テラーノベル
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これは、私が唯一望まなかったことだ。
「はぁ…っ、はぁっ」
この人には幸せになってほしいと思いながら学校生活を見守っていた。それなのに、私は姉としての役目を果たすことができていなかったんだ。
「姉さん…」
「海斗、今すぐお父さんかお母さん、レヴィでもいい。すぐに呼んで」
「でも…っ」
「早く!」
ー数時間前ー
「寄り道とか…バレたらどうすんの」
「いいじゃん!そろそろこの公園がなくなるんだって。よく遊びに来てたでしょ?」
「懐かしいね。遊具はあまりなかったけどよくここで過ごしたよ」
「へぇ〜、俺たちが転入した頃には遊ばなくなったんだな」
「遊具の老朽化が原因だよ。危ないから入るなって言われた」
「なら老朽化する前に直せばいいのに。私もみんなとここで遊びたかった!」
ティナが頬を膨らませている。光平も、少し不服そうだ。双子は懐かしい記憶を思い出すかのように、公園を外から見回した。
「え、人がいるよ」
「何言ってんの。見間違いじゃない?」
「いるんだって!俺視力いいもん!」
それは知らんけど、と思いながら奏舞の見ていた方向を見る。すると、本当に人がいた。小学1年生なのか、黄色い帽子を被っている子が1人。そのせいで顔はよく見えない。あと2人いるけど、たぶん体格的に4、5年生ぐらいの上級生だ。
「立ち入り禁止だって知らないのかな」
「危ないから早く行こう」
「待て」
中に入ろうとする双子を光平が止めた。
「なんで止めるの?早く教えないと…」
「様子がおかしい」
私たちは小学生たちを見た。すると、上級生が1年生のランドセルを逆さまにして、中身を1年生の頭の上から全て落とした。1年生は頭を抱えて守ろうとする。教科書は砂で汚くなってしまった。
「あの筆箱…ランドセルの色」
「愛楽?」
「あーちゃん、どうかしたの?」
嘘だ。まさか、信じたくない。
上級生は1年生の腕を掴み、その拍子で帽子が落ちた。私は確信した。あの髪色は、紫がかった髪は、御神家の遺伝した色だ。
「あーちゃん!?待って…!!」
気づいたら私は走り出していた。だってそうだろう。私の弟が虐められているのだから。
「海斗!」
「ね、ねえさ…ん」
「あ、噂の人じゃん!」
上級生が私を指さす。それを無視して、私は海斗に怪我がないかを確認した。見たところ大丈夫そうだ。
「はぁ…っ、はぁっ」
こんな時、私の体力のなさが嫌になってしまう。私では親を呼びに行くには遅すぎる。とにかく海斗をここから離したい。
「海斗、今すぐお父さんかお母さん、レヴィでもいい。すぐに呼んで」
「でも…っ」
「早く!」
海斗は走って家に向かう。光平やティナがついて行ったのを見届けて、私は小学生達を見た。奏舞と空舞が近づいてくる。
「海斗は、君たちになにかした?」
何も答えない。何も言わなければいいと思ってるのか。意味がわからない。海斗は人を傷つけるような子じゃない。だとしたら原因はそっちにあるはずだ。絶対に聞き出す。
「もう一度聞く。御神海斗は、君たちに何かしたか?」
「アンタが俺らの姉ちゃんいじめたんだろ?」
質問に質問で返され、動揺する。でも、その質問に違和感を覚える。噂で聞いたのか知らないが、それは逆だ。君たちの姉が私をいじめたのだ。
「違う」
「姉ちゃん泣いてたぜ!ぜってーそうだろ!」
「そうか、つまり海斗を虐めたのは私の弟だからか」
心底うんざりする。海斗にどうなってほしかったか思い出せ。幸せになってほしいんだろ。それなのに、何だこの醜態は。自分に腹が立つ。
「よく聞け小学生。いかなる理由があろうとも、人を傷つけてはならない」
「ははっw説教のつもりかよババア!」
「そうだ。君たちのお姉さんと皮肉にも同い年の、ババアかもな」
「ひ…っ!?」
「いいか。私の弟に今後一切近づくなよ?若造」
小学生たちは一目散に逃げていった。奏舞と空舞が私の肩を叩く。
「「大丈夫?」」
「うん、大丈夫」
輝瀬黒(ペア画中
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その後、海斗とレヴィ、光平たちが公園に着いた。私は小学校に電話をかけて、今すぐ向かうと言い、返事を聞かずに切った。
「クソどもが」
「愛楽/あーちゃん/姉さん…こわ」
コメント
3件
あーちゃんの「唯一望まなかったこと」って言葉、重かったな……。弟がやられてるの見て、あそこまで感情が爆発するの、すごくリアルだった。小学生相手に「ババア」って言い返すとこ、ちょっと笑ったけど、でもその裏に姉としての責任感じてるの伝わってきて。ラストの「クソどもが」が、彼女の強さと弱さの両方見せてくれた気がする。Luluさん、この闇の中の家族愛、ちゃんと書けてるよ🖤