「お兄さん!私中学生になったよ!」私は新品の制服を見せながらそう言う。
「うん、可愛いね。制服似合ってるよ。」
あれから私は妖魔の事について勉強して術者専用の中高一貫校に入学した。
「お兄さん、私ね、絶対にお兄さんみたいな術者になってみせるから!」
「期待してるね。」
にっこり笑うお兄さんは、本当に人間なのか疑うほどに綺麗な顔をしている。私と出会ってから全く歳を取っているように見えない見た目は私以外の人は知らない。お兄さんは何故か私以外の人の目の前には現れないからだ。人が来るといつも青い桜の花びらを残して姿を消してしまう。
「おにいさん!あのね今度ね、一緒に海に行かない?もちろん人がいない夜の時間帯にさ!」
「いいよ、瑠衣ちゃんと行くの楽しそうだし!」
―約束の日―
「おにーいさん!どう?新しい水着!」
「……っか、可愛いね。」
照れてるの?おにいさん珍しい
「おにーいさん!こっち向いて?」
「ん?何?ってうわ!」
私は彼
に水をかけた。
「って、るーいー!仕返しだ!」
「きゃっ!あはは!冷たーい!」
私は、彼への気持ちをだんだんと理解してきた。中学生にもなると自分の気持ちがわかる。私は、彼が好きなのだ。
「……ねぇお兄さん。」
「なあに?瑠衣。」
ここで気持ちを伝えると、お兄さんはどんな反応をするだろうか。
「……んーん、なんでもなーい!そんなことより追いかけっこしよー!」
「ちょ、元気すぎるってー!」
私は、今日も気持ちに蓋をする。
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