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中間テストが終わり、部活動が再開して数日後。部活を終えて帰る支度をしていたら、スマホが震えた。

瀬南 亜貴 … 今

【部活おつかれ。

先輩なら今いるけど、来る?】


何回かやりとりをしているはずなのに自分のスマホ画面に’瀬南亜貴’と表示される事にまだ慣れなくて、ほんとに本人と連絡取れてるのかな?なんて考えてしまう。

五十嵐友香 … 今

【ありがとう、今から行く!】


急いで美術部に向かっていると部室の窓から揺れるカーテンが見えて、あと少しだ!と思っていたら、水島くんに声をかけられた。

「五十嵐!急いでる所ごめん。あのさ、渡したいものがあって」

「渡したいもの?」

そう言って彼は小さな袋を差し出してきた。

「これは?」

「この前の休日に友達と…あ、男な!男友達と出かけたからその時のお土産!」

「お土産?」

中を見ると可愛らしいウサギが苺を抱えてるストラップが入っていた。

「あはは、かわいい」

「だろ?五十嵐はウサギとか苺好きかなって思ってさ!」

うーん。ウサギもイチゴも嫌いじゃないけどめちゃくちゃ好きかと聞かれたらそうでもない。でも、せっかくプレゼントしてくれたのに無碍にするのは申し訳ない。

「あの、ありがとうね!私、何もなくて…」

「いいよ、俺が勝手に買ったんだし」

「よかったら、今度何かお礼させて」

そう言ったら水島くんは ちょっと真剣な顔になって私の手を掴んできた。


「じゃあ今度さ、一緒に帰ろ?」

「えっ」

別に誰と帰ったっていいはずなのに何故かちょっぴりモヤッとしてしまった。今の声ちょっと低く出ちゃった気がする…大丈夫かな。


「今日は寄る所あるんだろ?だから今度2人で帰ろうよ!」

「あ…うん。分かった、今度ね。」

「やった!あ、五十嵐の手掴んじゃってたごめん!」

「ううん、大丈夫。」

「じゃあまたな!」


水島と五十嵐の会話の最中、揺れるカーテンの奥にはイーゼルに手をかけたまま動かない人影があった。




足早に美術部へ向かい、部室の扉を開ける。

「失礼します」

「こんにちは~、君が五十嵐友香ちゃん?」

「亜貴ちゃんから聞いてるよ~!!」


見知らぬ男女の先輩が出迎えてくれた。


「五十嵐友香です、よろしくお願いします」

「はじめまして、私は太刀川桜です~!こっちは浦川宏!」

「よろしくね~!」

なんかめちゃくちゃウェルカムな感じだし、思ってたよりも明るい雰囲気の先輩方で驚きを隠せない。


「美術部以外の後輩ちゃんと話すの初だ~!」

「俺もだよ、何だか嬉しいね!」

「たくさん話したいよね!」

先輩2人は向かい合ってニコニコ笑ってる。めちゃくちゃ仲良いな


「いや~、亜貴ちゃんにこんな可愛い友達が出来たなんて!夏葉先輩に教えてあげたい!」

「太刀川先輩、その呼び方やめて」

瀬南くんはめちゃくちゃ不機嫌そうなのに太刀川先輩は悪びれもせずニコニコと笑っている

「夏葉先輩って?」

「僕のお姉ちゃん」

「瀬南くんお姉ちゃんいるんだね」

「いるけど…今はそんな話してる場合じゃないでしょ。下校時刻もあるんだから」


そう言って、私には視線を向けずに瀬南くんはスクールバッグを手に持った。


「太刀川先輩も浦川先輩も帰る方面は同じだから、その間に色々聞いたら?」

太刀川先輩、浦川先輩、瀬南くん、私の4人で下校することになった。



「へ~、じゃあ友香ちゃんは名前も作品名も分からない同い年の絵描きを探してるのね~」

「そうなんですよ~!」

私が美術部へお邪魔する理由を嫌な顔せずに2人の先輩は聞いてくれた

「それ描き手からしたらかなり嬉しいと思うよ」

「自分の絵をそこまで好きになってくれたらほんっと、私だったら抱きしめちゃう」

「ふふ、ありがとうございます」

「桜ちゃん、抱きしめるのは女の子だけにしといてね?」


私も元々社交性はある方なのでフレンドリーな先輩方との会話はテンポよく進む。

「ヒントは同い年かぁ」

「ここの学校にいるって確定してるわけじゃないんですけどね」

「それでも探してみる価値はあるんじゃない?」

「はい!絶対会いたいので頑張って探します」

「今すぐは難しいけど、他の高校の美術部員と交流出来る機会を作れるかもしれないから、その時は友香ちゃんにも声をかけるよ」

「え?!いいんですか?ありがとうございます!」

うわぁー!今日美術部来れたのラッキーかも!先輩達と仲良くなれたし、他校の美術部なんて縁もゆかりもなさすぎるから、かなりありがたい!!!!!

「それまでは、まったり同じ高校の子と交流してくれると嬉しいかな」

「私と同い年の美術部員って何人いるんですか?」

そう聞くと太刀川先輩は指を4つ立てて見せた。


「4人だよ、亜貴ちゃん含めて4人」

「あと3人…」

「その3人は友香ちゃんとは違うクラスでね、みんな結構人見知りだから突然クラスに足を運ぶのはやめてあげた方がいいかも」

「わかりました」

そうだよね。私が会いたいって思ってても、向こうはそうじゃない可能性だってあるわけで…


「あ、私たち 寄り道してくからここまでかな」

「そうなんですね!色々聞けて嬉しかったです、ありがとうございました!」

「五十嵐さん、いつでも美術部に遊びに来てね~」

「ありがとうございます!遊びに行きますね!」

学校から駅までの半分くらいの距離で先輩方は駅とは違う方向へと歩いて行った。

微糖な貴方に惹かれる私

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