さすが聖人に時期王、他の学園の人達を次々に倒し最終試合まで勝ち残った。
観客席に座り、シフォンケーキを頬張りながら映像を見つめる。
このまま勝って終わり。では無い、この後魔獣であるフェンリルが会場を荒らす。普通のフェンリルではなく、幻獣とされているフェンリルの長だ。
小説通りであれば、そのフェンリルはロイを守る従魔となるはずだ。
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ザザッ、と雑音が鳴り映像が途切れ、焦ったような解説者の声が響く
『っ、皆様すぐに避難してください!会場に魔獣が現れました!騎士団の指示に従ってください!』
その言葉を聞き会場は混乱に陥った。だが騎士団、学園の先生方が冷静に避難をさせて行った。
人が流れる中、シャルロットとルカだけは席に残り続け、魔獣が出た方を眺めていた。
ロイ達はフェンリルと闘い、勝つはず、だった。
押されているのはロイ達。致命傷を負ってはいないが魔獣の爪が掠り、切り傷が増え続けていた。攻撃の魔法も弾かれていた
「そ、そうだ俺達がミル先輩たちを重症にしたから…」
本編ではフェンリルに押されていたロイ達を軽傷ながら助けに入ったミルとロイド、その2人を交え共に倒すのだ、だから今回2人は重症でここには居らず、フェンリルが有利になっていた。
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「怪我をしていながら、そのまま戦うつもりか?」
ルイスはそう言いながらミルを見た。
「何、ロイを守るためならこれぐらい」
「僕がこの程度で動けないわけないでしょう」
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と、なる筈だった。だが、シャルロットとルカの全力をぶつけられ、軽傷で済まなかった2人は今、救護室で眠っている。
「本当はあそこでシーシア先輩が、フェンリルの違和感に気づいて倒すのを辞めさせるのにっ…」
このまま進めばロイ達が死ぬか、フェンリルが死ぬ。これからの物語にはフェンリルの力があるかないかで戦力が天と地の差になる。死なせては行けない
(それに、フェンリルは、フェンリルはっ___
「フェンリルはシャルロットの次に推しなのに!!!」
突然観客席で叫んだシャルロットにロイ達の視線が向いた。
「…行こうシャル、フェンリルを助けるよ」
ルカがシャルロットを横抱きにし、ロイ達がいるアリーナに降りる。
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目の前で唸り、攻撃魔法を繰り出そうとしたフェンリルはルイスとロイの攻撃により脚に怪我を負い、魔法が途切れた。
いちかバチか、聖なる属性で強制隷属を解除できるか、試してみることにした。
ルカに魔力を貰いながら、水球を出し、動けなくなっていたフェンリルに被せる。
「魔力、ごめん」
シャルロットを支えながら、魔力を供給してくれているルカをチラリと見上げ、謝る。ルカはキョトンと目を丸くさせ、にこりと笑った
「大丈夫。魔力量に自信あるから」
水が光を帯び、フェンリルの足の傷が塞がって身体が段々と小さくなって行く。水が消えると同時にフェンリルの胸元がピキっと紫色に光割れた。宝石は粉々になり欠片も残らず消えた。
強制的に従わせる宝石、それをフェンリルは無理矢理付けられていた。
「え…小さくなった?」
「ロイお兄様、フェンリルは身体の大きさを変えられるんです」
シャルロットはフェンリルに近づき抱き上げる、はい。とロイにフェンリルを渡す。ロイはえ?と声を漏らし、困惑しながら受け取ろうと手を伸ばした、けれどフェンリルはいやいやというようにシャルロットに擦り付ききゃんきゃんと鳴いた。
「…フェンリルはシャルがいいんじゃない?」
「…え?」
本編ならシャルロットでは無く、ロイに懐き、忠誠を誓っていた。
(なのに、どうして…?
「助けたのがシャルなんだよ?それじゃあシャルに懐くでしょ」
「そ、そうなの、か…?」
フェンリルが薄く光を纏い、腕から降りた。フェンリルは頭を下げ、従魔契約がされていた。
「っ!?許可は…?」
本来、従魔と契約をする際、主人になる人は拒否、許可が決められる。ただ、今回はそのどちらの選択肢もなく自動的に許可がされた。
「フェンリルの長程の魔獣だと主の許可は関係ないんじゃない?」
「!?!?!?」驚きのあまり、声も出なかった
『♪』
フェンリルはそんなシャルロットをお構い無しに小さくなり、楽しそうに肩に乗った。
「俺達の子供だよシャルロット、名前一緒に考えようね。」
そう言った、至って真面目な顔で。そのままシャルロットの肩に乗るフェンリルをわしゃわしゃと撫で始めた。
「っっ!?真面目な顔して何言ってるんだっ!」
シャルロットは赤面し、ボカスカとルカの脛を蹴り上げた。
「照れ隠しに蹴るの可愛いね。」
何をしても可愛いというルカに、もう何をしても効かない気がして蹴り上げていた脚を下ろす。
肩からじんわり送られてくる魔力にフェンリルの方を見ると、ふふん!と満足そうに尻尾を振っていた。シャルロットの魔力が少ないことが分かって分けてくれたらしい。
「…ありがとう」
『♪♪』
あまりの可愛さと、いい子さにもう子供でもいいかもしれないと思考が飛んで行った。
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校長室
「はい、従魔として登録はしました、これからは一緒に生活して頂いて構いません」
学園で従魔を連れる際、校長の許可が必要な為ミリーナに会いに来ていた。
「ありがとうございました。」
特に難しい書類もなく、ただ 種族、名前を書き、注意事項を聞くだけだった。
一礼をし、リルを肩に乗せて校長室を出る。
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フェンリル、命名 リル
「安直すぎたかな…」
「リルは気に入ってるし、いいんじゃない?ねーリル」
『♪♪♪』
くるくると周り、尻尾はフリフリと揺れていて、いつも以上にご機嫌そうだった。
「それなら良かった」
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教室
「結婚してないのに子供!?」
「いつ産んだの!?」
「出産祝いもってないよ!」
教室に入り、肩にいるリルを見た瞬間生徒に囲まれ、質問攻めも受けた
「いや、いやいやいやいや産んでない!」
「そう、産んではないけど俺達の子供だよ〜♡」
「これどっちだ!?子供か子供じゃないの賭け金」
「払い戻しじゃない?」
真面目な顔をして、賭け金がどちらになるかなどの話をしている。それに、いつの間に賭けていた
「15歳が…賭けるなぁああああああああああ!!」
怒りにより、シャルロットにない属性の雷がクラスに落ちた。
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従魔は個体によって属性があるので、神殿で調べてもらう事にした。
神父が水晶を前に、リルのステータスを見ている。
「この子はフェンリルの長ですね…火の属性と水の属性と神の加護を持っているようです」
リルはふすふすと鼻を鳴らしながら得意げに背筋を伸ばしている。
「俺達の属性1つづつだね、俺達の子だねぇ」
『きゅん』と小さくなっているからなのか、高い声で可愛く鳴くリルと微笑んで嬉しそうにするルカにもう何も言えなかった
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11話 エンド 12⁄2
閲覧ありがとうございました!(´▽`)
コメント
1件
照れているシャルさんは可愛らしいですね ( *´﹀`* )𓈒 𓂂𓏸