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ここは記憶を保管する図書、ディプリート図書館。あなたの記憶を安全に保管する所でございます。トラウマ、悲しみ、恐れ、喜び、幸せ、自分自身 これらのジャンル分けをしており、3つのランク分けをしております。
僕達は誰も拒みません。記憶を保管するかしないかはお客様しだいでございます。図書館員一同 お待ちしております。
ある日の早朝・・・
ア「クローバー ちゃんと掃除してますか?」
ク「んだよ….ちゃんとしてんだろ?ん?客人が来たみたいだぜ?」
ア「はぁ….クローバー、本当に頼みますよ?」
ク「そこまで言わなくたっていいだろう!?」
ロ「またやっているのですか?」
ク「ロベリー 俺ちゃんと掃除してるよな?昨日なんてロベリーのところやっただろ?」
ロ「そうですね よくやっていると思いますよ?あ、そういえば…イチイがクローバーを呼んでいましたよ?」
ク「イチイが?」
ロ「なんでも本の整理を手伝って欲しいだとか」
ク「あいつにしちゃあ珍しいな。まぁいいか行ってくるよ」
ロ「今日のおやつはどうします?」
ク「俺の部屋置いておいてよ」
ロ「分かりました」
🛠「ここは噂の図書館でいいのか?」
ア「ようこそ。アルフレッド様」
🛠「っ!?き、君は誰だ!」
ア「僕はここディプリート図書館で館長をしております。アセビと申します。アルフレッド様本日はどういった記憶を保管致しますか?」
🛠「俺は….もうすぐ死ぬんだ」
ア「ご病気ですか?」
🛠「嗚呼 もう治ることのない病気だ。そんな悲しい思い出を私は妻と子供に残したくないんだ。」
ア「では、本日は奥様とお嬢様の記憶を保管いたしますか?」
🛠「その通りだ….妻と子供の私が病気だった事を忘れさせてやれないか?」
ア「かしこまりました。今担当のものを呼びますね? イチイ お客様です。ご案内を」
アセビがそう声掛けをすると、1人の少年が来た。目つきが悪いが何故か優しさを感じる
イ「俺はイチイ。あんたはアルフレッドだろ?話は聞いている。だけどもう少し詳しく教えてくれ。」
🛠「あ、ああ」
ア「アルフレッド様 彼は無愛想ですが、悪い子ではないので気軽にお話ください」
🛠「アセビさん 助かったよ」
ア「いえいえ….」
イ「あんたは優しい人だね。でもその逆に自分自身を忘れて欲しくないという欲望を持ってる人は誰しもそんな感情を持ってるもんだから別に責めてるわけじゃないけどさ」
🛠「君はなんでもお見通しのようだな。そうだよ俺は卑怯な人間だ。妻と子供には俺を忘れて欲しくない。人間はいつだって寂しいものだ。誰かといてもいつかは別れが来るからね。」
イ「あんたはいい考えを持ってるね。それじゃあ、奥さんと娘のあんたが病気であるっていう記憶を保管する感じでいいか?」
🛠「嗚呼 頼むよ….これは妻の髪の毛でこっちは娘の大事にしていた俺から送った手紙だよ」
イ「確かに受けとった。今から本に書き写してくから、少しだけ待っててくれ」
🛠「ありがとう イチイさん」
イチイは少しだけ照れながら書き写し始めた。彼の手はスラスラと動き慣れた手つきでやっている。俺はただそれを見つめるだけだった。心の中には妻と娘に申し訳なさを感じているが、これは今後のためであると言い聞かせた。
イ「これで終わりだ。悔いは無いな?」
🛠「嗚呼 ないよ ありがとう」
イ「入口まで送る」
ア「おや、終わったようですね。」
🛠「本当にありがとう これで安らかに行けるかもしれない」
ア「そうですか….」
🛠「アセビさん、イチイさん、一つだけ頼みを聞いてくれませんか?」
ア「はい なんでしょうか?」
🛠「俺の娘が、もしここの来た時は….記憶を戻してやってくれないだろうか,…」
ア「アルフレッド様の頼み聞き入れました。お嬢様が来たあかつきには、アルフレッド様が残した記憶を戻して差し上げます。どうかご安心のください。」
イ「俺もアセビと同じだ」
🛠「そうか…ありがとう….」
ア「では、良い旅を….」
アルフレッドは入ってきた方向へ向かった。
イ「人ってどうしてこうも悲しみを持ってるんだ?俺は未だに理解できない」
ア「そうですね….人とは感情が沢山あります。ここにある本の数だけあるんです。悲しみは誰しもある感情もちろん喜びや幸せなどもそうです。僕たちはそれらを保管し守っていかなければならないんです。イチイも分かってますよね?」
イ「わかってる….俺は戻る」
ア「ご苦労さまでした。」
人とは何が起こるか分からない存在。何のために生き、何のために稼ぎ、いずれそれが疑問に思ってしまう。自分は何がしたいのか、何をされたいのか、何をすべきなのか…..
それらは僕たちは図書館員も分かり兼ねるところですね。
ア「悲しみは時に幸せなり….これは僕の意見ですけどね。それでは皆様 良い旅を」