください。
私はもう消えたっていいのです。
私の存在が無くなるまで、忘れてください。
忘れて、忘れて、
忘れてほしいの。
「テラの世界は、どんな人が居たの?」
「えーっと、大体頭がおかしい?」
「……大変だね」
「はは……特にエリスはヤバかったなぁ……」
「エリス?」
「うん。とにかくヤバい人」
「どんな見た目?」
「見た目…確か、銀髪にレッドピンクのメッシュ、言い方が分からないけど、とにかくすんごい服装。あと美人」
「わお」
「戦闘狂で、死神みたいで、優しい子」
「死神みたいで優しい……すごーく変」
「はは。確かにすごく変だけど、言葉通りなんだよね」
「あの人がああなっちゃったのは、置かれた環境のせいだと思うし、そう思うと少し可哀想だなって」
■△■△■△
「ありゃ、テラちゃん死んじゃったの?」
「……」
「うーん、あの子何となく死なないと思ってたんだけどなぁ」
つまんない、と頬を膨らませ、横髪を指で弄る。
その様子は子供の様でありながら色香を漂わせる、不思議な魅力がある。
中々に色気のある大胆な服装ではあるが、そこには露ほども目がいかないくらい端麗な顔だ。まさに女神である。
「エリス嬢、もう少し悲しまないのですか?」
「え? どうして人の死を悲しまないといけないの?」
本気で言っているのだろう。
確かに、身も知らぬ人であればその態度も許容は出来る。
しかし、彼はエリスにとっていわば恩人のようなものだ。
ならば、もう少しは悲しんで欲しいところだが……
……まぁ、コイツじゃありえないな。
「人なんて、いつか必ず死ぬもの。明日死ぬかもだし、今日死ぬかもだし。それを一々悲しんでる暇は無いわ。私は私の人生を歩んでいるの! 悲しむ事を強要しないでよ。レイヴン」
「あぁ、はい……」
「……何。私は私の思う事を言っただけなんだけど。どうしてアナタって何時もそうなの? 本当に腹が立つのよ。人に自分の思想を強要して、自分が一番正しいなんて言って自分を正当化して。ああ、嫌。ホントやんなっちゃう。どうしてアナタなんかが私の執事なの? おとぉ様に言って変えてもらいたい……あぁでもおとぉ様はおとぉ様で自分が一番だと思っているのよね。自分を大事にするのと自己中心的なのは別物なのに、これは自分を大切にして、尊重しているだけだーって言って! おかぁ様も一々癇癪がイラつく人だし。どうしてみんな普通を強要するのかしら。どうしてみんな自分達と違うものを否定するのかしら? 本当に腹が立つ。別にみんなに合わせなくたっていいじゃない。どうして私ばっかり怒られるの? 私がちょっと変だからって、指を指しておかしいおかしいって言って唾飛ばして怒鳴られて、あー、私って可哀想。ホント可哀想。私は頑張って合わせようとしたのに、逆ギレされるし〜! もうみんななんかどうでもいい! 私は私なのォ! 邪魔なんかするんじゃねぇよ!!! 好きにさせろよ!! もうみんな大嫌い! 死んじゃえ!」
「はぁ……」
俺だッてオマエの執事なんかやりたくねェよ。
オマエみたいな面倒な女。
しかもオマエ、なんで俺達に合わせられないんだよ。普通合わせられるだろうが。
周りを見れねぇ周りに合わせられねぇ女嫌いだわァ。美人だからラッキーとか思ッてたのにサイアク。
「もういい。あそこ行ってくる」
「かしこまりました」
さっさと出てけ、クソ女。
さっさと死ねよ、クソ男。
■△■△■△
女の子が産まれた。
とっても綺麗な女の子。
みんながこの子の誕生を祝福した。
だけど、この子は異常だった。
我儘で周りに合わせられなくて、本当、
なんで産まれてきたのよ。
迷惑なのよ。
アンタの癇癪がウザったらしいの。
ペラペラと愉悦に浸りながら長々と馬鹿みたいな話垂れ流しやがって。
気持ち悪いのよ。
一番嫌いなのはあの強さと賢さなの。
異常者なクセに余計に強くて、立ち回りが上手くて。
だからアタシ達はアンタを追い出せないし、殺せない。
あぁ、本当、腹が立つわ。
死ねばいいのに。
「おいクソアマ。何ブツブツ言ってやがる。どけよ」
「はァ? アナタって何時もそうね! その偉そうな態度ムカつくのよ!」
「女如きが、今更なに反抗しやがんだよ!」
「女如きィィ? アナタはいっっつも男女差別するわねぇ! イラつくのよ!! アタシを女だからって舐めやがって!!」
「アァ!? こんのクソアマがァ!」
「父様母様またですか……」
「……あら、マニアちゃん、いたのね。ごめんねぇ、おかさあさんとおとおさん、ちょーっと喧嘩しちゃってただけなの。怖かったよねぇ。ごめんねぇ」
「そう、そうだよ。少し喧嘩してただけなんだ。すまないマニア」
「……はい」
父様も母様も、気持ち悪い。
ここまで育ててくれた両親にこんな事思うのはいけないと分かってる。
でも、嫌なんだ。
喧嘩していると思えば、私を見てすぐに気持ちの悪い笑顔を向ける。
それが怖くて怖くて、どうしようもない。
母様も父様も、お姉様を嫌っているけれど、
私はお姉様が好きだ。
お姉様をあんな風にしてしまったのは、周りだから。
だから、せめて私だけは、お姉様を好きでありたい。
何より、私がお姉様を好きな理由は、お姉様は昔、私を守ってくれたからなんだ。
なら今度は、私がお姉様を守る番だよね。
お姉様は、私が守ってあげるからね。
だから、お姉様は私を見ていて。
私だけを見ていて。
お姉様に良くするのは、私だけだから。
お姉様、お姉様。
大好きよ、お姉様。
■△■△■△
「エリス、今どうしてるのかな」
彼女は精神的に幼い。
能力的には最強なのだが、やはり心配だ。
彼女は、ただの純粋な少女なのだから。
「エリスちゃん、会ってみたいかも」
意外な事を羽白が言った。
でも……
「うーん、羽白とは合わないかも……」
「私、みんなと仲良くしたいから、嫌われててもグイグイ行くから!」
「強強メンタル……」
こんな子だったっけ……
もっと緩い子じゃなかったっけ……?
「あ、そうだ。エリスってね、神様なんだよ」
「か、神様!?」
「良い反応するなぁ」
「だ、だって、神様なんてびっくりするでしょう!?」
「まぁ、それはそうだね」
「でも、言いたいのはそれじゃないんだ」
「?」
「エリスは神様。だから、世界にだって干渉できる」
「……まさか」
羽白が言葉の意味を理解したのか、
その考えを発しようとした。
その時。
「わっ! な、なに今の光!」
まるで隕石でも降ってきたかのような光が俺たちの前に降ってきた。
そう、光が、降ってきたんだ。
_____まるで、神が降臨したかのような。
「あれれ、テラちゃん?」
そこには、エリスが立っていた。
どうも作者です。
エリスちゃんかなり気にいってます。
キャラデザも出したいんですが、なんで出来ないんでしょうね?
かなり頑張ったんですけど……
今回は一番の狂気回でしたね。
書いてる時すごく楽しかったです。
頭のおかしいキャラ好きなので。
次回もお楽しみに!
ー プロフィール ー
エリス・レッド・ロドクルーン
身長 146cm
体重 36kg
性別 女
精神的に幼い子です。環境の問題で。