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誰かの手に渡ってしまうのなら逃がしてしまえばいい


知っております、えぇ知ってはいるのです。

本日があの少女の出荷日だということが、何も出来ずに見送る事しか出来ないという事は。私は彼女と自分を重ねてしまったのです、私の代わりに彼女が逃げてくれさえすればいいのです。

私はなんという愚者でしょう、分かっていても気持ちは変わらない一方、私はこの店の看板だというのに。どうすれば、一体どうすれば彼女を逃がせるのでしょうか?私の命と身体を捧げれば、捧げればいいのでしょうか。




「まぁ落ち着けよ。」




パニックになる事を辞められない、それは実に浅はかで馬鹿者であること、 しかしそれと同時に仕方がなく哀れだということ。


あぁあの者はどうせ逃がす、あの商品に感情が昂って興奮しているだけ。

二度もチャンスを与えているよ、この身が欠損体になってでも彼に逃げて欲しかったから見逃した。それでもここに未だ居る大馬鹿者、どうして辞めないのかね。


まぁ分かってしまう僕も大概だがね、どうせここは店員の人手は多いが重要な役割の者は少ないという馬鹿な振り分けをしている。

あぁ、彼があの少女を逃がしても僕がとっ捕まえるだけだ。


馬鹿、馬鹿者、愚かで実に憎たらしい。


それでも僕は彼を気に入っているよ、まだこの店の指導者には向かない未熟者だが、それでも立派な判断力と冷静さをお持ちである。


今はそれが見当たらない状況だが。


仕方ない、昼寝をしたかったんだけど、どうにもしてられない状況だな…面倒な奴だよ。



「貴方は…ホィネン…か」


「モィネンね、名前を間違えるだなんて酷いな君は」


あぁ名前を間違えやがった、まぁあの時からずっと会ってないものだから仕方がない、のか?

どうせ相変わらず僕に厳しいんだろう、きっと嫌いなはずだ、面も会わせたくないくらいには。



「…お前はどうせ昼寝するつもりだ、一体何の用だ?」


「僕に対しての敬語は無いの?一応君の先輩なんだけど」


あぁどうして分かっていたのに面を合わせたんだ、馬鹿か、こんな嫌そうな顔をしている奴にかける言葉が先輩面か、何故自分の頭は学習しない。


「なんでもないよ、自分のやる事を見失わないように、昼寝してくるからまたね」


「…分かってる、さようなら」




あの人は一体なんだったんだろうか、いや今は仕事をしているんでしたね、あの人に1番言われたくないことを言われてしまいましたが。



いや…少しは感謝すべきでしたね、あの猫には。

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