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朝。
空気は、やけにいつも通りだった。
ドイツ:「おはようございます、兄さん」
ナチ:「……ああ」
短い返事。
視線も合わない。
⸻
ドイツ:「昨日の残りの案件ですが――」
ナチ:「処理しておけ」
ドイツ:「……はい」
⸻
(少し間)
ドイツ:「……あの」
ナチ:「何だ」
ドイツ:「……いえ」
⸻
違和感は、はっきりしていた。
昨日の空気は、どこにもない。
⸻
ドイツ:「……」
(ほんの少し迷う)
ドイツ:「……兄さん」
ナチ:「用件を言え」
ドイツ:「……」
(言葉が詰まる)
⸻
ドイツ:「……何でもありません」
ナチ:「そうか」
⸻
(沈黙)
⸻
ナチの頭の中には、昨夜の光景がはっきり残っていた。
『……もうづがれだぁ……』
『……兄さん……』
そして――
自分が頭に手を置いたことも。
⸻
ナチ:「……」
(無意識に視線を逸らす)
ナチ:(……調子が狂う)
⸻
ドイツ:「……兄さん」
ナチ:「……何だ」
ドイツ:「……本日は、その」
ナチ:「簡潔に言え」
ドイツ:「……っ」
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(ほんのわずかに表情が揺れる)
ドイツ:「……失礼しました」
⸻
ナチ:「……」
(気づく)
――ああ、やりすぎたか。
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だが。
ナチ:「……業務に戻れ」
ドイツ:「……はい」
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(ドイツ、静かに席へ戻る)
⸻
ペンを持つ手は、いつも通り正確だ。
だが。
ドイツ:「……」
(ほんの少しだけ、動きが遅い)
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ドイツ:(……気のせいでしょうか)
ドイツ:(昨日は……)
⸻
『……好きにしろ』
『……よくやった』
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ドイツ:(……夢、ではないはずですが)
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ナチ:「……」
(横目で見る)
⸻
ドイツ:(……気のせい、ですね)
⸻
(小さく息を吐く)
⸻
ナチ:「……ドイツ」
ドイツ:「はい」
ナチ:「その資料」
ドイツ:「すぐに提出します」
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(立ち上がる)
ドイツ:「……失礼します、兄さん」
ナチ:「……ああ」
⸻
(すれ違う瞬間)
ほんの少しだけ、距離が空く。
昨日よりも、明確に。
⸻
ナチ:「……」
(その違いに気づく)
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ナチ:(……)
ナチ:(……面倒だな)
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(数分後)
ナチ:「……ドイツ」
ドイツ:「はい、兄さん」
⸻
ナチ:「……」
(言葉が出ない)
⸻
ドイツ:「……ご用件は」
ナチ:「……いや」
⸻
(沈黙)
⸻
ナチ:「……無理はするな」
ドイツ:「……」
(少しだけ目を見開く)
⸻
ドイツ:「……はい」
⸻
(でも)
距離は、戻らないまま。
⸻
ナチ:「……」
ナチ:(……)
ナチ:(……調子が狂う)
⸻
ドイツ:「……」
ドイツ:(……やはり)
ドイツ:(昨日は……)
⸻
ドイツ:(……特別だったのでしょう)
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(小さく)
ドイツ:「……失礼しました」
⸻
ナチ:「……」
(その一言が少し引っかかる)
Lily
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