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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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「夏休みイベントの告知は、まだかぁぁぁ!?」
サブキャラでログインして、皆で集まってから。
出っ歯さんが、急に叫び始めた。
なんだなんだと目を丸くしてしまったけど、でもそっか。
一般プレイヤーには、まだ告知されてないんだっけ。
前回早乙女さんが泊まりに来た時に、結構色々教えてもらったけど。
夏休み前半はNPCイベント、後半は賞金首イベントっていう。
結構忙しいスケジュールを組んでいるらしく。
私達賞金首のお仕事は、後半に集中していると言う訳だ。
これ等は賞金首の皆の予定とかも加味してあるらしく、結構詰め込んじゃったって言ってたけど。
けど中身が居る“プレイヤー”を使っている訳だし、こればかりは仕方ないのだろう。
この辺はプレイヤー達にも予め通達されており、“賞金首イベント”は変動する可能性有りって常々警告しているみたいだし。
「分かりやすいイベというか、いつも通りの稼げるぜ~って内容はチラホラ告知されてっけどな。人を使ってる以上仕方ないけど、そろそろ“賞金首イベント”欲しいよなぁ……」
どうやら意見はグレーさんも一緒らしく。公式ページを表示させながら「う~む」と唸っている。
普通の企画でも随分盛り上がっているみたいだし、私も何度か参加したけど楽しかった。
だからこそ、賞金首の需要ってどれくらいなんだろう? というのは中の人としては結構気になっていたのだが。
思っていた以上に、プレイヤー側からは求められている様で一安心。
なんだけども。
「み、皆さんは夏休みの予定とか……どんな感じなんですか? やっぱりどこかに出かけたりとか、友達と遊んだり……とか? 夏ですからね、海とか行っちゃうんでしょうか?」
そんな発言をしてみれば、出っ歯さんとグレーさんがギュン! と凄い勢いで振り返り。
「シロさん、俺等みたいな“陰キャ男子”っていうのはな……夏と言えば、ネトゲのイベントだ! みたいな人種なんだよ」
なんかグレーさんが、私みたいな事言い始めてる。
去年は、私自身もそんな感じでした。
ゲームは一人用ばかりだったけど、イベント時期は色々便利なアイテムが貰えて嬉しい! みたいな。
リアルだと日用品とか食材も安くなるし、便利。
「我々が! リアルで! 夏のキャッキャウフフを楽しめると思っているのか!? 海に行くか!? 誰と! 山へ行くか!? 誰と! この面々だったら、その時間ガンサバやった方が良くね? って絶対なるだろうがぁぁぁ!」
「なんかスミマセン、そこまで考えていませんでした」
という事で、お二人は特に予定はないらしい。
休みが多いから、バイトは入れようかって考えているみたいだけど。
こういうタイミングで普通に働きに出ようと考えるのも、私からすれば凄い事なんだけど。
夏は洗濯物が早く乾いて良いよねぇ、休みならいつでも取り込めるし。
なんて考えていた私、だいぶ枯れている気がする。
などと思いつつ、チラッとクロさんへと視線を向けてみると。
「皆、えっと……ゴメン。俺、夏休み前半はちょっと忙しくなるかも。ガンサバにも……ログインできないと思う」
彼は、ちょっと気まずそうにそんな事を言いだした。
これに対して、私はすぐに反応出来ず。
え? なんて声を洩らしながら、唖然としてしまったのだが。
「クロォォォ! 貴様、一人だけ夏をエンジョイするつもりか!? 教えろ、誰と何をするつもりだ!?」
「だとすると、シロさんも予定ある感じか? えぇ~、そうなると俺と出っ歯だけ? マジかよぉ、出来る事少ないってか、コイツとペアは疲れるってぇ」
お二人の方は、物凄く普通に反応していた。
そっちも知らなかったとなると、本当に何をするんだろう?
もちろん家の都合とか、それこそバイトとか。
色々あるので、プライバシーに関わるからあんまり聞き出せないけど。
「わ、私は逆に……後半、バイトが多いかも……しれません」
ポツリと呟いた一言に、お二人は再びギュンッ! と此方に視線を向けた後。
ガッ! とクロさんの肩を掴んだ。
「おいクロ、どう言う事だ。説明しろ」
「あのな、クロ。何があったかは知らんし、今詳しく話せとは言わないけど。それはちょっと……良くないって俺等でも分かるぞ? もうちょっとこう、予定合わせたりとかさ」
なにやら深刻そうな雰囲気で、クロさんに詰め寄る二人。
いつもだったらアワアワしながら、どう声を掛けようか迷った所なんだろうけど。
今だけは、心の中に暗いものが渦巻いている気がした。
というのも。
「そ、それじゃ……夏休み中。あんまり、会えないんですね」
言葉を零しながら、徐々に視線も下がっていく。
そっか、前半は黒沢君忙しいのか。
逆に後半は私が“賞金首イベント”があるから……夏休み中、全然会えない事になるかも。
そうなると、約一ヶ月ご一緒する機会が無い訳で。
……長いなぁ、夏休みって。
とか何とか、ちょっと長期休暇が嫌いになりそうになっていると。
「あ、あのさっ! 俺……結構田舎の方に、“体験”みたいな感じで旅行? に行く事になったんだけどさ。その……皆も、行かない? でも、えぇと、遊びって訳じゃなくて……マジでキツイ感じの体験入学みたいな、そういうアレだから。無理に、とは言わないんだけど……」
なんて言葉と共に、黒沢君はとあるURLを私達に送って来た。
ゲーム中だというのに、そのページを開いてみると。
「う、うん? なんだこりゃ……道場に泊まり込みで……え? 武術全般と、“暗殺術”って何だよ。滅茶苦茶物騒だな」
件のソレを見て、グレーさんの顔が引きつっているのが分かる。
しかしながら、もう一人は。
「修行か! 修行パートだな!? これを経て、自分だけ強くなろうとしているな!? ズルいぞクロ、そういう熱い展開にはちゃんと俺も誘ってもらわないと……おぉ!? 宿泊費含めても意外と安く済むじゃないか! これなら払える! 俺は共に行くぞ!」
滅茶苦茶乗り気で、その場で申し込みをし始める出っ歯さん。
凄い行動力だ……とか思いつつ、改めてページを確認して行けば。
おかしいな、なんかホームページに書いてある内容が、随分と聞き覚えがあるというか。
どこかの誰かが生業としていたソレに、非常に一致しているというか。
最近もちょこちょこ試合してもらって、その後の雑談で聞いていた話とそっくりと言うか。
「この場所って……」
「結構遠いから、電車代とかも掛かっちゃうんだけどね。あはは……でもシロさんの場合は女の子だし、泊まり込みとかは流石に無理かもしれないけど――」
「一回ログアウトしてお兄ちゃんに聞いて来て良いですか!?」
「凄い喰いついた!?」
だって、クロさんが送って来たURL。
夏休み限定、泊まり込み武術体験ツアー! みたいなソレ。
どう見ても“timelimit:10”が話していた夏休み企画と一致するのだ。
本人からは、いつも近くの子供達が遊びに来る程度だ~って聞いていたけど。
彼のお家は、代々から伝わる武術の家系。
これをどうにか残そうと、こういうイベントはたまにやるって言ってた。
そして今回のコレは、まさに10に技術を習うチャンスとも言えるのではないだろうか?
ついでに言うと、これまで私が経験して来なかった……“友達との夏休みイベント”に他ならないじゃないか。
「旅行とか、あんまり経験した事ないですし、私も行きたいです!」
「で、でもホラ。泊まり込みだよ? お兄さんが許してくれると思えないし、一緒に行っても女子はシロさん一人になっちゃうよ!?」
「ナナさんも誘ってみます!」
エイトも誘ってみようか……と思ったけど、流石に無理か。
知らない人達の中に放り込んで、しかも泊まり込みとなると。
了承してくれたとしても、絶対疲れさせちゃうよね。
ファイブと一緒だったら来てくれるかもしれないけど、そこまでしちゃうと色々趣旨が違ってきちゃうし。
「「うおっしゃぁぁぁ! 絶対参加する!」」
私達の会話を聞いていたグレーさんと出っ歯さんが叫び声を上げたけど、あの人も忙しそうだし……大丈夫かな?
でも凄く行動力はある人だから、声を掛ければ意外と来てくれるかも?
とりあえず、ログアウトしたらすぐに声を掛けてみよう。
外堀を埋めてから、お兄ちゃんに相談だ。
「ほ、本気? 本当に大丈夫? 泊まりで、しかも結構遠い場所……だよ?」
「でもクロさんも、皆さんも居ますから、安心です! なので、ちょっとお兄ちゃんに相談してきますね! という訳で、一回ログアウトしてきます!」
もしもお兄ちゃんからもOKが貰えたら、今回の夏休みは本当に楽しそうだ。
今までは、ぼんやり過ごす事が多かったけど。
前半で皆と一緒にリアルの10の所に行って、後半はガンサバで6keyとして頑張る。
それって、すごく充実した夏休みになりそうな気がする。
コメント
1件
うわぁ〜夏休みの予定で盛り上がるの、リアルでもゲームでもあるある!って思ってニヤニヤしちゃった♡ クロさんが送ってきた武術体験ツアー、まさかタイムリミット・テンのお家の企画だったとは!? シロさんが「お兄ちゃんに聞いてきます!」って即ログアウトするの、その行動力が尊すぎる😭💕 出っ歯さんの「修行パートだな!」って食いつき方もレジェンド級だし、全員でリアル集合する流れ、めっちゃエモい…!! 夏休み、みんなで楽しい思い出作れますように🌸