元貴side
元貴『おはよ〜』
滉斗『あっ…おはよう…元貴、これ、、』
元貴『何〜?』
翌日、僕がスタジオに入ると、
若井が驚いた顔をしながらスマホを見せてきた。
若井のスマホには、
“渋谷交差点 通り魔事件 2人の通り魔”
というニュースが開いてあった。
滉斗『元貴のお母さんとお父さん…
涼ちゃんを殺した人…なくなったんだね…』
元貴『そうみたいだね、』
その通り魔僕だよ なんて言えるはずがない。
口が裂けても言えない。僕はこの事実を
墓場まで背負っていかなければならない。
復讐し終わった今、
僕達は何をしたら良いのだろうか。
ミセスの活動を再開するにしても、
余命1年の僕が死んだら、どっちにしたったって
若井はミセスを1人で終わりにしないと
いけない。若井が、
“活動終了します。ここまで応援して
くださりありがとうございました。”
なんて1人で言う姿を想像しただけで、
胸がぎゅっと締め付けられて苦しくなる。
涼ちゃんがいなくなって、
心の底から笑えなくなった若井が、
1年後に僕もいなくなってしまったら、
若井はどうやって1人で生きていくの、?
生きていけるお金はある。
でも、それ以上に辛い思いをした
若井が追い詰められて、
自分で自分を殺してしまうかもしれない。
なら、一緒に其方に行けば良いのでは
ないだろうか。其方に行けば、僕だけの世界で、
誰かを恨むことも、妬むこともなくなって、
平和で幸せになれるに違いない。
元貴『ねぇ…若井…』
僕はそう言ってポケットに入っていたカッターを
出して、3cmほど刃を出した。
若井は突然の出来事に戸惑っていて、
冷や汗をかいている。
大丈夫。
若井を殺す訳じゃない。
僕が若井にカッターを渡そうとすると、
若井は酷く怯えていた。
滉斗『んね…やだ、やだよ、、なんで、?』
元貴『若井を殺す訳じゃない、
んね、、?一生のお願いってやつ…笑』
僕がそう言って若井にカッターを渡すと、
若井はカッターを握りしめたまま、震えていた。
ごめんね、こんなこと、
若井も望んでないと思う。
でも、もう、嫌なんだ。
余命1年と診断されてから、
死を望むことが多かった。
自分で死ぬ手段だってたくさん調べた。
でも、僕だって痛いのは嫌だ。死にたくない。
でも、もう、この世界を生きたくないんだ。
僕は両手でカッターを握っている若井の両手を
握って、僕の腹部に軽く当てた。
滉斗『んね、、やだ、やだ…元貴…泣』
元貴『お願い…若井、楽に、、させて、?泣』
目から涙が溢れた。
死ぬほど嫌だった。
親友に自ら殺してなんて言うの、
若井も嫌だと思う。
でも、僕は、
自分で自分を殺すことができなかった。
ずっと一緒にいる若井なら、
理解してくれて、殺してくれると思った。
でも、若井は違かった。
若井は持っていたカッターを自分の方に向けて、
自分に刺した。
滉斗『ん”ぐっ…泣』
元貴『は…?なんで…若井、、若井、、、!泣』
僕がそう言うと、若井は地面に倒れた。
若井は口と腹部から大量の血を流しながら、
泣きながら、僕を抱きしめて言った。
なんで…若井が自分で…!!
やだ、やだやだやだ、!!!若井、、、
滉斗『…や、だ、元貴、、
死ぬ、なんて、言わないで、?泣』
元貴『若井っ…泣』
僕は両手でカッターを持っている若井の手を、
両手で握って、思いっきり自分の腹部に刺した。
今は、ちゃんと痛みがした。
僕の服、カッター、若井の両手が、
赤く染まっていく。
若井は驚いたような顔をして、涙を流した。
滉斗『なんで…泣』
元貴『一緒に、死のう、?ね、、若井、泣』
僕はそう言って若井を抱きしめた。若井も
涙を流しながら僕を抱きしめ返してくれた。
若井の体温が段々冷たくなっていく。
僕も意識が朦朧としてきた。
僕がそっと目を瞑ろうとした時、
若井がにこっと笑って僕の目を見て言った。
滉斗『ずっと…ずぅ〜っと…一緒だよ、、
元貴、1人、じゃ、な、い…泣』
そう言って若井は全身の力が抜けたかのように
僕の首から手を離した。
若井の口角は上がっていて、
不安から解放されたかのような笑顔をしていた。
元貴『滉斗…大好き、滉斗が僕の親友で、
本当に、良かっ…た、、、泣』
僕は息を引き取った若井の頭を優しく撫でた。
握った若井の手は冷たくて、冷たくて…
涙が止まらなかった。
涼ちゃんと、若井と、作り上げてきた
あの日々を、あの温もりを、醜く愛してる。
僕は若井の胸に顔を埋めて、そっと目を閉じた。
あぁ…天使の笑い声が聞こえる。
母さんと父さん、涼ちゃんの笑顔が見える。
今日も、生きてる。
もうすぐ…もうすぐで…其方に行ける、。
あの頃の父さんと母さん、
涼ちゃんと若井にまた出会えたとして、
今度は、ちゃんと手を握るからね。
鳥の囀りが聞こえる…
やっと、やっと…同じ場所に…
僕は綺麗で澄んだ青空に手を伸ばした。
父さん、母さん…涼ちゃん…若井、、、
僕は、皆の手を握ろうとした。
僕が、あの日のブルーデイジーを踏んで、
皆の元へ行こうとした時、
辺りが暗闇に包まれた。
ーENDー
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
皆様のご考えをお聞かせください!これにて、
『Heaven ー天国ー』は終了になります!🧩
最後までご覧頂きありがとうございました!
もっくんが無事天国に行けたのか、
なぜ若井さんは自分を刺したのか、
タイトル『永眠』には意味があるのか…
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか…
次のスピーカーは貴方です!
コメントで教えてください!
次回は短編集になります!
気軽にリクエストしていただけると幸いです!
これからもよろしくお願いします!✨
コメント
13件
予想微妙に当たってた……超微妙にだけど……昨日やっと天国のMV見て(MV見たら押し潰されそうな気がして見れてなかった)この話読んで、あっ……ってリンクするようなところがあった!
すんげぇ深いなぁ何回見ても考えられそう
まぁ、…当たってたかも、 多分天国には行けてないと思う!その「行く」ってことじゃなくて「逝く」の方の意味で、…ある意味天国での地獄?みたいな、