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17話 「月明かりの小さな告白」


王都に戻ってから数日、依頼は軽めの護衛や荷運びばかりだった。

昼間は働き、夜は宿で食事、そんな穏やかな日々が続く。


この夜も例外ではなく、暖炉の火がパチパチと音を立て、ルーラは静かに本を読んでいた。

ミリアは隣で糸と針を動かし、俺は椅子に深く腰掛けて湯気の立つカップを手にしている。


「……ねぇ」

ルーラが珍しく自分から口を開いた。

「もしも……私がすごく面倒な過去を持ってたら、迷惑?」

その声は小さく、けれど耳にしっかり届いた。


「迷惑じゃない」

俺はすぐに答えた。

「お前が何をしてきたかより、今どうしているかの方が大事だ」

ミリアも針を止めて、静かにうなずく。

「そうだね。ルーラは今、ここにいる。それだけで十分」


ルーラは少し目を見開き、やがてふっと笑った。

「……ありがと」

それ以上は何も言わず、本に視線を戻したが、その頬はほんのりと赤く染まっていた。





翌日、依頼帰りに市場へ立ち寄る。

ルーラは以前から気にしていた果物屋で、こっそりとリンゴを一つ買っていた。

「珍しいな、自分から欲しがるなんて」

「……食べたいわけじゃないの。昔のことを思い出しただけ」

それだけ言うと、袋を大事そうに抱えた。


きっと、そのリンゴは彼女の過去に関わる鍵なのだろう。

だが、まだ聞かない。

彼女が話したくなる日まで、このまま見守ればいい。



『世界最強だけど昼寝がしたい』

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