テラーノベル
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「リン、ボクは君とは結婚出来ない。そう言っただろう」
「でも!」
「それにボク、婚約者が出来たんだ。だから、ごめんね」
「そんな……リンはアリスのこと、こんなに好きなのに!」
まっすぐ素直に、アリスに自分の気持ちを伝える可愛い彼女を見て、私は思い出したくないことを思い出してしまう。
「リンは二番目でも構わないよ?」
「君はタカマガハラの王家の血を引く獣人達の大切な人だ。そしてボクはライトコールの王子」
「なくなった国になんで縛られないといけないの? リンはリンなのに!」
「リン様!」
「じぃ、じぃも言ってよ」
「これはこれは、アリスト様」
ペコリと白い毛が混じる犬っぽい獣人さんがお辞儀する。
「やぁ、スイ。ごめんね。ボク達急いでいるから、リンをお願い」
「はい、我らが王となられるアリスト様。後程、是非お話しに――」
「だから、…………行こう!」
アリスが私の手を引いて急いで、歩きだした。
「アリス!!」
リンの呼び掛けに振り返ることなく。
ーーー
獣人街から少し離れた場所までくると、ルードがアリスに話しかけた。
「アリスト様、他国の姫を迎え入れるのは――、それとも国を出るおつもりで?」
「どちらもない!」
ルードの質問に、少しイライラした口調で答えるアリス。
二人は、少し早足になって先に歩いていく。
「では、先程の女性には――」
「ボクは――、っ!」
はっきり言わないアリスの様子が気になってしまう。もしかして、リンのことが好きっていう気持ちがあったりするのかな。あれだけ可愛いし、まっすぐ伝えてくれるし、うじうじ考えるだけの私より、ずっとずっと可愛いよね。
「はいはい、とっととアンダーソイルに行くっすよ!」
スペードが手をパンッと一度、大きな音をたてて叩いた。
「わかってる。行こうか」
「あ、うん」
まだ何か言い合いをしている二人はどんどんと前を歩いていくので、私とスペードが後を追う形になった。
なんで、アリスははっきりと言ってくれないのだろう。以前に彼女と何かあったのかな。それとも、もしかしてスペードの言っていた初恋の人って……。
伝えようと決めていたはずの気持ちが揺らぐ。もし、伝えて、振られてしまったら、私はどうしたらいいんだろう。
そう、この世界では、私の知っている人はあまりに少ない。
その中の、一番好きな人に、好きじゃないと言われてしまったら――。私は――。
「駄目だなぁ……、私」
誰にも聞き取れないくらいの声で私は呟いた。
「リサ、うつむいてるとこけるっすよ」
スペードが声をかけたタイミングで、私は石につまずいた。
「ほらねっす」
見事にキャッチしてくれたスペードが、私を引き寄せポンポンと背中を軽く叩いた。
「アリスト君、耳がいいっすから声に出すと聞こえるっすよ」
スペードが、小さな声で囁く。
さっきの――。
私は、小さく頷いて、スペードから離れた。
「ありがとう、スペード」
「はいっすよー、気になることがあるなら何でも聞いて下さいっす。リサになら答えられるものなら答えるっすよ。後で、ゆっくり」
ニコニコ笑うスペードはとても胡散臭い。
「また、ギブアンドテイクって言うんでしょう?」
「あー、そうっすね」
もし、何か聞いたら、今度は何を請求されるんだろう。とても楽しそうに彼は笑っていた。
アンダーソイルの入り口に辿り着いた私達は、外に立つ衛兵ドワーフさん達に止められた。
「申し訳ございません、現在アンダーソイルでは、獣人種の立ち入りを禁止しております」
コメント
1件
第137話「立ち入り禁止」読んだよ〜!!😭💕 リンちゃんの「こんなに好きなのに!」ってまっすぐな告白、もう胸がギュッてなった…好きな人に婚約者ができたって知ったときの絶望感がリアルに伝わってきて、こっちまで切なくなったよ〜🥺💦 それにアリスがはっきり答えないのも気になる〜!「伝えて振られたらどうしよう」って不安になる主人公の心情、すごく共感できたし、スペードの胡散臭いけど頼りになる感じも絶妙だよね! 最後の「獣人種立ち入り禁止」で終わるの、続きが気になりすぎる〜!!次話待ってるよ🌸
花月夜れん
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裏五条
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#ハッピーエンド