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カフェの窓際。淡い木目のテーブルには、ふたりの飲み物と軽食が運ばれてきた。
フランスはカフェラテ、イギリスは紅茶。そして、小さなベリータルトをひとつ、シェアするように注文していた。
仏「ほら、紅茶だよ。砂糖いる?」
英「ええ、ありがとうございます。……でも、勝手に私の好みを覚えないでください」
仏「ふふ、それもう何回目のセリフ? もう諦めなよ、好きな人の好みくらい、自然と覚えるでしょ」
英「……それを堂々と言うんじゃないですよ、まったく」
イギリスはふいっとそっぽを向くけれど、顔がほんのり赤い。
そんな様子をフランスは嬉しそうに眺めながら、ラテをひと口。
仏「おいしい。ここ、雰囲気だけじゃなくて味もちゃんとしてるね」
英「……そうですね。タルトも……甘さ控えめで、ちょうどいいです」
イギリスは小さなフォークでベリータルトをひと口食べ、無言でフランスの前にそっと皿を差し出す。
仏「ん? え、いいの? 食べていいの?」
英「……シェア、するって言ってたでしょう。遠慮しないでください」
仏「はいはい、素直に『美味しかったね』って言えるようになるまで、あと何回カフェに通えばいいんだろ」
英「……一生かかるかもしれませんね」
仏「うわ、それでも通うしかないじゃん……めっちゃ愛が試されてる気がする」
そんなふうに冗談交じりで笑い合う、何気ない午後。
ふたりの時間は、ゆっくり、確かに進んでいる。