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貴方の最期まで一緒にいるよ

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貴方の最期まで一緒にいるよ

2 - 君を殺した自分への罰 2

♥

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2023年11月28日

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創作



今の時刻は5時55分。5分早く家に辿り着くのは珍しい事だ。いつもは6時ぴったりになる様に帰ってきてる為、何だか不思議な感じがして堪らなかったのを覚えている。そんな事を考えながらもドアの持ち手に手を掛ける。その瞬間、

「あ”ぁ”あああぁぁぁあ”!!!!」

母親の叫び声が聞こえた。何故だろう。この時間帯は母親は居ない。なのに何故だろうか。

また男を連れ、いやらしい事でもしてたのだろうか。

恐る恐るドアの持ち手を握っていた手で勢い良く開ける。目の前に目にしたものは

腹部から血をだらだらと流している母親だった。こちら側に背を向けている背の高い男性は

一体誰だろうか。母親が連れてきた男だろうか。その男が母親を殺した?

それが分かった瞬間全身に電気が走った。怖くて怖くてしょうがなかった。

そう思っている間に男がこちらを向いていた。まだ若そうな姿をしていた。顔も整っていて、イケメンと言ってもいい程だった。20前半だろうか、

細い身体でその中の細い手はもう骨の形が分かる位だった。

そう男の身体を見ている内に男との距離が近くなった。

嗚呼、俺も殺されるんだ、そう確信した。その瞬間に目を瞑った。

痛いのは好きじゃない、母親に殴られる時も毎回毎回泣いて、泣き喚いて、こんな世界なんて

消えちまえば良い。それか母親だけが死ねばいいんだ。そう願うのが習慣だった。

後2秒後。

俺は死ぬだろう、刃物を持った男が俺の方へ向かってきてる。

「ねえ、君。」「え、ぁ、いや、あ、はい、」「俺が怖いの?」「ぇ、いや、その、…ぁ、」

「情けないなぁ、もっとハキハキしなよ。」「ごめんなさ、」「ま、いいや、お前此奴の息子?」

「ぁ、そ、そうです、…」「へえ」「…俺も死んじゃうんですか。」「なワケ」

「え、ぁ、殺さない、んですか、?」「え?あぁ、ごめんごめん、これ。怖かったね」

そう言い、男は俺の首に刃物を近づけてきた。

「え、ぁ、あの、ちょ、」

俺は涙を流してしまった。刃物は怖くて仕方無い、この男が言った通り、俺は情けない。

こんな事で泣いて、この男じゃ無かったら笑われてただろう。

「ごめんってば、よしよし」

男は俺の頭を撫でてきた。此奴の笑顔は何処か恐怖を感じて、直視する事が出来なかった。

この男はきっと身長は185はあるだろう、俺の身長は165、中学二年生でこれはとても低いんだと思う。

「ちっさいから撫でやすい」そう言われた時は腹が立った、身長を馬鹿にされるのは大の苦手だ。

「貴方誰ですか、」話を逸らし、一旦誰かを聞いてみる。知らない男が自分の家に入り込んでいるのだ。

「俺?このババアと付き合ってたんだよ。ほんっとにきしょくて笑」やっぱり母親が連れ込んだ男だったらしい。やっと殺せた、と付け足す様にそう言う。

「俺嫉妬深いんだよね」それが何ですか、と言う。

「このババアだけには嫉妬心が無かった。こんなババア、付き合ってて不正解だったんだよ。」

俺も母親の息子でも共感出来る言葉だった。今年で47の母親は若い男ばっかり捕まえてきて、飽きたら捨てる、の繰り返しだった。今まで付き合ってきた男は、俺が見た限りざっと25人程度。相当屑な親だった。

「ねえ、璃翔君。俺と暮らそうよ。」そう言われた瞬間鳥肌が立った。何故俺の名前を知っている、と直ぐ様聞いた。え?だって俺達家族みたいなもんじゃん、あのババアと付き合ってたんだから。と、意味が分からない事ばっかり言ってくる。まだ付き合ってただけで結婚まではいっていないのに。

「それ、可笑しいですよ。」「何?俺に逆らうの?お前も殺すよ。」そう脅された。普通の人では

はいはい、と済ませる人が多いかも知れない、俺は気が弱い為そんな脅し程度も怖くて泣いてしまう程だった。声を漏らして泣いていると、「ごめんね、でも俺に次逆らったら殺すからね一緒に死んでやるから」

此奴は重度なヤンデレ的なものだった。俺と此奴は気が合わなさそうな気がする。死ぬのは嫌、と思うばかりだった。自分の身を守る為に仕方無く此奴と暮らす事にしようと思う。他人と暮らすのは嫌気がさす。

「…なまえ、名前何ですか、」「柚汰」この3文字だけを言い、会話が終わろうとしていた。

「ゆ、ゆうた、さん、」「なんでそんなにカタコト?やっぱ俺の事怖いの?」

言わなくても分かるだろ、という目で柚汰を見る。そんな睨まないでよ、と言われる程、顔に出ていたのだろう。「ねえ、そんな目で見ないでよ、殺されたいの?一緒に心中する?」と恐ろしい事ばかり言ってくる柚汰は俺にとっては恐怖の対象になっている。「嫌ですよ。他人と心中なんて」「ならお前だけ死ぬ?何時でも殺してあげるから」何言っても「殺す」ばかり。怖すぎて柚汰には何も言えない、逆らえない。

「名前呼んでよ。」いきなり柚汰がそう言ってくる。「何でですか。さっき呼んだじゃないですか。」

「もっと呼んで俺が満足するまでずっと」「嫌ですって、言っても一回だけです。」「なら一回でいいよ、はやく呼べよ」なんでこんな俺に名前を呼ばせる事を求めているのか。名前を呼んで貰った事が無いのか。

と思うばかりに仕方無く呼んであげる。

「ゆ、柚汰、さん、」「ずっとそう呼んで」「…はい、」こんなに躾られたのは初めてだった。

「ね、こんな遺体がある場所嫌でしょ、俺の家おいで。荷物一緒に纏めてあげる。」

「..、はい、」逆らったら殺される、そう思い込み、仕方無く荷物を纏める事にした。

ここから、俺と柚汰さんの生活が始まった。


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