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うへへぇ…すき…
「ねぇ、セラ夫。心中しませんか?」
突然のことだった。
特に深い話をしていたわけでもない。
日常会話のようなごく自然に放たれた言葉。
『え、急にどしたの?凪ちゃん。』
戸惑いつつも疑問を投げかける。
「いやね?私考えたんですよ。」
「死ぬときは一緒!って言ったってそんな同時に死ねる(道連れにできる)わけないんですよ!」
いや、まあ確かにそれはそうだけど、なぜこんな急に?
「そこで私、気が付いたんですよ!心中すれば解決だってことに!」
何故か嬉しそうに話す彼の目にはうっすらとくまが出来ていた。
なるほどね。そういうことか。
『凪ちゃん寝てないでしょ?』
「え、?いや、寝てます、けど?」
そんなくまだらけの目を泳がされてもねぇ、
仮にも元スパイがそんなんで大丈夫なのか?
『心中だか新宿だかどっちでもいいけど。とりあえず寝な~?』
「な!?あなたちょっと適当すぎません?ちゃんと話は聞きなさいよ!」
『うるさっ!ちょっと凪ち。耳元で叫ばないで、』
「はいはい。すみませんね!どーせ私はめんどくさい男ですよ!」
そこまでは言ってないが、、、
でもたしかに、寝不足な凪ちゃんは正直少しめんどくさいのでこちらとしては早く安静にしてほしい。
倒れても困るし
『はいはい、そーですね。』
適当に返事をしつつ
まだ何か言いたそうな彼を無理やりにでもソファに寝かせる。
相当疲れていたのかすぐに大人しくなった。
『起きたら心中でもなんでもしてあげるから。とりあえず寝な。』
そういい頭を撫でてみる。
すると彼は、どこか安心したような表情で何かを呟いたあとゆっくりと目を閉じた。
『おやすみ、凪ちゃん。』
知ってるよその話をするために凪ちゃんがどれだけ悩んだか。
俺に迷惑になるんじゃないかって色々悩んで、そのせいで寝不足になったことも。
でも安心してよ。凪ちゃん。死ぬときじゃなくて
『死んでも一緒だからね』
ぽつりと呟いたその言葉は、静まり返った事務所によく響いた。