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小夜子と真昼と再会し、3人で和やかに雑談を交わしていた……その時だった。
「うわっ、びっくりした」
「何これチャイム?」
キンコンカンコンという馴染みのあるメロディー。それは俺たちがいる広場全体に響き渡った。ちょうど近くに立っていた屋外時計で時間を確認すると、二次試験開始時刻の5分前を指していた。つまり、このチャイムは予鈴……いよいよ試験が始まるのか。
「受験者の皆さん〜、玖路斗学苑特待試験を受ける方〜こちらに注目してくださ〜い」
チャイムが鳴り止んだと思ったら、今度はどこからともなく俺たちに向かって呼びかける声が聞こえてきた。はっきりとしたよく通る声だが、どこか気の抜けた喋り方だ。そんなに離れた場所からではなさそうだけど……どこだろう。
「はい、はい、そこのバンダナの少年。そんなにキョロキョロしなくても大丈夫。私はこっち。みんな注目ーー!!」
バンダナの少年って俺だよな。余裕がなく、あたふたしてるのを指摘されてしまいちょっと恥ずかしい。試験が始まる前から悪目立ちしてしまった。
「それではー、間もなく試験の開始時刻となりまーす。私は進行役を務める『月守紗奈』です。よろしくねん」
俺たちの前に現れたのは白衣を着た女性。片手に持った拡声器で自己紹介を行っている。複数の色が入り混じったカラフルな髪色……そして、左右のレンズの色がそれぞれ違うメガネ。かなり個性的なビジュアルの人だ。彼女は学苑の職員で、二次試験の案内をしてくれるらしい。外見で判断するのは失礼だけど、先生って感じには見えないな。
「月守さんっていうんだって。真昼と小夜子は知ってる人?」
「うん。何度か話をしたこともあるよ」
「月守さんも玖路斗学苑の講師のひとりだからね。魔法やスティースにとっても詳しいのよ」
「えっ!? あの人講師なんだ」
月守……先生は主に座学を担当しているそうだ。真昼と小夜子が教えてくれた。そうなると、月守先生は時雨が前に言っていた学苑に在籍している6人の魔道士のうちのひとりということになる。
「はーい。ではでは、チャイムが鳴りましたので、これより玖路斗学苑特待試験二次を開始致します」
いつの間にか5分経過しており、本鈴のチャイムが鳴り響いた。心の準備はしてきたつもりだけど、いざ始まるとなるとやはり緊張する。
「今回、二次試験に挑む受験者は32人……最終的に残るのは何人になるのかなぁ。楽しみだね♡」
まるで合格者が何人出るのか分からないような口振りだ。定員は決められていないのか。成績が上の者から順番に合格するのではなく、学苑が設定した基準のようなものがあって、それを満たしていなければ合格と判断されないとかだろうか。二次試験は実技だと時雨も言っていたが、どんなことをやるのだろう……
「試験開始とは言いましたが、それまでにいくつか準備をする必要があります。皆さん、あの箱が見えるかなー?」
学苑の職員らしき人間がワゴンを押しながら俺たちの前に登場した。ワゴンの上には両手で抱えられるくらいの白い箱が乗っていた。ワゴンは月守先生の横に並ぶように配置される。
何の変哲もない普通の箱に見えたが、上面に腕が一本入るくらいの穴が空いている。既視感が凄いな……あれってもしかして……
「じゃーん!! 今からくじ引きをしてもらいまーす」
やっぱり。どうりで見たことある気がしたんだ。あれくらいの大きさで上部に穴が空いてる箱っていったら……抽選箱を連想するよな。
「この箱の中には君たち受験者の人数と同じ、32枚のくじが入っています。さあ、一列に並んで並んで。順番にくじを引いてねー」
試験でくじ引きってどういうことだよと、この場にいる全員が思っているだろう。でも、それを口に出す者はいなかった。なぜなら、俺たちが受験するのは普通の学校ではない。この程度で動揺していては、この先やっていけないだろう。それを皆分かっているのだ。
月守先生に言われた通りに、俺たちは並んでくじを引いた。まさか、もうすでに試験が始まってるなんて事はないだろうな。月守先生は準備だと言っていたのでないとは思うが……このくじ引きが試験の結果にも影響を及ぼすかもしれないと考えると慎重になってしまう。
「みんな引き終わったかなー? それじゃあ、自分が引いたくじの中身を確認して下さい」
抽選箱の中には小さめの黒い封筒が入っていた。封もきっちりとされていて、外側からでは何が入っているか分からない仕様になっている。俺はゆっくりと封筒を開けて中身を取り出した。中から出てきたのは一枚のカードだった。
「……8」
赤色のカードに白字で大きく『8』という数字が書かれていた。裏面も確認してみるが、書かれている文字はそれだけのようだ。
「透、くじの結果どうだった?」
「8って書かれた赤色のカードが出てきた。真昼と小夜子は?」
「私たちはどっちも青色のカードだった。数字は私が6で、小夜子ちゃんは4だよ」
数字が書かれた色違いのカード……
俺たち3人以外の受験者の反応を窺ってみる。どうやら封筒の中身は皆同じなようだ。全員もれなく数字の入ったカードを手にしている。
「はーい、確認できたかな? 説明の続きをさせて貰います。みんなの手もとにはカードが1枚ずつ行き届いているね。そのカードには赤色と青色の2種類があって、それぞれ1から16までの数字が振られているの。今から、そのカードの数字を元にふたりひと組のペアを作って頂きます」
「えっ、ペアって……」
受験者のひとりが思わずといった風に呟いた。月守先生はそれを質問と解釈したのか、更に詳細にくじの説明を行なった。
「例を言うと、赤のカードの『1』と青のカードの『1』……ここがペアになります。こんな風に同じ数字同士を組み合わせて、全部で16組のペアができるって計算ね。二次試験はこのペアで行いますので、よろしくー!!」
どんな試験だろうと色々想像を膨らませてはいたけど……これは全く予想していなかった。まさか試験を初対面の人間と協力して挑むことになるなんて……
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