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始めに・10話完結
・終始ダーク
・仮名前で展開するので、苦手な方は帰りましょう。
桐谷 歌黄 きりたにかよ(きりやん)
翡翠 緑 ひすいみどり
(シャークん)
初めて会った日の事なんてどうでもいい。けど、先生が俺に声を掛けてくれた日の事は……ちゃんと覚えてる
『翡翠君。教室で待ってるよ。』
たったそれだけその一言で俺は外に出た
地面が濡れてる朝から降ってた雨は多分もう止んでるけど
乾ききらないアスファルトの匂いがして校門の前で俺は立ち止まる。
なんで来てんだろ。あぁそうか……先生がいるからだ
「翡翠くん!」
声がした優しい声
その瞬間世界が色を取り戻す。心臓が跳ねた。鼓膜が震えた。先生だ桐谷先生
この学校で唯一の価値。
「来てくれて嬉しいよ。無理してない?」
柔らかく、でもどこか心配そうな笑み
そういうとこだよ先生。その優しさが俺を狂わせる
「ううん、先生に会いたかったから。」
俺がそう言うと、先生は少しだけ困った顔をした。けど否定はしなかった。その間がたまらなかった
教室の窓際の席。俺は席に座っているのに、となりのクラスの先生が廊下を通るだけでじりじりした
先生が誰かと話してる。それだけでムカついた
なんで他のヤツと笑ってんの?
チャイムが鳴る。ホームルームが始まって、終わるまでずっと俺は先生の顔だけを見てた
真面目に出席を取る先生。優しく話す先生。俺の名前を呼ぶときだけ、声のトーンが違う…気がする。勘違いじゃないかもしれないけど。
「じゃあ、今日のホームルームはここまで。翡翠くん、来てくれてありがとう。」
名前を呼ばれると血が逆流したように熱くなる
「ううん、先生が、俺のためにここにいるんでしょ?」
「え?」
「そうでしょ?」
先生は黙った。黙って誤魔化した。そういうところもすごくすごく愛おしい。
だから余計に壊したくなる。こままずっと、俺の事だけを見てくれてたらいいのに
クラスの誰かと話すたびに、心臓がギリギリと悲鳴を上げる。そのうちとまるかもね。それでもいい
俺、先生が好きだから、心臓ごとあげてもいいよ
先生が俺を好きになってくれるのなら
死んでも構わない。